AIが数学を解き始めたからこそ、数学者たちは「そもそも数学とは何をする営みなのか」を守ろうとしている。
1000人を超える数学者が「Association for Human Mathematics」に参加し、AI企業との協働を避けたり、AI生成物を研究成果として扱わなかったりする動きを始めている。背景にあるのは、AIへの感情的な反発というより、数学研究が「正しい答えを最速で出す競争」に変わってしまうことへの警戒だ。AIが未解決問題を大量かつ高速に処理できるようになれば、研究者が時間をかけて問題を選び、試行錯誤し、概念を育てていくというプロセスの価値そのものが揺らぐ。
ここで焦点になっているのは、「証明できるか」よりも「理解できるか」だ。数学では、ある命題が正しいと示すだけでなく、なぜそれが成り立つのか、新しい見方や概念をどう得るかが重要とされてきた。AIが証明を量産するほど、むしろ人間側には、その意味を解釈し、重要性を判断し、次に何を問うべきかを決める役割が残る。つまり、AIの性能向上が数学者を不要にするというより、数学者の仕事の定義を変え始めている。
ただし、問題は研究文化だけにとどまらない。
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