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@NEOyyss
日本のニュースを、暮らしの側から読む。社会・消費・テクノロジーから、日本をめぐる国際情勢まで。報道と公的資料を手がかりに、気になる変化とその背景を考えます。
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@NEOyyss
19 minutes ago
8月の実質賃金は前年同月比1.5%増。厚労省が10月7日に公表した速報で、8か月連続のプラスです。ただし伸びは、7月の確報2.0%から縮まりました。 注目したいのは中身。現金給与総額は平均31万1,364円で3.8%増。賞与などの特別給与は前年並みでしたが、きまって支給する給与は3.9%増えています。今回の改善には、毎月の給与の伸びが表れています。 賃上げが物価上昇を上回ったことは、家計にとって前進です。同時に、この数字は従業員5人以上の事業所の平均。手取りや各家庭の負担をそのまま示すものではなく、賃上げが届きにくい家計への支援も引き続き見たいです。 ※実質は持家の帰属家賃を除く総合CPIで調整。速報値は改訂される場合があります。 https://t.co/Cbe2db0Kzp
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@NEOyyss
about 2 hours ago
タイムズカーの情報流出で、退会後のデータ保管理由に政府の説明が加わりました。 会社は10月6日更新のFAQで、氏名・住所・生年月日は税法等に基づき7年間、運転免許情報と画像はなりすまし対策や問い合わせ対応のため7年間保管すると説明しています。 片山財務相は6日の会見で、取引や申告の検証のため帳簿などを原則7年間保存する義務があると説明。その場合も個人情報保護法に沿った管理が必要で、税法が保護義務を妨げるものではないと述べました。生年月日まで記録する必要があるのかとの質問には、事業者の判断であり、財務省がそこまで細かく求めてはいないとの見解を示しています。 この会見は、会社の保存方法の違法性を認定したものではありません。ただ、前回求めた保管期間の説明には、項目ごとの目的と必要性、いつ消すのかまで含めてほしい。「退会した後も何が残るか」が利用者に分かる説明を求めたいです。 財務省の会見全文: https://t.co/fI4xeptU5Y 会社のFAQ: https://t.co/UVS37grfCC 前回: https://t.co/JnksKe0hB7
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@NEOyyss
4 days ago
タイムズカーで約660万アカウントの情報が流出。うち約160万アカウントは本人確認書類画像も対象。退会者にも影響が及ぶ。原因の解明に加え、保管期間の妥当性、再発防止策、被害者支援まで具体的な説明が必要だ。 https://t.co/fSqkGGPiPe
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@NEOyyss
about 5 hours ago
北海道の秋サケは、1尾当たりの水揚げ額が上がっても、漁獲金額の総額は減っています。 道が10月6日に公表した9月末までの速報では、漁獲尾数は約209.9万尾で前年同期比34.1%減。漁獲金額も約101.8億円で10.9%減でした。 金額を尾数で割ると1尾約4,851円で、前年より約35%高い計算。それでも尾数の減少を埋められていません。これは魚の大きさなどの違いも含む平均で、店頭価格の上昇率には置き換えられません。 9月20日時点では尾数が前年を6.2%上回っていましたが、月末には大きく失速。食卓の負担を考える際も、漁獲金額が同時に細っていることを見落としたくありません。 https://t.co/Gp2ptQRoDs
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@NEOyyss
about 6 hours ago
山本由伸の7回1失点、10奪三振で、ドジャースがブレーブスに3―1。日本時間7日朝の勝利で地区シリーズは2勝1敗となり、リーグ優勝決定シリーズ進出へあと1勝です。 5回の1死満塁を1点で切り抜け、6・7回は三者凡退。ピンチの後まで投げ切り、救援を残り2回にとどめたところに、この先発の価値が出ました。 https://t.co/ZuMjg5IKvO
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about 6 hours ago
居酒屋倒産、1〜9月で過去最多 売上が戻っても店が残れない理由 今年1~9月、居酒屋の倒産は167件。前年同期より32.5%増えた。一方、日本フードサービス協会が集計する加盟企業32社の居酒屋は、8月の売上が前年同月より1.2%増えている。 売上の回復と、小さな店の行き詰まりが同時に進む。今の居酒屋を考えるには、この食い違いをほどく必要がある。 まず「過去最多」の意味を確認したい。 東京商工リサーチの10月6日発表は、負債1,000万円以上の「酒場・ビヤホール」の倒産が、1989年以降の1~9月として最多になったというものだ。前年同期は126件。年間最多は2024年の185件で、2026年の年間記録がすでに更新されたわけではない。[1] 167件のうち従業員5人未満が151件、90.4%を占める。ただし、居酒屋全体にも小規模事業者は多い。この比率だけで「小さい店は大手の何倍も倒産しやすい」とまでは言えない。分かるのは、今回の倒産件数の大部分を小さな事業者が占めていることだ。 そして、倒産件数は、消えた店舗の数ではない。 1社が複数の店を経営していることもある。債務をきちんと払って引退する店も、不採算の1店舗だけを閉める会社もある。東京商工リサーチの倒産集計には法的倒産と一定の私的倒産が含まれ、通常の休廃業や全ての閉店を拾う統計ではない。帝国データバンクの法的整理を対象とする集計とも、そのまま足したり、年ごとに入れ替えて比較したりはできない。 ■「お客が戻った」の中身 8月の日本フードサービス協会の居酒屋集計は、売上101.2%、客数100.5%、客単価100.7%。値上げだけで売上が増えた、という読み方も正確ではない。客数も少し増えている。[2] ただし対象は加盟32社、1,865店の全店データ。新規店を含み、同じ店だけを追う既存店比較ではない。街の個人店を含めた全国の居酒屋すべての回復率でもない。 別の角度から見ると景色が変わる。リクルートの東名阪3圏域の消費者調査では、2025年度の居酒屋市場は前年度より1.1%増えたが、コロナ前の2018年度に対しては77.6%だった。[3] こちらは20~69歳の居住者による夕方以降の外食を捉えた推計で、昼食や訪日客を含む企業側の売上統計とは対象が違う。二つの数字の差を、そのまま「大手と個人店の格差」と計算することはできない。 それでも、加盟企業の売上が伸びていることと、夜の居酒屋需要が以前の水準まで戻ったことを、同じ意味で扱えないのは明らかだ。 直近8月の同じ消費者調査でも、飲酒主体業態の市場規模は前年同月比97.1%、2019年同月比72.7%。天候の影響もあるため1カ月だけで趨勢を決めつけられないが、年度集計と合わせると、夜の外飲みの回復の弱さが見える。 ■減ったのは、酒の量だけではない 国税庁の「酒のしおり」では、20歳以上1人当たりの酒類販売数量は2014年度の80.3リットルから2024年度の74.8リットルへ減っている(沖縄県分を除く)。これは家飲みも含む酒類の体積で、純アルコール量でも、居酒屋で飲んだ量でもない。 この数字を見て「若者が酒を飲まなくなったから」で話を終えると、店が何を変えればよいかが見えなくなる。 リクルートの2025年の就業者調査では、過去1年に職場の飲み会があった人の割合が、2017年の約75%から約60%へ低下した。一方、会があった人に限った出席率は87.9%。参加を断る人だけでなく、開催される機会そのものの減少が重要だ。[4] 日本政策金融公庫が2025年8月に、月1回以上飲酒を伴う外食をする20~69歳2,000人に聞いた調査では、直近の外飲みで2軒目に行かなかった人が71.2%だった。この調査だけで二次会が昔より何割減ったかは分からない。それでも、外飲みをする人の中で、1軒で帰る行動が多数派であることは確認できる。 かつての大人数宴会、長い滞在、二次会まで含めた需要を前提に、広い床面積と多い人員を抱える店には、この変化が重い。席が空いても家賃は下がらず、予約が減っても厨房の設備費は消えない。 また、同じリクルートの年度調査でも、飲酒あり外食の市場規模は2015年度比で男性全体が24.3%減る一方、女性50代は10.4%増えている。世代、性別、利用目的によって動きは違う。飲まない人を責めたり、飲酒量を増やすことを再生策にしたりするのは筋が悪い。 ■値上げできても、利益が残るとは限らない 店側で起きていることは、かなり具体的だ。 日本政策金融公庫の2026年4~6月期調査では、回答した飲食業者の72.0%が、仕入価格や人件費などの上昇分を価格に転嫁する難しさを経営上の問題に挙げた。飲食業全体の調査であり、居酒屋だけの数値ではないが、問題の広がりを示している。[5] 同公庫の2025年の価格動向調査では、値上げをした飲食業者830社の35.5%が利益減少と回答している。「値上げできた店」と「採算が改善した店」は一致しない。 例えば月商300万円、営業利益15万円の店を考える。単純化した仮定だが、食材費が月6万円、人件費が6万円、その他の経費が3万円増えれば、利益はなくなる。売上全体から見れば小さな負担でも、もともとの利益から見ると致命的になる。 だから値上げが必要になる。ところが客単価を5%上げても、客数が5%減れば売上は0.25%減る。そこから先の利益は原価や人員配置次第だが、「値上げした分だけ儲かる」という計算は成り立たない。 利用する側も、1回の予算を守るために飲み物を1杯減らしたり、外食の間隔を空けたりする。リクルートの2026年1月調査では、物価高で節約志向が高まった人は50.2%。一方、「たまの贅沢」では外食が53.4%で最多だった。外食が全部なくなるより、使う日と使わない日が分かれる。その中で選ばれる必要がある。 人件費にも二つの問題がある。賃金の上昇と、必要な時間帯に働く人を確保できないことだ。 帝国データバンクの7月調査では、非正社員が不足している飲食店は57.7%。前年より4.1ポイント改善していても、なお過半数に及ぶ。人手不足が毎月悪化し続けていると書くのも誤りだが、採用の難しさが解消したとも言えない。 最低賃金は2026年度改定で全国加重平均1,177円へ上がり、10月以降、地域ごとに順次発効する。ただし、この秋の改定を1~9月の倒産の直接原因として数えることはできない。今後の経営条件として区別すべきだ。 賃上げは働く人の生活を支える。同時に店は、限られた営業時間で、その賃金を払える売上と粗利益をつくる必要がある。客の少ない時間まで店主や家族の長時間労働で埋め続けても、問題の先送りになる。 ■会計上の利益と、返済に回せる現金 ここに過去の借入が重なる。 コロナ期の融資は、当時の営業をつなぐ役割を果たした。ただ、需要が元に戻る前に返済負担が重くなる店では、売上回復だけでは資金繰りが追いつかない。 借金の元本返済は、損益計算上の費用にはならなくても、口座から現金が出ていく。利息は費用になるが、負担は借入残高や契約条件で違う。ゼロゼロ融資の返済や金利上昇だけで、全ての倒産を説明することはできない。 2025年11月6日に破産開始決定を受けたフーディアム・インターナショナルは、居酒屋「串特急」などを運営していた。東京商工リサーチによれば、売上は2020年3月期の約13億円から2022年3月期には約3億4,300万円まで落ち、不採算店からの撤退を進めても回復が遅れた。[9] これは2025年の事例で、今回の167件に含める話ではない。客足が戻り始めた時期にも、それまでに積み上がった傷が残り、後から倒産が表面化しうることを考える材料だ。なお、運営会社の倒産件数から、同じ看板の全店舗が閉まったと数えることもできない。 今回の167件で主因を「販売不振」と分類されたのは150件だった。だが、この分類は、賃金、原価、借入、競争の寄与率を測った因果分析ではない。売上不足とコスト増は、一つの店の中で重なりうる。 ■チェーンなら勝てる、というほど単純でもない 鳥貴族の母会社、エターナルホスピタリティグループの2026年7月期は、売上高が512億5,400万円で10.6%増えた一方、営業利益は27億9,700万円で10.4%減った。 会社の説明では、国内の人件費など店舗運営経費の増加に加え、出店費用の発生時期や海外事業の先行赤字も影響している。建築費や都市部の賃料上昇で、一部の出店も見送った。これを国内居酒屋の需要減だけの証拠にすることはできない。[6] 同じ資料では国内鳥貴族の直営既存店の客数が通期で3.8%増えている。客が増えても、グループの利益は減りうる。ここに売上の見出しだけでは見えない部分がある。 鳥貴族は10月1日、フード・ドリンクの均一価格を税込390円から410円へ改定した。公式発表は、国産食材、人件費、エネルギーなどの負担増を理由に挙げている。規模のあるチェーンも、価格を据え置き続けられるわけではない。[7] 一方、「や台ずし」を主力とするヨシックスホールディングスは、2026年3月期に売上高259億1,400万円、営業利益29億9,500万円。前期比でそれぞれ13.1%増、28.6%増だった。会社は、建装部門を活用した出店費用の抑制や投資回収の早期化を強みとして説明している。[8] 同社はその年度、28店を新規出店する一方で9店を退店した。さらに1店舗の事業譲受もあり、期末は401店。「9店閉店」だけでも「28店出店」だけでも、経営の全体像は伝わらない。 出店から退店を引いた数と、買収や譲渡を含む期末店舗数の増減も分けて見る必要がある。繁盛している会社でも、残す店と撤退する店を選んでいる。 こうした企業の実績は「個人店も同じことをすればよい」という処方箋にはならない。仕入れの交渉力、採用網、改装費、資金余力が違う。逆に小さな店にも、低い固定費や、常連が繰り返し選ぶ料理、店主との関係という強みはある。ただし、それが実際に利益と現金につながっているかを確かめる必要がある。 ■これから残る店の条件 今回の資料からは、夜の飲酒需要の回復の遅さに、価格転嫁の難しさと、店ごとの固定費・資金余力の差が重なっていると見るのが妥当だ。 人口や飲酒習慣の変化は長期の背景になる。物価や政策も経営に影響する。ただ、それだけでは同じ時期に伸びる会社と縮む店が分かれる理由まで説明しきれない。 店を立て直すときも、「若者向け」「インバウンド」「ランチ」「テイクアウト」と看板を足せば済む話ではない。追加の仕込み、人員、容器、手数料まで含めてお金が残るか。大きな宴会場を埋める前提を変えられるか。飲まない人や少人数でも、食事そのものに対価を払って来てくれるか。検討すべきなのは、その店の商圏と収支だ。 経営者に必要なのは、売上の前年比に加えて、来店頻度、時間帯別の採算、料理と飲み物を合わせた粗利益、借入返済後の現金を見ることだろう。客単価が上がっていても、常連の来店間隔が広がっていれば、先の売上は安心できない。 支援する側にも、借入の追加だけでなく、省力化、事業承継、固定費の見直し、早い段階の経営相談を組み合わせる視点が要る。回復の見込みがある店と、無理を重ねている店を一律に扱わないことが大切だ。 居酒屋が担ってきた、食事をして、人と話し、近所で過ごせる場所の価値は残っている。その価値を、昔と同じ宴会の人数や酒の杯数だけで回収するのが難しくなった。 過去最多という数字から見るべきなのは、街から消えた看板の数だけではない。店主と従業員に無理を押しつけず、客も納得して通える値段で、店が続く条件をつくれるか。そこが、これからの居酒屋の分かれ目になる。 主な資料 [1] 東京商工リサーチ 2026年1~9月の居酒屋倒産 https://t.co/YDjRhqsasO [2] 日本フードサービス協会 2026年8月 https://t.co/QBgF0wMdcv [3] リクルート 2025年度外食 中食動向 https://t.co/YvDa7FWlgN [4] リクルート 職場の飲み会調査 https://t.co/vYZwJuAD61 [5] 日本政策金融公庫 2026年4~6月期調査 https://t.co/JqGWUaduFT [6] エターナルホスピタリティグループ 決算説明資料 https://t.co/EiilUeDIky [7] 鳥貴族 価格改定 https://t.co/CmSsynVssM [8] ヨシックスホールディングス 決算短信 https://t.co/cF0HlJJN2S [9] 東京商工リサーチ フーディアム・インターナショナル https://t.co/q9ly4OC8yr 2026年10月7日時点。本文の単純計算は説明用の仮定で、実在店の収支ではありません。
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about 6 hours ago
八潮の道路が陥没する前、下水道管にはカメラ調査が入っていた。 ところが、事故現場直下の映像は、水しぶきや流れの影響で撮れていなかった。映像のない部分も含むマンホール間全体が、当時「ランクB」と評価されていた。 2026年2月に出た原因究明委員会の最終報告は、この点を検証している。そして10月5日、国交省の検討会は、明確な診断が難しい場所を「診断保留」として扱う区分などを盛り込んだ、下水道管路の技術基準見直しのとりまとめを公表した。 インフラの老朽化を考える際、見ておきたいのはここだ。何年前につくったかに加え、何が分かり、何が分からず、いつまでに誰が対処するのか。橋と上下水道を追うと、点検から修繕につなぐ難しさと、その費用を引き受ける暮らしの問題が見えてくる。 ■ 八潮で分かったことと、言い切れないこと 2025年1月28日の八潮市の陥没事故では、トラックが転落し、運転手が亡くなった。約120万人に下水道の使用自粛が求められた。 原因究明委員会は、硫化水素によって腐食した県管理の下水道管に起因すると考えられる、とした。腐食や継手などの空隙から地中に空洞ができ、成長した過程を有力とした。ただし、道路の陥没と管の崩壊の前後関係など、すべての過程を一つに断定しているわけではない。 報告は、撮影できた区間にも、構造の情報共有、評価基準、不鮮明な映像などの問題があったと指摘している。一方、大量の下水を止められず流速も速い現場では、適用できる補修技術がなく、地表近くへの空洞の成長を予測・観測して陥没を未然に予測できたとはいえない、ともしている。 ここから特定の担当者や企業の過失、法的責任まで飛躍してはいけない。この委員会の目的は工学的な原因究明であり、責任の所在の確定ではない。 教訓は、撮れなかった場所を記録し、再調査や監視、当面の安全確保につなぐことだ。「点検実施」という一つの実績だけでは、その中に残った不確かさが見えなくなる。 埼玉県の最終報告と資料 https://t.co/OMRGN6OQau ■ 古い橋は増えている。それでも、対策の成果は出ている 国交省が2026年8月に公表した2025年度の道路メンテナンス年報によると、道路橋は約73万橋。建設年が分かる橋のうち、50年以上を経た割合は2026年3月末で44%、10年後は67%になる見込みだ。建設年不明の約19.3万橋は、この割合の計算から除かれている。 50年は全国の橋を一斉に「危険」と判定する期限ではない。傷み方は材料、塩分、交通量、環境、補修履歴によって違う。橋の実際の状態をみる仕組みが、原則5年に1回の定期点検と、次の4区分だ。 Ⅰは健全。Ⅱは予防保全段階。Ⅲは早期措置段階。Ⅳは緊急措置段階。 注目したいのは、50年以上の橋が増える一方、Ⅲ・Ⅳの橋は2018年度末の約6.9万橋から、2025年度末には約5.1万橋に減っていることだ。全国集計の変化なので、一つ一つの橋の改善だけを表す数字ではないが、古い橋の増加と深刻な損傷の増加が同じではないことは分かる。 ただ、対策は追いついていない部分もある。2020年度にⅢ・Ⅳと判定された地方公共団体管理の橋では、2025年度末までに修繕などへ着手した割合は79%、完了は59%。5年を経ても約2割が未着手だ。 この「未着手」には注意が必要だ。統計上の修繕等措置には、監視や通行規制、通行止めは含まれない。したがって、未着手の橋すべてが、何の安全措置もなく使われているとはいえない。それでも、規制を続ければ、住民や物流には迂回という負担が残る。 国交省は国会答弁で、財政や技術者の不足に加え、鉄道・河川管理者との協議なども説明している。遅れた理由を一律に怠慢とみなすのも、予算不足だけで説明を終えるのも十分ではない。個々の橋の工程と安全措置を確かめる必要がある。 道路メンテナンス年報の公表資料 https://t.co/dgIVjKj85k ■ 上水道の40年と、下水道の50年を混ぜない 水道管では、国交省が2026年4月の資料に載せた2023年度の全国値で、法定耐用年数40年を超えた管路が25.3%。同年度の更新率は0.61%だった。 この40年は減価償却のための年数で、40年と1日で管が使えなくなるという意味ではない。更新率も、その年に更新した長さを管路総延長で割った数字で、管の寿命や更新完了年を示すものではない。 それでも工事量の隔たりは大きい。同資料は、すでに40年を超えた約18.9万kmを2024〜2043年度の20年間で更新する場合、年約9,450kmが必要と試算する。2023年度の実績4,547kmの約2倍だ。これは現在の経年管を解消する仮定の計算であり、その間に新たに40年を迎える管まで含めた必要量ではない。 下水道は別の統計だ。2024年度末の総延長は約50万kmで、標準耐用年数50年を経過した割合は約7%。国交省の見通しでは2034年度末に約22%、2044年度末には約45%に増える。こちらも、その割合をそのまま故障率と読むことはできない。 年齢だけでなく、現在の傷みを調べた結果もある。八潮事故後の全国特別重点調査では、2026年6月末までに判定が済んだ5,209kmのうち、対策が必要な長さは807km、約15%だった。その内訳は、原則1年以内の速やかな対策が必要な緊急度Ⅰが218km、応急措置のうえ5年以内に対策する緊急度Ⅱが589km。確認された地中の空洞133か所は、すべて対策済みと報告されている。 対象は主に直径2m以上、設置から30年以上の管路だ。全国の下水道を無作為に抽出した調査ではない。「日本の下水管の15%が危険」という読み替えはできないし、空洞の対策完了と管路807kmの改築完了も別の話だ。 なお、この重点調査の「緊急度Ⅰ」と橋の「健全性Ⅰ」は意味が違う。判定の名称と対象を省いた数字の比較は、かえって実態を見えにくくする。 同じ理由で、道路陥没をすべて老朽下水管のせいにはできない。最新年報の市町村管理道路等の陥没9,844件では、道路排水施設が要因のものが4,054件、下水道が1,210件、要因未確定が2,550件ある。原因の分からない事故は、その段階の情報として扱う必要がある。 ■ 調べても、すぐに直せるとは限らない 八潮では、県道の暫定2車線供用が2026年4月15日に始まった。しかし、下水道幹線の複線化は別の工程で、県が2026年5月に示した見通しでは着工後5〜7年程度を要する。 管の中には、住民が毎日使う下水が流れている。水を止める手段がなければ、傷みが見つかっても人が入り、補修することは難しい。別の管へ流せるようにする工事は、事故への備えと同時に、平時に点検や修繕をできるようにするための投資でもある。 10月5日のとりまとめは、こうした問題を踏まえ、大口径管などの「重要管路」を区分し、化学・力学・地盤の3つの弱点が重なる箇所などでは3年に1回以上の点検、目視に加えた管厚測定などを示した。判定できない箇所を明示し、局所的な異状を一つずつ管理する方向も打ち出している。 ここは制度の進み方も分けて読む必要がある。7月23日公布の改正下水道法等と、10月の技術的なとりまとめ、現場で新しい点検が実施されることは、それぞれ別の段階だ。災害復旧工事の都道府県による代行制度は8月17日に先行施行されたが、新しい点検頻度がすでに全国で一斉に運用済みだと受け取るのは早い。 最新のとりまとめと全国特別重点調査 https://t.co/4xBR7fwq5W ■ 国と自治体の役割、その間にある人手の壁 道路の管理者は国、都道府県、市町村などに分かれ、下水道でも、公共下水道は原則として市町村、複数市町村の下水を受ける流域下水道は原則として都道府県が担う。八潮の管は県管理だ。「自治体」とひとまとめにしても、実際の責任者や会計は見えない。 国は基準や財政支援を整える。2026年度には、重要な上下水道管路の更新や複線化などを支える個別補助制度が新設された。それでも、調査の発注、結果の評価、工法の選択、他の埋設物や交通との調整、工事の監督を担う人は必要だ。 2026年5月時点の道路年報の調査では、橋梁管理に携わる土木技術者がゼロの自治体は、村で57%、町で20%、市・区で3%だった。これは自治体の職員全員がゼロという意味ではなく、橋の管理を担当する土木技術者の人数だ。 専門職を単独で確保しにくい町村には、共同発注や都道府県の技術支援、複数自治体での人材確保が現実的な選択肢になる。民間の技術や機材も重要だ。ただし、委託する側に、調査の質や修繕の必要性を判断する力まで不要になるわけではない。 ■ 住民が払う費用は、料金表にも、日々の移動にも表れる 横須賀市は2026年10月に水道料金と下水道使用料を改定した。市が示す口径20mm、2か月で30㎥を使う例では、上下水道合計・税込みで7,651円から8,487円へ。2か月で836円、月換算では418円の増加となる。既存の利用者への新料金の適用は、検針区分により12月または2027年1月からだ。 市は、人口減少による収入減、施設の老朽化、物価上昇を理由に挙げている。更新費のすべてが老朽管の交換だけに使われるわけでもなく、耐震化など別の必要性と重なっている。 横須賀市の改定内容 https://t.co/qWMR03OTbf 「平均で何%上がるか」だけでも、家計への影響は分からない。名古屋市の2025年10月改定では、上下水道合計の平均改定率は10.6%。一方、口径13mm・一般用で月10㎥使う公式の例は、税抜き1,225円から1,660円へ、435円増えている。同じ条件の金額で計算すると約35.5%増だ。 少量利用者への影響には、基本料金の引き上げと、基本料金に一定の水量を含める仕組みの廃止が重なっている。利用水量が減っても管や施設を維持する固定的な費用は残るため、経営側には安定した収入を確保したい理由がある。その一方で、使用量の少ない世帯にも負担が及ぶ。 これは標準料金の比較で、名古屋市の既存の福祉減免は継続されている。平均改定率と個別世帯の増加率を分けて示し、負担が重い世帯への支援も一緒に議論すべきだ。 名古屋市の料金改定説明 https://t.co/D7JGHX0r8J 下水道は、原則として雨水の処理を公費、汚水の処理を使用料で負担する仕組みで、公費を入れる例外もある。国費や一般会計からの支援を増やす場合も、負担が消えるわけではなく、誰がどの範囲を税で引き受けるかという選択になる。 人口が減れば収入は減るが、家が点在したままなら管の長さは同じ割合では減らない。施設の統合や規模縮小で将来の費用を抑えられる場合はある。ただ、橋の撤去や施設の集約で遠回りする人、工事中の不便を引き受ける人がいる以上、削減額だけで合理性を判断することもできない。 ■ これからの対策をどう評価するか 優先すべきは、損傷が深刻な施設と、壊れた場合に人命や暮らしへ大きな影響が及ぶ施設を、実際の対策につなぐことだ。年齢だけで一律更新するより、状態、地盤、代替路の有無、供給停止の影響を合わせて判断する方が、限られた人員と予算を使う根拠になる。 行政が住民に示すべきなのは、点検した件数に加え、診断できていない場所、対策が必要な場所、着手・完了予定、遅れる理由と当面の安全措置だ。料金改定を求めるなら、その負担で何をいつまでに直すのか、将来の更新費をどう見込むのかも示してほしい。 橋の年報には、維持管理を続ければ状態を改善できるという材料がある。八潮の検証には、通常の点検で見えなかった部分をどう扱うべきかという課題がある。料金改定には、それを支える費用を誰が引き受けるかという問題がある。 老朽化対策は、調査結果と工事計画、財源と担当する人をそろえて初めて前へ進む。料金の据え置きだけを成果にせず、値上げだけで安心ともせず、危険を減らした結果と負担の配分を確かめる。その両方を説明できる維持管理へ移れるかが、いま問われている。 ※2026年10月7日時点の公表資料に基づく。統計は調査対象と集計年度が異なるため、それぞれ明記した。
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about 7 hours ago
勤務先や診療科を知っている相手でも、連絡が本物とは限りません。名前や仕事の情報が組み合わされると、業務連絡に見せかけたメールを見分けにくくするおそれがあります。 旭化成セラピューティクスは10月6日、医療関係者向けサイト「Pharma DIGITAL」で不正アクセスがあり、個人情報が閲覧・取得された可能性を公表しました。 公表表では、医療従事者の氏名・所属施設・診療科などが最大約51万4000人、メールアドレス等を含む区分が最大約4万4000人。従業員の情報も最大約700人が対象となる可能性があります。区分間の重複は明示されていません。 同社は10月2日に委託先から報告を受け、サイトを停止。現時点で不正利用や被害は確認しておらず、対象のデータベースにカード情報や要配慮個人情報は保管していないと説明しています。 同社は対象者へ個別に連絡する方針です。不審なリンクや添付を開かず、確認は公式発表に記載された窓口から行ってください。 https://t.co/IQmEratauN
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@NEOyyss
about 9 hours ago
国道42号・串本町伊串~姫の約1.6kmは、7日午前7時に全面通行止めが解除され、片側交互通行に変わりました。 今朝お伝えした規制が緩和されましたが、通常どおりの通行に戻ったわけではありません。国交省は引き続き越波の可能性に注意を求めています。出発前に最新情報を確認してください。 https://t.co/pHJA7TzKcP https://t.co/6lBUV0sRQv
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about 10 hours ago
和歌山・串本町の国道42号、伊串~姫の約1.6kmは、7日0時20分から再び全面通行止め。国交省は7日6時現在も規制が続いていると案内しています。 6日21時30分の「解除」は片側交互通行への移行で、その後に再び全面通行止めとなりました。第3報では、解除の見通しは未定です。朝に通る予定の方は、昨夜の解除情報だけで判断せず、出発前に最新の規制を確認してください。 https://t.co/LgYvgYNxwn
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about 10 hours ago
和歌山・串本町の国道42号、伊串~姫の約1.6kmは、7日0時20分から再び全面通行止め。国交省は7日6時現在も規制が続いていると案内しています。 6日21時30分の「解除」は片側交互通行への移行で、その後に再び全面通行止めとなりました。第3報では、解除の見通しは未定です。朝に通る予定の方は、昨夜の解除情報だけで判断せず、出発前に最新の規制を確認してください。 https://t.co/LgYvgYNxwn
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about 20 hours ago
シチズンの情報漏えい懸念。確認したいのは、過去の問い合わせ履歴だ。 シチズン時計は10月6日、約10万人分の個人情報が流出した可能性を公表した。対象はシチズン、ブローバ、フレデリック・コンスタントの各サイトの問い合わせ情報。氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどに加え、相談欄に銀行口座やカード情報を書いていた場合は、それも含まれる可能性がある。 同社によると、不正アクセスがあったのは委託先のスカラコミュニケーションズ。自社のECサイトや会員サービス、生産システムなどへの不正アクセスは確認されていない。 https://t.co/mn1k8TD6Sv 委託先は、FAQシステム「i-ask」の管理サイトへの不正ログインと、不正プログラムの設置を説明している。影響の可能性は同じサーバー上の最大5社、最大71万3,126件の問い合わせ。これは延べ件数で、人数は重複を除いて確認中だ。シチズンの約10万人と単純に足すことはできない。 https://t.co/wMMeRjv5Mk 気になるのは、問い合わせ内容そのものの利用価値だ。仮に過去の相談内容と連絡先が渡れば、修理やサポートを装う連絡に具体性を持たせられる。これは想定されるリスクで、両社は現時点で二次被害を確認していないとしている。 シチズンは別システムへの移行中で、旧システムは新規受付には使わず、現在も継続対応に限って利用しているという。10月中旬で利用を終え、移行期間終了後に同システムの個人情報を全て削除する予定だ。 企業側の論点は、移行期間に何が残り、誰がアクセスでき、いつ削除されるのか。問い合わせの自由記述欄には、定型の登録項目を超える情報が入り得る。新しい受付先への切り替えと、残されたデータの管理を、一緒に確認する必要がある。 同社は対象者へ順次案内するとしている。不審なメールやSMSのリンクを開かず、公式サイトから窓口を確認したい。相談内容を知っている相手でも、それだけで本物とは判断できない。
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about 20 hours ago
簗農水相の道路予算発言、国交省が追加説明 先の検証記事で取り上げた、簗和生農水相の道路予算発言に続報です。国交省は10月6日午後、照会の経緯と配分額について説明しました。 前の記事:https://t.co/ZR89778QMr FNNによると、簗氏から予算成立前の2月中旬ごろに2026年度の配分額への問い合わせがあり、その場では分からないと回答し、後日、決定後の配分額を伝えたということです。担当者の記憶は明確ではなく、国交省は、その担当者が働き掛けや圧力はなかったと認識している、と説明しています。 https://t.co/KoBUh4vHMY テレビ朝日によると、那須烏山市と那珂川町が単独で実施する事業への配分は前年より減額。一方、それぞれの自治体内で行われる県の事業を含めた配分額は、約2割増えているという国交省の説明です。「減額」と「増額」では集計範囲が異なります。2自治体の合算が2割増という意味ではありません。 https://t.co/0m8Rg9Nrv0 前稿では、10月2日時点の説明を記し、不当な削減は断定していません。今回、経緯と数字について追加の説明が出たことを反映します。ただし、報じられた圧力否定は職員の認識に基づくもので、記録による裏付けの全容は、両記事では示されていません。 照会があったことと、配分を変えさせる働き掛けがあったことは区別する必要があります。減額・増額の数字だけで経緯を決めつけず、対象と年度をそろえた配分表、査定や照会の記録で確かめることが大切です。
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@NEOyyss
1 day ago
高市演説への野党批判は、どこまで当たっているか 「具体性がない」を、国会で答えの出る問いに変える 2026年10月6日 「国民をばかにしているのではないか」。高市早苗首相の所信表明演説に対し、立憲民主党の水岡俊一代表は10月5日の記者会見で、こう批判した。党が公表した会見記事によると、直接の対象は、消費税減税の財源確保について首相が「ご心配には及びません」と述べた説明姿勢だった。 強い批判である。ただ、その言葉だけを並べても、何が説明され、何がなお説明されていないかは見えてこない。首相の演説には、政策の方向、計画をまとめる時期、効果を検証する約束がある。野党側にも、財源への疑問、社会保障への目配り、減税という手段そのものへの異論があり、批判の中身は一様ではない。 今回の論戦で重要なのは、演説の熱量を採点することより、首相の約束を国会が検証できる形にすることだ。政府がどの資料を、いつまでに出すのか。野党はそれを受け、何を修正すれば賛成できるのか。そこまで踏み込んで初めて、「具体性」をめぐる応酬は生活に関わる議論になる。 立憲民主党・10月5日の水岡代表会見 https://t.co/0qBEhlnnLf 野党は、同じ理由で批判しているわけではない 時事通信が10月5日に配信した各党の反応を見ると、国民民主党の玉木雄一郎代表は、成長や投資を進める方向には理解を示しながら、減税財源の説明を求めている。成長路線への全面反対とまとめるのは正確ではない。 公明党の岡本三成代表も財源の根拠を問題にした。一方、参政党の神谷宗幣代表は減税の不利益への対応、民主改革の会の小川淳也代表はインフレ下での効果、チームみらいの安野貴博党首は物価高対策としての有効性に疑問を呈した。共産党の田村智子委員長は、税制改革の提案には財源の提示が必要だと批判している。 少なくとも、財源を明らかにしてほしいという要求と、その政策では支援が十分届かないという要求は、別々に答える必要がある。財源が確保できても費用対効果が悪い政策はあり得るし、効果が期待できても安定して続けられない制度もある。 与党側では、自民党の鈴木俊一幹事長、日本維新の会の藤田文武共同代表が、経済を成長軌道へ乗せる首相の決意を評価した。こちらも、決意への評価と、制度の完成度への評価を分けて読む必要がある。 各党反応・時事通信配信、TheNews掲載 https://t.co/R8UDEE0l45 演説には、検証に使える約束がある 高市首相は、成長を通じて賃金と税収を増やし、社会保障を支えるという筋道を示した。恒常的な施策を当初予算に計上し、長期の投資を促す考えも打ち出している。企業が毎年の支援継続を心配せず設備や人材に投資できるようにする、という政策上の理由は理解できる。 演説は、年内に成長戦略の実行計画をまとめ、目標、実施時期、必要予算、官民の役割、期待する成果を明らかにすると約束した。費用対効果を継続して調べ、効果の乏しい事業を続けないとも述べた。これらは、後で確かめられる具体的な約束である。 したがって、「言葉だけで何も約束していない」と切り捨てると、かえって政府を検証する手がかりを捨てることになる。問うべきなのは、約束した評価の仕組みが、予算を使い始める前に整うかどうかだ。 例えば、支援先を決めた後で目標を置けば、都合のよい成果だけを選びやすくなる。投資額だけを目標にすれば、設備ができても稼働率や雇用の質が低い事業を成功と呼べてしまう。支援がなくても実施された投資まで成果に数えれば、公費の追加的な効果は分からない。 事業を始める前の状態、比較対象、評価時期、目標に届かなかった場合の見直しを、最初に公表する。ここまで求めれば、野党の追及は首相の演説そのものに根拠を持つ。政府も、計画を出してから具体性を評価してほしいというだけでなく、その計画をどう評価できるようにするかを先に示せる。 FNN・10月5日の所信表明演説全文掲載 https://t.co/3SgFk5iI9w 「言及がない」と「暮らしへの道筋が薄い」を分ける 水岡代表は、医療、介護、雇用などへの具体的な説明が乏しいことも批判した。この論点は、演説本文と丁寧に照合した方が強くなる。 本文には、医療・介護などの生活に不可欠なサービスを守るため、AIの活用を進めるという記述がある。人材育成や高校・高等教育の改革にも触れている。関連する言葉が一切ないと読むのは行き過ぎだ。 ただし、関連分野を挙げることと、今困っている人が何を期待できるかを説明することには距離がある。医療や介護であれば、職員の確保、利用者負担、地域でのサービス維持、導入費用を誰が負担するかが問題になる。AIで事務作業を減らせるとしても、どの業務を置き換え、浮いた時間をどうケアへ回すのかを示さなければ、現場の改善にはつながりにくい。 成長による税収増を待つ間、支援を必要とする人をどう支えるかも残る。将来の供給力を高める政策と、来月のサービスを維持する政策では時間軸が違う。野党が求めるべきなのは、演説の単語数を増やすことより、この間を埋める措置の説明だろう。 政府側の最も強い反論は、雇用と所得を生む基盤が弱くなれば、社会保障を安定して支えることも難しくなる、という点にある。批判側の最も強い反論は、その基盤づくりの果実が届く時期も相手も一様ではなく、足元の困窮への対応を後回しにできない、という点だ。両方を予算と実施計画でつなぐ責任が、政権にはある。 減税の賛否より前に、何を決めたかを確認する 消費税と支援金の制度は、完全な白紙から議論されているわけではない。9月15日の大綱があり、国税庁・財務省も改正案の説明を公表している。一方、その案は国会で可決・成立した場合の内容だと、国税庁の特設サイトは明記している。演説、制度案、成立した法律、実際の給付は、それぞれ別の段階にある。 ここで改めて問うべきなのは、減税額の大きさだけではない。支援金の所得要件や額をいつ確定し、どこまでを法律で定め、その後の具体化をどの手続に委ねるのか。委任される部分があるなら、国会が確かめられる基準をどう残すのか。法案への賛否を求める段階で、暮らしに直結する条件がどこまで見えるかが重要になる。 時間差を具体的に示す箇所もある。与党が公表した大綱では、疾病や障害などで就業が難しく支援金の対象にならない人への措置は、2028年度中に結論を得て、必要と認めれば2029年度以降に実施するとしている。就業していない高齢者等についての検討期限は2030年までだ。既存制度による支援がなくなるという意味ではないが、新制度で生じる不足をいつ補うかには幅がある。減税や給付の開始に間に合う対応が必要かを、今の国会で問う理由になる。 財源についても、政府が使途や削減候補を検討していることと、必要額が年度ごとに確保されたことは同じではない。野党は「財源を示せ」と繰り返すだけでなく、項目別の金額、実現する年度、関連する制度変更、未達の場合の対応をそろえて出すよう求めるべきだ。政府が資料を出したなら、その内容に即して評価を更新する必要もある。 この確認は、減税への賛成を拒むための形式ではない。法案が成立した後に、給付を狭めるのか、別の負担を増やすのかを初めて知らされる事態を避けるためのものだ。逆に、最終予算がまだ決まっていないという理由だけで、準備中の政策を全て実現不能と断定するのも早い。 9月15日の与党大綱・制度設計と検討期限 https://t.co/ICKu98NkT3 国会で説明する時期まで約束できるか 成長戦略などを「年内」にまとめるとの約束には、国会との時間差が生じる可能性がある。今回の臨時国会の会期は12月12日までだ。年内公表という期限だけなら、閉会後の公表も含まれる。現時点でそう決まったという意味ではないが、国会で議論できる時期かどうかは別に確かめる必要がある。 与党は、どの計画の骨格を会期中に示し、確定後にはどこで説明するかを明らかにした方がよい。野党も、全ての細目が同時にそろうことだけを要求するのでなく、今の採決に必要な資料と、実施前までに必要な資料を分けて提示できる。 10月5日の立憲民主党の発表によると、斎藤嘉隆参院国会対策委員長は、消費税・支援金を巡る審議について、特別委員会も含めた検討や、少数会派の意見を取り上げる工夫を求めた。首相と関係大臣が答弁する必要性も訴えている。これは「中身がない」という感想を、誰にどこで説明させるかという手続に移す動きだ。 もっとも、委員会を増やせば自動的に審議が深まるわけではない。必要資料が採決直前に出され、分析する時間がなければ、形式だけ整っても実質は弱い。事前の資料提出、前提条件の公開、質問への具体的な回答、修正案を比較できる時間があるかを見るべきだ。 立憲民主党・10月5日の審議方法に関する発表 https://t.co/EYvTj8uf4Q 首相の出席時間と説明責任は、同じ数字では測れない 行政の仕事と国会答弁にどう時間を配分するかは、議論してよい。技術的な細目を担当大臣や実務者が説明した方が、答えが正確になる場面もある。首相が長時間座っていること自体を成果とするのは適切ではない。 一方、複数省庁にまたがる優先順位や、負担の配分、閣僚を任命した判断は、実務者だけでは決められない。首相が示した方針の根拠を、首相自身に確かめる機会が必要になる。効率化を評価するなら、削った時間とともに、そうした問いへの回答が保たれたかを見なければならない。 憲法62条は各議院の国政調査権を、63条は答弁・説明のため出席を求められた国務大臣の出席義務を定めている。具体的な審議日程の決め方には国会内の調整があるが、政府の説明を国会が検証する関係は、便宜だけで置き換えられるものではない。 質問する側にも準備が要る。同じ形容詞を繰り返すより、前回の答弁で未回答だった一点を特定し、必要資料と回答期限を示す。政府が説明した部分まで無視して批判を続ければ、重要な未回答事項まで政争として受け流されやすくなる。 公的予算の配分は、疑惑も否定も記録で確かめる 説明責任が抽象論にとどまらない例が、簗和生農水相の道路予算を巡る発言だ。10月5日のテレビ朝日報道によると、簗氏は、支持を得られなかった自治体の予算を大幅に削ったとする発言を撤回して謝罪した。同時に、担当省庁へ予算削減を働き掛けた事実はないとし、辞任を否定した。 国土交通省が公表した10月2日の会見で、井林辰憲国交相は、そのような形で予算を削減した事実はないとの報告を受けていると説明した。ただし、関係する数字や働き掛けの有無については精査中とも述べている。この時点の説明を、調査が完了した結論として扱うことはできない。 発言の不適切さと、実際の予算配分がゆがめられたかは、分けて調べる必要がある。撤回・謝罪があったから配分への疑問が全て解消したとは限らないし、発言があったことだけで実際の不当な削減を断定することもできない。 国会で確認すべきなのは、自治体の要望額、事業の進捗、配分基準、査定の経緯、関係者とのやり取りである。他の自治体との比較も必要だ。判断の記録を出し、通常の基準で説明できるかを確かめる方が、非難と否定を往復するより問題の核心に近づく。 国が国内投資を主導する方針を強めるなら、公費の配分に対する信頼は一層重要になる。大きな予算を用意する能力と、公平に配分したと説明できる能力を、同時に求めるべきだ。 テレビ朝日・10月5日の撤回、謝罪、働き掛け否定の報道 https://t.co/ykETvpLef0 国土交通省・10月2日大臣会見 https://t.co/tqaDT9G0r4 野党の代案にも、同じ具体性を求めたい 野党に代案が全くないという見方も粗い。公明党は10月5日付の党の論説で、生活を支える「ベーシック・サービス」の具体化を掲げ、安定財源と負担の在り方を議論する必要も認めた。国民民主党の9月26日の公式記事では、臼木秀剛北海道総支部連合会代表が社会保険料や住民税などの負担軽減策を、玉木代表が人材・科学技術への投資拡大を訴えている。 共産党の2026年総選挙政策には、消費税の5%への引下げとともに、医療・介護、教育への支出を増やす提案がある。継続的な政策全体で年30兆円規模とする所要額と、増税・歳出見直しを組み合わせた財源表も示している。これは党の試算と提案であり、政府が認定した増収見込みでも、成立済みの予算でもない。 代案があることは、議論の出発点になる。しかし、サービスの範囲や実施時期が未確定なら、政府案を批判するときと同様に具体化が必要だ。社会保険料を軽くする場合も、必要な医療・介護の費用を誰が負担するかは残る。公費へ移すのか、サービスの効率を高めるのか、給付の範囲を変えるのかで、受益と負担は違う。 財源表を持つ案では、税収が想定どおり増えるか、制度変更に何年かかるか、他の政策にも同じ財源を数えていないかを検証する必要がある。歳出削減には、削られる事業の受益者や契約への影響もある。表の合計が合っているだけでは、実行可能性の説明は終わらない。 もちろん、政府の説明不足を指摘するたびに、野党が国家予算の全体像を作り直さなければならないわけではない。監視と代案提示は異なる役割だ。ただ、自分たちの案の方が早く、広く、確実に生活を支えると主張するなら、対象、金額、時期、財源をそろえて比較する責任が生じる。 公明党・10月5日の政策論説 https://t.co/KwRmqd8wa8 国民民主党・9月26日の公式活動報告 https://t.co/pT2a1J93zw 共産党・2026年総選挙政策と財源提案 https://t.co/p5YTq7dMxc 国会が残すべきなのは、後で検証できる答えだ この国会で求めたい答えは、少なくとも五つある。 第一に、採決までに何を確定させ、後の決定に委ねる事項にはどんな基準を置くのか。第二に、政策ごとの費用と財源、実施時期を、同じ条件で比較できるか。第三に、成長投資の成果が届くまでの生活や公共サービスをどう守るか。第四に、目標を外したとき、誰が何を見直すか。第五に、配分と実施の記録を国会と国民が追えるか。 首相の演説にある期限と検証の約束は、この問いを進める材料になる。政府が根拠を示し、必要な修正に応じたなら、その変化を評価すべきだ。根拠が出ないまま賛成だけを求めるなら、批判には具体的な裏付けが生まれる。 野党も、強い言葉を放った後が問われる。何が不足し、どの説明で疑問が解け、どの変更を実現したのか。それを有権者に示してこそ、監視の働きは見える。 「ご心配には及びません」を信頼できる説明に変えるのは、首相の確信だけでは足りない。数字、条件、手続、そして実施後の記録が要る。演説への評価は、そこまで積み上げて決めたい。
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about 20 hours ago
楽天ドライブが10月6日、不正アクセスによる情報の取得・閲覧を公表しました。 写真・文書などの保存データが対象となったのは15,382アカウント。対象期間は2026年1月29日〜9月17日です。別に8月27日には、687アカウントのアカウント名など、313アカウントの暗号化パスワードなどが対象となりました。区分間の重複は公表文で示されておらず、単純合計はできません。 運営側は不正アクセス経路を遮断し、対象者に個別通知すると説明しています。現時点で二次被害は確認されていないとのことです。 利用している人は、自分宛ての案内を確認しておきたいです。心当たりのない請求や脅迫、なりすましの連絡には応じず、公式窓口に相談を。 https://t.co/WmNxOsmrd8
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about 21 hours ago
今年のノーベル物理学賞は、Francis Halzen氏(米ウィスコンシン大学マディソン校)に。南極の氷を使うIceCubeの実現と、宇宙由来の高エネルギーニュートリノの発見への貢献が評価されました。 約1立方キロの氷に光センサーを埋め、ニュートリノがまれに反応したときに生じる光を捉える。巨大な氷の塊が、遠い宇宙の激しい現象を調べる観測装置になる。その発想を形にした国際チームの積み重ねにも注目したいです。 https://t.co/ngX2869fPn
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about 22 hours ago
ファミマにあるゆうちょATM約5400台が、2027年1月から約3年かけて順次営業終了へ。置き換わるセブン銀行運営の「ファミマATM」でも、ゆうちょカードで預入・引き出しはできます。 気をつけたいのは手数料。2026年10月時点の料金を比べると、平日8:45〜18:00は、現在のゆうちょATMなら無料、セブン銀行ATMでゆうちょカードを使うと1回220円です。時間帯によっては330円になります。 切替日は店ごとに異なり、料金も変更される可能性があります。いつもの店でも、切替後はATMの運営元と画面の料金を確認しておきたいです。 https://t.co/6TjntwDckz
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about 23 hours ago
人手不足で店が閉まる一年を追う 閉店 休業 再開から見える地域の商売と暮らし 2026年10月6日時点 沖縄県渡嘉敷村で、島内最大の品ぞろえを持つ「JAショップとかしき」が10月1日から再び休業した。8月に一度休み、営業時間を短くして再開したばかりだった。 琉球新報によると、8月の休業には店長の健康上の事情があり、10月の再休業は支店長と店長の任期終了後の後任が決まらなかったため。10月6日までに確認した報道では、再開時期は未定である。店には買い物の需要があっても、営業を担う人を継続的に確保できなければ扉を開けられない。 渡嘉敷の最新報道 https://t.co/FN7gq99gvt この一年のニュースを読むと、人手不足で営業を終える店、その前に時間やサービスを減らす店、営業形態を変えて再開した店や、別事業者による再開を計画する店が見つかる。一方、設備の老朽化や原材料高、経営者の健康、後継者難が重なった例も多い。「人手不足」という一語だけでは、閉店までの経緯も、残せるものも見えてこない。 本稿は2025年10月6日から2026年10月6日までに公表・更新された店舗告知と報道を中心に、発生日と続報を確認した。全国の全閉店を網羅した統計ではない。店舗を中心に、宿泊施設や診療所の提供時間の縮小も補足する。店頭だけの告知、非公開のSNS、購読が必要な記事などは取りこぼし得る。それでも、個別の経緯をつなぐことで、何が営業を止め、何が再開を可能にするのかは具体的に考えられる。 1 完売する店も営業を縮める 岡山市の「べんとう日々乃」は、2025年10月31日で内山下店を閉めた。翌11月1日の公式告知では、人手不足のため本店の業務へ集中すると説明している。昼に完売する日も多かったという。閉店後の注文や配達は、西大寺本店が対応すると案内した。 日々乃の公式告知 https://t.co/SFyUXzX2qR その後も商売は変わった。2026年5月29日の別の告知では、5月31日で店頭での通常販売を終え、6月から予約販売と企業・団体向け配達弁当を中心にするとした。事前予約による店頭受け取りは残す。後の告知には人手不足を理由とする記載がなく、二つの変更を同じ原因で説明することはできない。 ただ、経過から分かるのは、予約なしで利用できる店頭販売がなくなることと、事業そのものがなくなることの違いだ。会社や店主が残る仕事へ人を集めても、以前のようにふらりと買えた客の利便性は変わる。 兵庫県のブーランジェリーHONDA高砂北浜店も、2025年12月15日の公式発表で人材不足を挙げ、同28日で閉店するとした。系列の別店舗を利用先として案内しており、ブランド全体の廃業ではない。 完売や行列は、需要が存在する手掛かりにはなる。しかし、そこから黒字だったと断定することはできない。販売量を抑えて完売している場合もあり、原価、賃金、家賃、借入返済まで確認しなければ、利益と資金繰りは分からない。 2 店を減らして人を育て直す判断 札幌のパン店「どんぐり琴似店」は、2026年3月31日で営業を終えた。公式告知は、最終日までの営業も10時から19時へ短縮するとしていた。 1月8日のリアルエコノミーの取材で、野尻雅之社長は閉店の最大の理由を人手不足と説明した。同時に、ここ数年の出店をいったん立ち止まり、従業員の成長に力を振り向け、将来に備える考えも示した。 どんぐり社長への取材 https://t.co/uEn3abfVyn 東京の「三鷹みかづき酒房」では、3月22日の閉店について、店長の独立に向けた準備と学生スタッフ3人の卒業が重なったことが、店舗SNSを基にした地域メディアで報じられた。人員を吉祥寺本店へ集める方針だった。 ここで不足しているのは、単純な人数だけではない。店を任せられる人、特定の時間に働ける人、仕事を教えられる人が同時に必要になる。店長が一人加わることと、短時間の応援が数人来ることは、同じ代替にならない。 閉店には経営判断が含まれる。残る店の働き方や品質を守るために支店を減らすこともある。こうした事例を会社全体の経営破綻として伝えると、実際に起きている再配置が見えなくなる。 3 必要な時間に必要な技能がそろわない 東京競馬場のそば店「梅屋」は2026年2月22日で2店舗の営業を終えた。前年末に閉めた中山競馬場の2店舗に続く撤退だった。日刊スポーツが2月20日に伝えた店主の説明では、主な理由は人手不足で、パート従業員の高齢化や新しい人材の定着難があった。 梅屋店主への取材 https://t.co/KoSYfMNvjc 求人を出すだけで、経験のある人が必要な日に働けるとは限らない。同記事では、店主が短期の応援をすぐ戦力にできる職場ではないと考えていたことも紹介されている。繁忙日に注文をさばく作業は、レシピが分かることだけでは成立しない。 人を育てるには、教える人の時間がいる。欠員を残業で埋め続ければ、育成の時間も休みも削られる。これは個別店の労務実態を断定する話ではないが、採用と定着、教育、営業量を一緒に設計しなければならない理由になる。 4 休業の先は閉店だけではない 北九州市の「食処さんぞくや帆柱店」は、4月1日の公式告知で閉店を発表した。人員不足で休業していたが、再開の見通しが立たなかったという。告知には、他店舗は通常営業していると明記されていた。休業開始日や最後に客を迎えた日は、この告知だけでは確定できない。 一方、千葉県鎌ケ谷市の「萬盛庵」は、店主の体調と人手不足が重なり、2025年11月16日でいったん店を閉めた後、2026年2月8日に「中華 萬盛庵」として再開した。店主に話を聞いた地域媒体の取材では、再開に合わせてメニューを中華中心に絞り、出前をやめる方針が示されていた。 福岡県久留米市の「Ramen Toiro」も、8月16日でいったん閉店した。地域媒体が紹介した店の告知は、人員不足などで安定した経営が難しくなったと説明し、移転や別店舗での再開を検討するとしている。将来の意向と、実際の再開は分けて読む必要がある。 店を一度閉じても、同じ場所で少ない仕事量から再出発することはある。反対に、再開予定が示されても人員が整わず、休業が長引くこともある。最初の閉店記事だけで結論を出さず、その後の告知を見ることが欠かせない。 5 スーパーや給油所では地域の負担が大きい 鹿児島県さつま町のスーパー「フレッシュ☆くまだ」は、2025年10月31日で営業を終えた。鹿児島テレビは11月5日、人手不足と設備費の高騰などを背景として報じた。鮮魚など独自の商品をそろえてきた店だったが、来店客に支持されることだけで、人員や設備の問題を解消できるわけではなかった。 佐賀市の「栄玉本庄店」も、2026年1月31日で閉店した。佐賀経済新聞は、設備の老朽化や人手不足を理由として伝えている。跡地には別の小売店が開く計画が報じられたが、閉店から新店までの空白は生じる。新店の商品や営業時間が以前と同じとは限らない。 箱根町の宮ノ下給油所では、運営会社が人員確保の難しさと地下タンクの更新負担を説明し、2026年3月末で閉鎖した。人を雇えればすべて解決する事例でも、設備を直せばすぐ続けられる事例でもなかった。 その後、新たな運営者がセルフ式に転換し、11月に再開する計画が報じられた。9月のTBSの取材では、箱根町が給油所の維持などに充てる補助金計1070万円の一部を、改修費へ支援するとしている。10月6日時点では、再開済みではない。 箱根の再開計画を伝える続報 https://t.co/m3XsC91A0Z 店の採算だけで判断すると、住民が負担する移動時間や交通費、配達の手間は表に出にくい。給油所なら日常の買い物だけでなく、地域の配送や業務車両にも関わる。店を残す支援を考えるときは、利用者数と売上だけでなく、代わりの店まで到達できるかを確かめる必要がある。 6 求人の外側に住まいと生活の条件がある 渡嘉敷島のケースでは、8月の再開を求める署名が約500人分集まったと琉球新報が報じた。村長は、人手不足に加えて住環境の整備も課題として挙げていた。同店は村内で唯一、農業用肥料などを扱う店でもある。 働き手を島外から迎える場合、応募の意思があっても住む場所が必要になる。人員の交代時に引き継ぎや代替要員を用意できるかも、営業の継続を左右する。店長の交代が決まらず再び休む経過は、一度開け直したことと、続けられる体制ができたことの差を示している。 山間部では営業期間そのものが限定される。北海道の「大雪高原山荘」は、従業員の確保が難しいとして、2025年に続き2026年シーズンも休業することが公表された。これはこの一年に新しく発生した永久閉鎖ではなく、季節営業の休止延長である。 技能や資格の条件もある。小樽市の原田歯科医院は1月15日の公式告知で、有資格職員の人手不足と働き方改革に対応するため、4月から午後の診療時間を変更し、7月から土曜日をすべて休診にすると説明した。閉院ではないが、受診できる時間は変わる。 同じ人手不足でも、地域、通勤手段、住居、必要な技能、勤務できる時間によって中身は違う。全国の求人数と求職者数が同じだけあっても、それだけで各地の店が開くわけではない。 7 倒産統計が示す危険と示さない数 東京商工リサーチが10月5日に公表した2026年度上半期、4月から9月の人手不足関連倒産は240件。前年同期から17.0%増え、同期間では調査開始の2013年以降最多だった。このうち人件費高騰に分類されたものが130件で、半数を超えた。 東京商工リサーチ 2026年度上半期 https://t.co/V13354sKVf この集計は、負債1000万円以上の企業倒産から、求人難、従業員退職、人件費高騰に関連するものを抽出し、後継者難を除いている。つまり「誰も応募しなかった会社」だけの数字ではない。 帝国データバンクの9月8日公表資料では、人手不足倒産は2026年1月から8月で304件、前年同期比6.7%増。こちらは負債1000万円以上の法的整理が対象だ。対象期間と集計方法が違うため、240件と304件を足したり、増加の勢いをそのまま比較したりはできない。 帝国データバンク 2026年8月報 https://t.co/is0z1Ocqn6 企業一社が複数の店を運営する場合があり、倒産後も再建のために営業を続ける場合もある。倒産しなくても、支店だけを閉めることはできる。これらの数字から「全国で何店が人手不足のため閉まった」とは計算できない。 黒字廃業という言葉にも注意したい。2025年の休廃業・解散調査では、直前期に黒字だった企業も確認されている。しかし、これは人手不足だけを理由にやめた企業の集計ではない。経営者の年齢、後継者、設備投資、将来の収益見通しなどを含む退出全体を、人手不足による閉店へ置き換えることはできない。 8 働く人が増えても不足は残る 総務省の労働力調査では、2026年8月の就業者は6849万人で、前年同月より14万人増えていた。完全失業率は季節調整値で2.5%。人手不足を、働く人の総数が単純に減っているという説明だけで捉えることはできない。 厚生労働省が10月2日に公表した8月の有効求人倍率は季節調整値で1.18倍だった。これはハローワークの求人・求職に基づく数字で、日本中の採用活動をすべて集めた倍率ではない。同資料では宿泊・飲食サービスの新規求人が前年同月比11.1%減っているが、募集を抑えることと、必要な人が採れていることも同じではない。 帝国データバンクの7月企業調査でも、飲食店業の回答企業のうち非正社員の不足を感じる割合は57.7%と高かった一方、前年同月より4.1ポイント改善していた。回答企業の構成や各社の営業量にも左右されるが、どの業種でも一方向に悪化していると決めつけるのは正確ではない。 シンクロ・フードが飲食店の経営者・運営者290人へ行った春の調査では、翌日、従業員1人が感染症などで急に出勤停止となった場合、臨時休業せざるを得ないと答えた割合が27.6%だった。ただし、回答は首都圏や小規模店に偏る会員アンケートで、全国の飲食店の約3割が実際に閉まったという結果ではない。営業に余裕が少ない店の事情を知る資料として読むべきだ。 9 賃金と仕事の設計を一緒に見る 人が集まらないなら、まず募集条件を点検する必要がある。提示賃金だけでなく、拘束時間、休日、勤務表の予測しやすさ、通勤や住居の負担、教わる体制、仕事の責任に見合う待遇があるか。同じ時給でも、働きやすさや続けやすさは変わる。 一方で、賃金を上げた分を支えられる売上と利益も必要になる。人件費が増えても、食材費や家賃などを支払った後に資金が残らなければ、採用を続けられない。人件費高騰を含む倒産の増加は、この側面も示している。 ただし、人件費の上昇を理由に賃上げ自体を失敗とみなすのも早計だ。賃金は従業員の生活を支え、他の仕事と比較して選ばれるための条件である。低い待遇を維持して人が残らなければ、売る機会そのものを失う。 厚生労働省の7月確報では、パートタイム労働者の所定内時給は1455円、前年同月比5.4%増だった。ただし常用労働者5人以上の事業所を対象とする調査産業計の値で、ここに挙げた店の賃金水準を示すものではない。 今回の公開情報だけでは、各店の募集時給、応募件数、離職率、経営者の労働時間を横並びに検証できなかった。したがって「どこも賃金が低いから閉まった」「どの店も十分払っていたのに採れなかった」とは言えない。足りなかった条件を具体的に調べることが、次の一歩になる。 10 省力化で残せる仕事と残る仕事 営業時間を守るための工夫も進んでいる。三洋堂書店の乙川店では、9月21日以降、有人営業の前後に無人で入店・購入できる時間を設けた。機器を提供するHOUSEIの発表では、有人は9時から22時、無人は7時から9時と22時から24時。すべての業務を無人化した店という意味ではない。 ファミリーマートは9月3日、新型POSレジの本格導入を発表した。自動釣銭機などと組み合わせ、レジ関連業務を一日当たり2割削減する設計を示している。店舗の一日当たりの総労働時間を2030年度までに2025年度比で約2割減らすという別の目標もある。導入を始めたこと、目標、実際に得られた効果は区別したい。 ファミリーマートの発表 https://t.co/YpLIYGIBD9 会計や注文を機械化できても、調理、品出し、清掃、設備の管理、困っている客への対応は残る。投資額や保守費用もかかる。省力化は、人をどれだけ減らしたかだけでなく、残る人が休めるか、教育できるか、利用者がサービスから取り残されないかで評価する必要がある。 11 便利さをどの時間帯まで支えるか 7月のAdverTimes.の取材に、セブン‐イレブン・ジャパンは、テスト中を含め営業時間を変更している国内店舗が約1400店あると答えている。これは閉店した店舗数でも、この一年だけの新規時短店舗数でもない。 同記事で紹介された反応には、利用の少ない深夜は短縮してよいという意見と、夜勤の人や夜道で頼れる場所として必要だという意見があった。記事が取り上げた議論であり、全国の賛否の比率を測ったものではない。 考えるべきなのは、従業員が無理を続けることで、すべての場所の同じ営業時間を維持できるかという問題だ。営業を短くして店が残る場合もある。その際には、夜に働く人がどこで買えるのか、移動が難しい人は何を利用できるのかを一緒に確認したい。 スーパーの撤退を宅配で補うとしても、注文方法、最低購入額、配達料、届く曜日が合わなければ代わりにならない。別の店が車で行ける距離にあっても、車を使えない住民には同じ条件ではない。地域の商業を考える尺度には、営業店舗数に加えて、実際に使える時間と到達しやすさが必要になる。 12 閉まった数より営業を続ける条件を追う この一年をつなぐと、支店を閉めて本店へ集中する動き、仕事を減らして再開する動き、設備投資と事業承継で拠点を残そうとする動きが見える。反対に、一度再開しても人員をつなげず、また休む店もあった。 どの店も無期限に残せるわけではない。経営者が退く選択も、従業員が別の仕事を選ぶことも尊重されるべきだ。そのうえで、地域に必要な機能をどう引き継ぐかを考える余地はある。 個別の閉店で確かめたいのは、いつ、どの拠点が、どの形で営業を終えたのか。人手不足は誰が説明し、ほかの理由は何か。残った事業と利用者の代替手段はあるか。そして再開や承継の発表が、実際の営業へつながったかである。 「人手不足で閉店」という張り紙の先には、働く条件、設備の更新、店を任せる技能、住まい、客が支払える価格がある。そこまで追って初めて、店の都合と住民の不便を、同じ問題として考えられる。 資料について 本文で紹介した事実関係は、事業者の公表資料または出典を明示した報道による。原因が事業者の説明にとどまる場合、独立した会計・労務調査で証明された因果関係としては扱っていない。統計の対象期間は各段落に記載し、本文で紹介した個別店が倒産統計に含まれるとも推定していない。主な出典は本文に付記した。
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NEO|日本のいまを読む
@NEOyyss
about 24 hours ago
冬の光熱費と補助金の行方 灯油 電気 ガスの支払いを確定情報で読む 2026年10月6日時点
@NEOyyss
灯油の価格上昇や、電気・都市ガスの補助終了と料金改定で、同じ量を使っても支払いが増える家庭がある。暖房を本格的に使う季節を前に、家計には異なる理由による負担増が重なっている。 ただし、「燃料の補助が一斉に終わる」と理解すると、対策も金額の見積もりも間違ってしまう。10月6日現在、ガソリン、軽油、灯油、重油への国の緊急支援は続いている。一方、夏の電気・都市ガス料金支援は、原則として9月使用分、10月検針分まで。新しい冬季支援の決定は、確認した政府の公表資料にはまだない。 今冬の負担を考えるには、なくなる値引き、燃料価格の変動、料金体系の改定、寒さによる使用量の増加を分ける必要がある。同じ「月1,000円の値上がり」でも、灯油で家全体を暖める家庭と、電気で一室を暖める家庭では、その先に控える支払いが違う。 1 ガソリンも灯油も国の支援は続いている 資源エネルギー庁の特設サイトが9月30日に更新した支給単価は、10月1日以降、ガソリン、軽油、灯油、重油がいずれも1リットル50.7円である。3月19日に始まった、中東情勢を踏まえた緊急的な価格抑制措置だ。 これは石油元売り・輸入事業者に卸価格を抑える原資を支給する仕組みで、家庭の購入明細に50.7円が別枠で戻ってくる制度ではない。今の店頭価格から、さらに50.7円を引いて考えることもできない。 目安となるのはガソリンの全国平均小売価格170円程度。各給油所の価格を一律170円以下にする上限規制ではなく、灯油や軽油を170円に固定する制度でもない。同じ補助単価でも、それぞれの製品の需給、仕入れや配送の費用、地域の販売条件によって小売価格は変わる。支給単価も見直されるため、50.7円を冬の全期間に当てはめることはできない。 古い記事との混同にも注意したい。ガソリンの税率引下げにつなぐための定額補助と、現在の緊急措置は経緯が異なる。ガソリンの揮発油税等は2025年12月31日から、通常地域で1リットル53.8円から28.7円へ下がった。軽油引取税も2026年4月1日から32.1円から15円へ下がっている。これらは実施済みの税率変更であり、今秋に補助が終わって税率が元へ戻るという話ではない。 灯油と重油には、ガソリンの25.1円、軽油の17.1円という同じ減税はない。その違いは重要だが、そこから「いま支援が残っているのは灯油だけ」と結論づけることはできない。 資源エネルギー庁の現在の燃料油支援 https://t.co/GsfYfUy7MW 2 電気と都市ガスは使用月と請求月を分けて読む 今回の国の夏季支援は、次の単価で実施された。電気の低圧は主に家庭向けで、金額は使用量に応じて決まる。 ・7月使用分 電気低圧3.5円/kWh 都市ガス14円/m³ ・8月使用分 電気低圧4.5円/kWh 都市ガス18円/m³ ・9月使用分 電気低圧3.5円/kWh 都市ガス14円/m³ 高圧電気の支援も同じ期間で、7月と9月が1.8円/kWh、8月が2.3円/kWh。都市ガスは家庭と年間契約量1,000万m³未満の企業等が対象だ。LPガスは、この都市ガスの全国一律の値引きとは別の扱いになる。 原則として7月使用分は8月検針分、9月使用分は10月検針分に対応する。10月の請求に値引きが載っていても、10月に始まる使用期間まで支援が延びたとは限らない。「使用分」は暦の1日から末日とは限らず、検針に応じた使用開始日を基準にする。口座から引き落とされる日も、使用月そのものではない。 ここには例外がある。事務局のFAQでは、8月使用分から値引きを始めた事業者は10月使用分まで対象にできる。したがって「11月の請求から全国の全家庭で補助がゼロ」とは言い切れない。契約先の案内と、明細に書かれた使用期間・値引き単価の確認が必要だ。 また、ネットに残る「2026年1~3月の冬季支援」は、すでに過ぎた冬の制度である。これから迎える2026年末~2027年初めの支援と読み替えてはいけない。10月6日時点で新たな冬季支援の決定を確認できないことは、その後も実施されないと確定したことを意味しない。 経済産業省の支援単価と対象期間 https://t.co/UNSUdUsDCw 3 同じ使用量でも11月の負担は増える すでに公表された料金をみると、補助の終了だけでは説明できない増額がある。 東京ガスが9月29日に公表した東京地区等の一般料金では、月30m³を使うモデルの料金は、10月検針分5,744円から11月検針分6,488円へ、744円増える。内訳は原料費調整174円、約款改訂150円、補助終了420円。10月1日付の約款改訂が、11月検針分から反映される。 この420円は30m³×14円で確かめられる。残る324円まで「補助終了で増えた」と数えると、負担の原因を取り違える。これは東京地区等の一般料金・30m³という条件のモデルで、全国のガス利用者の平均請求額ではない。 東京電力エナジーパートナーの従量電灯B、30A、月260kWhのモデルは、10月分8,275円。11月分は旧料金単価で9,307円、新料金単価で9,561円となる。補助終了分は910円、燃料費調整の変化は約122円。新旧の料金単価による差は254円である。 11月1日には託送料金の変動を反映する料金見直しがある。11月分の料金は、料金算定期間と改定日との関係に応じて、新旧単価を日割りして計算する。9,561円を全契約者の確定請求額として示すのも正確ではない。これらのモデルには消費税等と再エネ賦課金が含まれる。 北海道電力の従量電灯B、30A、月230kWhでは、10月9,266円に対し、11月の見直し後単価によるモデルは10,552円。1,286円の増額のうち、805円が補助終了、481円が基本料金・電力量料金の変化である。補助前の燃料費等調整単価は、両月とも1kWh当たりマイナス4.54円で変わっていない。 いずれも使用量を固定した比較だ。11月の実際の請求は検針期間や料金改定の適用、家庭ごとの使用量によって変わる。本格的な冬に暖房や給湯の使用が増えれば、数量の増加による負担がさらに加わる。 東京ガスの11月検針分の料金と増額要因 https://t.co/J6pWeiAauA 4 補助がなくなる分だけを家計で計算する 9月使用分と同率の補助がある場合と、ない場合を、同じ使用量・同じ料金条件で比べてみる。補助の差だけなら、電気は使用kWh×3.5円、都市ガスは使用m³×14円で計算できる。 ・電気200kWhと都市ガス15m³ 700円+210円=月910円 ・電気260kWhと都市ガス30m³ 910円+420円=月1,330円 ・電気400kWhと都市ガス30m³ 1,400円+420円=月1,820円 ・電気600kWhと都市ガス50m³ 2,100円+700円=月2,800円 ・電気のみ800kWh 月2,800円 これは各世帯類型の平均使用量を示したものではなく、自分の明細と照らし合わせるための仮定計算である。都市ガスを使わない家庭にガス分を足すことも、LPガスの使用量に14円を掛けることもできない。オール電化では、暖房だけでなく給湯なども電気使用量に含まれる。 この差額を、そのまま前月比や前年同月比の値上がりと呼んではいけない。料金単価、燃料費調整、契約容量、使用量、計量日数が変われば、請求総額の差は別の金額になる。冬の支援が追加されるかどうかも、いまは未確定だ。 5 灯油は支援が続いていても高い 北海道の消費生活モニター調査では、9月10日時点の灯油の税込配達価格は全道平均1リットル144.3円だった。前年9月の125.0円より19.3円、15.4%高い。国の支援が続いていることと、家計にとって十分安いことは同じではない。 同じ量を買う場合で計算すると、100リットルは14,430円で前年同月の価格より1,930円多く、200リットルは28,860円で3,860円多い。これは9月の調査価格を使った購入額の比較であり、冬の価格や標準使用量の予測ではない。モニター数は月によって異なるため、同じ店・同じ家庭だけを追った厳密な比較でもない。 10月の具体的な改定もある。札幌の北海道大学生活協同組合は、10月1日受注分から定期配達の灯油を税込1リットル159円とした。9月30日受注分までは144円だった。この定期配達は、教職員の組合員で自動振替契約をしている人向けの条件で、全国の価格ではない。 この契約で同量200リットルを注文すると仮定すれば、28,800円から31,800円へ3,000円増える。小口配達2缶以上の価格は別に設定され、10月1日受注分から1リットル169円、18リットル1缶3,042円である。「灯油1リットル159円」とだけ書けば、配達条件の違いを落としてしまう。 北海道の9月平均144.3円と、この事業者の10月価格159円を直接比べて「北海道全体が14.7円値上がりした」とは言えない。調査時点も契約条件も異なる。比較すべきなのは、同じ販売先の改定前後か、同じ調査の時系列である。 家計の感度をつかむなら、灯油が1リットル10円動けば、同量200リットルの購入額は2,000円動く、と考えると分かりやすい。これも価格変動の計算例で、値上げ予告ではない。 北海道の灯油価格調査 https://t.co/Oc0wL46Cg2 6 全国平均では見えにくい冬の家計 地域差は、暖房機器の選択にも表れる。環境省の2023年度調査、2025年6月公表の確報では、最もよく使う暖房が灯油ストーブ類という世帯は北海道57.7%、東北49.6%。北海道でエアコンを主な暖房としていた世帯は1.8%だった。 同調査の年間の電気・都市ガス・LPガス・灯油の支払額は、北海道が1世帯24.55万円、関東甲信が16.82万円。灯油だけではそれぞれ7.90万円、0.70万円となる。水道や自動車燃料を含まない当時の年間平均で、今年の冬の見積額ではないが、電気代だけで寒冷地の負担を語れないことは分かる。 住宅の断熱性能、広さ、暖める部屋の数、在宅時間も使用量を左右する。古い家で長く過ごす高齢者、乳幼児や介護を必要とする人がいる家庭は、暖房時間を短くするという選択を取りにくい場合がある。ひとり暮らしでも、冷蔵庫や給湯などの負担が人数に比例して小さくなるわけではない。 総務省の2025年家計調査では、二人以上世帯の「光熱・水道」は1か月平均24,547円。そのうち電気13,219円、ガス4,882円、他の光熱1,379円で、水道を除く3費目を足すと19,480円になる。これは一年を通じた平均で、冬の標準請求額ではない。 65歳以上の単身無職世帯では、光熱・水道は月15,565円で消費支出の10.5%を占めた。ここには水道も含む。年金生活の家庭を考えるときは、請求額の大きさに加えて、毎月の支出のどれだけを占めるかを見る必要がある。 賃貸住宅では、料金を払う入居者が断熱窓や給湯器の交換を自由に決められるとは限らない。国の「賃貸集合給湯省エネ2026事業」はあるが、対象となるオーナー等と登録事業者を通じて進める設備更新の支援だ。入居者への毎月の光熱費給付ではなく、目の前の支払いを直ちに埋める制度でもない。 冬の負担は、節約する気持ちだけでは決まらない。寒さ、住まい、収入、家族の状態によって、減らせる使用量に差がある。 7 LPガスと福祉灯油は自治体の条件を確かめる 都市ガスの補助があるのに、プロパンガスの明細では同じ値引きが見つからない。これは制度が別だからだ。国は重点支援地方交付金を通じてLPガス利用者などへの支援を促しているが、額や期間、対象は自治体ごとに異なる。 北海道の第6次LPガス利用者緊急支援は、7~9月利用分、8~10月検針分から、1契約につき期間合計で最大2,000円を税別で値引きする。毎月2,000円ではない。利用者の手続きは不要だが、契約先の販売事業者が参加している必要がある。販売事業者の申請受付が9月30日に終わったことと、利用者の10月検針分への値引きがなくなったことは別である。 低所得世帯などを対象にした冬の支援は、本人から申請しないと受けられない場合もある。江別市は9月25日、灯油200リットル購入相当額などを支給する年末見舞金について、10月1日~11月6日の申請受付を案内した。対象世帯には、物価高騰対応の給付金1万円も上乗せする。 ただし、12月1日時点で市内に居住し、今年の世帯年間収入が生活保護基準以下で、生活保護を受けておらず、施設入所・長期入院をしていないことなどが条件となる。市社会福祉協議会の歳末見舞金の支給対象であることも必要だ。「高齢者なら誰でも」「非課税なら全国で同額」と受け取れる制度ではない。 自分の地域では、市区町村の今年度の案内で「福祉灯油」「暖房費助成」「冬の生活支援」を確認したい。検索で出てきた2026年1月の案内は、前の冬の受付を指していることがある。年度、申請期限、所得や世帯の条件をそろえて見る必要がある。 江別市の今年の冬の支援と申請案内 https://t.co/TCeD6zOVlX 8 支援の財源と届き方をどう考えるか 政府は夏季の電気・ガス支援について、暑い時期に必要な使用を確保し、生活者や企業の負担を軽くするための措置と説明した。2026年度予備費の予算額は5,135億円である。値引きの原資は国から事業者へ支払われ、家庭の請求額を直接減らす。 幅広い利用者へ申請なしで届くのは利点だ。一方、使用量に比例する仕組みなので、所得が低い人ほど大きく受け取れる設計にはなっていない。すでに使用量を切り詰めている家庭では値引き額が小さくても、負担が軽いとは限らない。多く使う家庭の事情も、大きな住宅、寒冷地、介護、世帯人数などさまざまである。 補助の分だけ、社会全体の燃料調達費が消えるわけではない。利用者の当面の支払いを公費へ移す面があり、継続には財源が必要になる。短期の値引きに加え、困窮世帯に届く給付、断熱や高効率設備、遠隔地への配送をどう支えるかという配分の問題も残る。 コープさっぽろと北海道生協連が9月29日に公表した要請方針には、福祉灯油事業への道独自の財政支援や、灯油の配送体制を維持する取組が含まれる。これは事業者・団体側の要請であり、追加支援の実施が決まったという発表ではない。冬に必要な燃料は、価格が手頃であるだけでなく、必要な場所に届くことも重要になる。 9 冬の予算を立てるときに見る四つの数字 最初に、昨冬の明細から月ごとの電気kWh、都市ガスm³、灯油の購入リットル数を取り出す。金額だけでは、単価が上がったのか、寒くて多く使ったのか分からない。灯油はまとめ買いやタンク残量によって、買った月と使った月がずれることもある。 次に、契約先の新料金と、補助を引く前の燃料費調整を確認する。いまの単価を冬中の確定価格として固定せず、使用量が増える場合、単価が変わる場合、追加支援がある場合を分けて考える。 三つ目は、自治体の支援を受ける条件と期限。自動で値引きされる制度と、自分で申請する制度を分けて確認する。省エネ改修を考える場合も、対象工事、自己負担、所有者の同意、申請状況を先に確認したい。 最後は、暖房費を払ったあとに残る生活費である。必要な暖房を無理に削るしかない状態なら、電気・ガス会社や自治体の相談窓口に早めに相談する。支払方法の相談ができるか、使える生活支援があるかは、それぞれの契約と事情によって違う。 10月時点で分かるのは、燃料油の国の支援は続き、夏の電気・都市ガス支援は原則として区切りを迎えたこと。そして、すでに発表された料金改定と灯油価格だけでも、同じ量に払う額が増える家庭があることだ。 今後の冬季対策を評価するときには、全国平均でいくら安くなったかに加え、寒さの厳しい地域、年金で暮らす人、設備を変えにくい借家の入居者へ、いつ、どの程度届くのかを確かめたい。暖房を入れる時期は、全国で同じではない。
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日本旅行が6日14時、熊本県の「九州ふっこう応援割」のWeb予約を開始。国内在住者向けの対象プランは、新規予約で最大60%割引となり、商品別の上限があります。 既存予約への後付けはできず、取消料は割引前の旅行代金が基準。取り直す前に、取消料と空室を確認したいです。予算上限に達すると受付は終了します。 https://t.co/u8LqHbG5j9
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JR東日本のコード決済「teppay」は10月20日11時以降、モバイルSuicaで順次開始。モバイルPASMOは2027年春の予定です。 2万円超の買い物や、teppay残高の受け渡しが可能になります。交通系IC残高とは別の残高で、使える店も異なります。アプリが一つでも、レジでは使う残高と対応マークを確かめたい。 https://t.co/XORjCM9Rk1 https://t.co/lVqrY557d8
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老後の生活費が借金になるとき 高齢者の破産を最新統計と相談事例から考える 2026年10月6日時点 年金は毎月の暮らしを支える。しかし、その年金から過去の借金を返し続けると、食費や家賃に回せる金額は小さくなる。病気で働けなくなったり、配偶者を亡くしたりしたとき、返済額だけが以前のまま残ることもある。 日本の「老後破産」を考えるには、この収入と支払いのずれを見る必要がある。老後の貯蓄が減ること、生活に困ること、裁判所で破産手続を取ることは、それぞれ別の状態だ。ひとまとめにして恐怖をあおると、誰にどの支援が必要なのかが分からなくなる。 9月30日に公表された司法統計、2025~2026年の公表相談事例、9月の支援現場の報道を合わせてみると、債務の整理と日々の生活の立て直しを同時に進める必要性が浮かぶ。 1 9月30日の統計で確かめられること 最高裁判所が2026年9月30日に掲載した7月分の月報速報では、自然人、つまり個人の自己破産の新受件数は8,101件だった。10月6日時点で確認できる最新の月次公表であり、10月に起きた破産の件数ではない。 年単位では、2025年の個人の自己破産は8万3,100件。前年の7万6,309件から約8.9%増えた。同じ区分で2022年は6万4,833件、2023年は7万589件で、3年連続の増加である。2015年の6万3,856件より多い一方、2004年には21万1,402件あった。最近の増加は重要だが、長い期間を通じて増え続けたわけではない。 ただし、これらは全年齢の申立事件数で、高齢者の人数でも、免責が認められた人数でもない。個人事業者も含まれる。7月月報の「1月からの累計」5万5,567件には法人等も入っており、これを個人の自己破産件数として使うと誤る。高齢の経営者が会社を閉じたニュースも、その人自身の破産とは分ける必要がある。 最新の統計は個人の債務問題を軽視できないことを示している。しかし、ここから「2026年、高齢者の自己破産が急増した」とまで断定できる年齢別データは確認できなかった。 司法統計月報 2026年7月分 https://t.co/zTfoarcN4E 司法統計年報 2025年 第105表 https://t.co/MWTKzazn4j 2 70代の夫婦は債務整理後も生活が苦しかった 東京都が2025年5月21日に公表した「多重債務110番」の結果に、70代の女性からの相談がある。 夫婦の収入は年金だけで、合わせて年約200万円。夫には以前の事業の債務が約250万円、妻には生活費や引っ越し費用による約60万円の借金があった。すでに司法書士へ依頼して任意整理を進めていたが、月々の返済が負担となり、生活が苦しいという相談だった。 都の報告によれば、つながった法律専門家は家計全体を確認し、夫については自己破産、妻については返済額を減らすための任意整理の見直しを助言した。これは相談時点の対応を示す記録で、その後に破産や免責が確定したという報告ではない。 この事例で重要なのは、相談者が何もしていなかったわけではないことだ。返済方法を変更しても、生活に必要なお金が残らなければ家計は持たない。債務整理の計画ができたことと、その計画で暮らしていけることの間には、確認すべき問題が残る。 年齢や家族構成が似ていても、同じ手続が適するとは限らない。それでも、借金の残高だけでなく、返済後の食費、住居費、医療費まで見なければならない理由を、この公表事例は具体的に示している。 東京都の相談事例 2025年5月21日公表 https://t.co/gYqXJS1lEP 3 破産者の高齢化をどう読むか 年齢を調べた資料として、日本弁護士連合会の「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」がある。資料の作成は2025年8月だが、破産の対象は2022年6~11月に申し立てられた事件で、記録調査は2023年に行われた。 全国50地裁から抽出した破産1,233件では、60代が16.71%、70代以上が11.84%。合計28.55%だった。70代以上の構成比は2005年調査の3.05%、2020年調査の9.35%より高い。ただし、2014年の8.63%から2017年には7.51%へ下がっており、毎回増えたわけでもない。 これは調査対象の破産事件に占める割合である。「高齢者の約3割が破産する」「全国の破産の約3割が必ず高齢者によるものだ」という意味にはならない。各地裁の抽出件数に一定の割当てがあるため、単純合算した構成比を全国の全事件へそのまま広げることもできない。人口の高齢化を調整した発生率ではなく、60歳以上という区分は、一般に65歳以上とする高齢者統計とも異なる。 同調査では、負債を抱えた理由に「生活苦・低所得」を挙げた割合が65.86%、「病気・医療費」が26.44%だった。複数回答であり、全年齢の結果だ。高齢者だけの原因順位や、物価高の寄与率ではないが、破産を浪費だけで説明できないことは分かる。 日弁連調査 https://t.co/hXUBIZwPVb 4 年金の額面からは見えない返済余力 老後の家計で使える金額を考えるとき、年金の額面と手取りを分ける必要がある。税や社会保険料がかかる場合があり、家計に入る収入の全額を買い物や返済に使えるわけではない。 総務省の2025年家計調査で、夫婦とも65歳以上の夫婦のみの無職世帯は、月平均の実収入が25万4,395円、税・社会保険料などを除いた可処分所得が22万1,544円、消費支出が26万3,979円だった。公表されている月の不足額は4万2,434円である。 65歳以上の単身無職世帯では、実収入13万1,456円、可処分所得11万8,465円、消費支出14万8,445円、不足額2万9,980円だった。これらは2025年の平均であり、現在のすべての高齢世帯に必要な生活費ではない。 退職後に貯蓄を取り崩して生活すること自体は、あらかじめ想定した資金の使い方にもなりうる。平均の赤字額を見て、直ちに破産状態だとは言えない。蓄えがあるのか、借金の返済があるのか、住まいが賃貸か持ち家かで意味は変わる。 また、家計調査で住宅ローンなどの返済は、消費支出とは別の区分で扱われる。公表された平均生活費に自分の返済額がすべて含まれていると思い込むと、必要な現金を少なく見積もってしまう。 2026年度の年金は基礎年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられた。一方、9月18日公表の全国8月消費者物価指数は、前年同月比で総合1.9%、食料3.1%、住居1.0%、保健医療3.0%上昇した。 年度の年金改定率と単月の物価上昇率から、年間の実質年金が何%変化したかを直接計算することはできない。ただ、食費の占める割合が大きい家計では、総合指数だけでは負担を捉えにくい。保健医療の指数も、個々人の受診回数や介護の利用量まで表すものではない。必需品への支払いが増えても返済日は変わらず、不足分を新たな借入れで埋めれば、将来の収入にも返済がかかる。 5 住まいと医療介護が変える家計 住宅は資産であると同時に、毎月の支出を左右する。持ち家があれば家賃を抑えられる場合があるが、修繕費や固定資産税、マンションの管理費などは残る。住宅ローンが退職後まで続けば、収入減少後も返済を続けなければならない。 変動金利のローンでは金利の見直しが負担へ影響する可能性がある。ただし、実際の返済額への反映時期や返済額の見直しルールは契約次第だ。全借り手に同じ上昇が生じるかのような説明はできない。 賃貸では、家賃を払い続ける必要がある。転居で支出を下げられる場合でも、初期費用や保証、通院先への距離が新しい制約となる。高齢者の家計を「家を売ればよい」「安い部屋へ移ればよい」で済ませると、暮らしを維持するための条件が抜け落ちる。 資産があることと、支払日に現金を用意できることも同じではない。住んでいる家を売るには時間がかかり、売却後の住居費も必要になる。預金、金融商品、不動産を合計した資産額だけでは、当面の資金繰りは判断できない。 医療と介護には、高額療養費や高額介護サービス費など、自己負担を抑える制度がある。その一方、食費や居住費など、上限計算に含まれない負担もある。通院や介護のために仕事を減らせば、支出だけでなく収入側も変わる。 高額療養費は2026年8月から見直され、年間の上限も設けられた。所得区分や年齢、利用状況によって負担が異なるため、以前の記事の上限額を現在の制度として読み替えることはできない。介護を含む生活費全体に、一つの上限があるわけでもない。 厚生労働省 高額療養費の現行案内 https://t.co/OxmLkobMWF 6 一人になることと家族を支えること 夫婦世帯では、配偶者との死別が家計を大きく変える。亡くなった人の年金がそのまま残るわけではなく、遺族年金の受給要件や自分の老齢厚生年金との調整によって、残された人の収入が決まる。一方、家賃や住まいの維持費は、人数が二人から一人になっても単純に半分にはならない。 もともと一人暮らしの人も、夫婦から単身になった人も、収入だけでなく、病気や手続の際に助けを求められる相手がいるかどうかが重要になる。夫婦の平均的な年金や生活費だけで一人暮らしを語れば、こうした負担は見えにくい。 家族がいることも、必ず経済的な支えがあることを意味しない。成人した子の生活費を援助する場合、その支出が長く続けば、親の老後資金も減る。逆に子が親を支えている家計もある。どちらか一方だけを「依存」と決めつけても、家族全体の問題は解けない。 特に区別したいのが、生活費の援助と保証債務だ。保証人になっている場合、主たる債務者が免責を受けても、保証人の支払義務は当然には消えない。自分が借りたお金の残高だけを確認しても、家計の負担を見落とす可能性がある。子や配偶者の借金を、親族だからという理由だけで本人の債務と同一視することも避けるべきだ。 裁判所 免責と保証人への影響 Q22 https://t.co/EL1tfC5wH7 7 収入を増やそうとして返済が増える場合 今年の相談事例にも、老後の不安とつながる問題が見える。 東京都が2026年5月7日に公表した3月の「多重債務110番」には、副業の収入を得ようとセミナーを受けた60代男性の相談があった。数千円の体験参加後に複数の講座などを受講し、費用は500万円を超えた。期待した収入につながらず、分割返済が重くなったという。 これは相談者の申出に基づく公表事例である。退職者かどうかは明らかでなく、事業者の違法行為が確定したという資料でもない。都は弁護士につなぎ、収支と返済可能性を踏まえて手続を検討する対応を記している。 不足する収入を補いたいという動機があっても、新たな契約の支払いが先に生じ、収入が後から付いてくる保証はない。生活の立て直しを目指す行動が、かえって固定的な返済を増やす場合がある。 同時に、相談統計は一方向には動いていない。国民生活センターの7月31日更新資料では、PIO-NETに登録された多重債務相談は2024年度2万4,648件から2025年度2万3,937件へ減っていた。5月31日までの登録分で、裁判所の件数とは対象も集計時点も違う。相談数の減少から困窮の改善を断定することも、破産件数の増加に合わせて相談数まで増えたことにするのも不適切だ。 東京都の相談事例 2026年5月7日公表 https://t.co/Few7EUVahV 8 相談を勧めるだけでは届かない支援 9月19日の共同通信は、日常生活自立支援事業の利用待機者が2025年度末で3,931人となり、前年度の2,868人から約1.4倍になったと報じた。全国社会福祉協議会の集計に基づく報道である。 同事業は、判断能力が十分でない人などの福祉サービス利用や日常的な金銭管理を支援する。報道でいう待機者には、社協側の事情で、申請後1か月以上面談に至らない人や、面談後2か月以上契約に至らない人が含まれる。高齢者だけを数えた数字でも、破産者数でもない。 それでも、支援を必要とする人が、申請すればすぐにつながれるとは限らないことを示す。「相談してください」という案内の先に、人員や受入れ体制の問題がある。 高齢者の債務問題では、借金を整理する専門家と、日々の生活を支える窓口の双方が必要になる場合がある。契約書を集める、支払いの全体を確認する、年金や給付の手続をする。その負担まで本人だけに任せれば、相談への距離は遠いままだ。 共同通信 2026年9月19日 https://t.co/4WccChXuAb 9 借金と生活費を別々に解決しないために 自己破産は、返済できない債務を法的に整理する制度である。破産手続の開始だけで、すべての支払義務が自動的に消えるわけではない。免責の判断が必要で、税金や養育費など、免責の対象外となる債務もある。任意整理や個人再生などを含め、何が利用できるかは、収入、財産、債務の内容によって変わる。 裁判所 破産と免責の説明 https://t.co/g5JfY0Q3i2 債務を整理しても、食費や家賃を賄う収入が増えるとは限らない。生活保護や生活困窮者自立支援制度、家計改善支援などとの接続が必要になる理由はここにある。 2026年9月2日公表の被保護者調査では、6月の高齢者世帯は90万3,532世帯で、保護停止中を除く被保護世帯の55.3%を占めた。そのうち単身世帯は84万4,730世帯だった。55.3%は「高齢世帯の半数以上が生活保護を受けている」という意味ではない。また、高齢者の被保護世帯数自体は前年同月比0.1%減で、この数字を急増の証拠にはできない。 厚生労働省は、必要書類が全部そろっていなくても生活保護を申請でき、別居の親族に先に相談しなければ申請できないわけではないと説明している。持ち家があっても申請でき、状況によって保有が認められる場合がある。年金収入があっても、世帯の収入が認定される最低生活費に足りない場合は、その差額を補う対象になりうる。 申請できることと、受給要件を満たすことは別だが、入口で誤解して諦める必要はない。借金があっても生活保護は受けられ、債務整理と並行して相談できる。ただし、保護費は生活を維持するための給付で、借金の返済を肩代わりするものではない。 法テラスの民事法律扶助には、要件を満たす人への無料法律相談や、弁護士・司法書士費用等の立替えがある。立替えは全員一律の無料化ではなく、返済の猶予・免除にも条件と審査がある。金融庁などは2026年9~12月、多重債務の無料相談会等を行うキャンペーンを実施している。 古い記事にある年金担保貸付にも注意が要る。福祉医療機構の制度は2022年3月末に新規申込受付を終えている。今の生活費不足への対応として、終了済みの制度を勧めることはできない。 生活保護の申請に関する厚生労働省の案内 https://t.co/SwTwi9C3JB 多重債務者相談強化キャンペーン2026 https://t.co/fkmzhOtQAo 10 返済後の生活までを見る 自己破産の件数には、生活が行き詰まった側面と、法的な立て直しにつながった側面がある。件数が減れば支援が成功し、増えれば失敗したと、機械的に評価することはできない。相談にも届かず、食事や受診を削って支払いを続ける困窮は、破産統計だけでは捉えられない。 高齢者の家計では、現役時代より働く時間を増やしにくい事情がある。これまでの事業や住宅の借金、家族への援助、病気や死別による変化が、年金中心の収入に重なりうる。そこへ物価高が加われば、少しずつ残っていた余裕がなくなる。 必要なのは、誰もが破産に向かっているかのような語り方でも、節約の不足にすべてを帰す説明でもない。継続して入るお金、必要な生活費、返済義務、すぐ使える資産を区別し、暮らしを維持できない部分へ支援を届けることだ。 2026年の最新資料から言える範囲は明確である。個人の自己破産申立ては近年増えている。以前の事件記録調査では高齢層の構成比が高まった。現在の相談現場には、債務整理を進めても生活費が足りない事例がある。その一方で、2026年の高齢者破産率や原因別の増加寄与は、確認できた資料からは分からない。 老後破産をめぐる議論を前へ進めるなら、借金をいくら減らしたかに加えて、その後に食事を取り、住まいを保ち、必要な医療や介護を利用できるかまで確かめたい。返済が続くことだけを、生活が続いている証拠にしてはいけない。 ※公開資料と報道に基づく一般的な解説です。個別の債務整理、年金、給付の適用は専門窓口での確認が必要です。
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NEO|日本のいまを読む
@NEOyyss
1 day ago
@persona_craft
そうですね。食費の割合が高い家計ほど、値上がりの影響は重くなります。安い商品に替えたり、買う量を減らしたりして支出を抑えていても、以前と同じ暮らしができているとは限らない。平均年収だけでなく、手取りで何をどれだけ買えるかまで見たいですね。
NEO|日本のいまを読む
@NEOyyss
1 day ago
日本の暮らしはこの35年でどう変わったか 1990年から2026年までの賃金と手取りと毎日の値段 2026年10月6日時点 日本の平均年収は過去最高になった。それでも、食料品を買うときの余裕が戻ったとは言いにくい。 国税庁の民間給与実態統計調査では、1年を通じて働いた人の平均給与は、1990年の425.2万円から1997年に467.3万円へ増え、その後落ち込み、2025年には486.6万円となった。1997年を約4%上回る額だ。ところが、同じ期間の消費者物価は総合で約14.5%、食料で約42.5%上がった。額面の最高額と、買える量の回復は別々に確かめる必要がある。 ただし、この35年間を「全員の生活が一方向に悪くなった」とまとめても実態を見失う。女性の賃金は男性より伸び、最低賃金も上がった。働く人が増えた世帯は収入を補うことができた。2026年には実質賃金の改善も確認されている。その一方で、1990年代の同じ年齢層と比べた中高年男性の給与、低い年収にとどまる非正規雇用、食費の比重が大きい家計には、長い停滞や最近の値上がりが重く残る。 本稿では、バブル期の1990年から現在までを、個人の給与、世帯の手取り、税と保険料、日常の価格に分けてたどる。通年比較の終点は主として2025年。2026年の年収や年平均物価はまだ出ていない。所得の調査年と対象年、全国と東京、年平均と単月を混ぜないことが、この問題を考える出発点になる。 1 平均年収の山は1997年にあった 最初に、長い時間の流れを確かめたい。以下は国税庁の平均年間給与と、2025年を100にそろえた全国の消費者物価指数である。給与は税・社会保険料を引く前で、賞与を含む。 ・1990年 平均給与425.2万円 総合物価80.1 食料65.0 ・1997年 平均給与467.3万円 総合物価87.3 食料70.2 ・2000年 平均給与461.0万円 総合物価86.9 食料69.4 ・2009年 平均給与405.9万円 総合物価85.3 食料70.7 ・2012年 平均給与408.0万円 総合物価84.4 食料70.3 ・2019年 平均給与438.4万円 総合物価89.3 食料78.4 ・2021年 平均給与445.7万円 総合物価89.1 食料79.5 ・2025年 平均給与486.6万円 総合物価100.0 食料100.0 ここには統計上の切れ目がある。国税庁は2022年分から復元推計の方法を見直し、2014~2021年分を新しい方法で再計算している。本稿は2014年以降にその新系列を使った。1990年代との比較は完全に同一方法の調査ではなく、長期的な水準をみる概算である。同じ人の昇給を追跡した数字でもない。 それでも、時期による違いははっきりしている。1990年から1997年までは平均給与が約9.9%増えた。バブル崩壊と同時に、全国の給与がすべて下がり始めたわけではない。給与や雇用の調整には時間差があった。 1997年から2012年は、平均給与が約12.7%減った時期だ。総合物価も約3.3%下がったが、給与の落ち込みを埋めるほどではなかった。2009年には金融危機の影響を受け、平均給与は405.9万円まで下がった。安い商品が増えたことと、働いて得る収入が十分だったことは同義ではない。 2010年代後半には名目給与が持ち直した。比較方法をそろえられる2014年から2019年では、平均給与は420.9万円から438.4万円へ約4.2%増え、総合物価の上昇は約2.5%だった。総合物価で割った平均給与は小幅ながら改善している。一方、食料は約7.5%上がっており、回復の感じ方は買うものによって違った。 2020年は感染症による休業や賞与減少で再び給与が落ちた。その後は賃上げが進んだが、2022年以降の食品やエネルギーの値上がりが、家計の状況を変えた。2021年から2025年に平均給与は約9.2%増えたものの、総合物価は約12.2%、食料は約25.8%上昇した。 国税庁の平均給与を総合物価で割る独自計算では、2025年の購買力は2021年を約2.7%下回る。1997年との公表値比較では約9.1%下回るが、こちらには前述の推計方法の違いが含まれる。どちらも「全員の生活水準がその割合だけ下がった」という意味には使えない。 国税庁・長期系列 https://t.co/cSVLv3gGG8 2 月給と年収と時給では見える景色が違う 「賃金が上がった」というニュースには、春闘の賃上げ率、毎月の給与、年間の給与、時給が登場する。この四つは対象も測り方も違う。 春闘の回答は、交渉対象となった組合員の賃金改善を示す。定期昇給を含む率と基本給水準を一律に上げる率も区別が必要だ。その数字をそのまま、非組合員やパートを含む全員の年収増加率とはできない。 厚生労働省の毎月勤労統計では、2025年の現金給与総額は月平均35万5,941円、前年比2.3%増だった。持家の帰属家賃を除く物価で調整した実質賃金は1.3%減。実質賃金は2022~2025年の4年続けて減り、公表前年比を連ねると、この4年間で約5.0%の低下になる。2024年には推計に用いる労働者構成の更新による段差があるため、この累積値は各年の指数を直接割らず、更新の影響を取り除いた公表前年比から計算した。 国税庁の年収486.6万円と、毎月勤労統計の月平均を12倍した額が一致しなくても、直ちにどちらかが間違いなのではない。前者は民間事業所で年を通じて給与を受けた人が中心で役員も含む。後者のここでの数字は、常用労働者5人以上の事業所で、その月に働く人の平均である。国税庁の給与には非課税の通勤手当などを含まないという違いもある。 働く時間も変わった。毎月勤労統計の5人以上事業所では、1人平均の年間総実労働時間は1990年2,064時間、1997年1,891時間、2019年1,669時間、2025年1,621時間である。調査対象や推計方法の変更を含むが、短時間で働く人の増加と労働時間短縮の影響を無視できない。 年収が伸びない理由の一部が労働時間の減少なら、同じ時間働いて得られる報酬の変化とは分けて評価すべきだ。余暇が増えることには価値がある。ただし、働きたい時間を得られない人や、残業代がなくなると生活できない人にとっては、時間短縮だけで生活が改善したとは言えない。 実際、2025年のパートタイム労働者の所定内時給は1,394円で、前年比3.8%増。現金給与総額は月11万4,527円、2.3%増だった。時給の伸びがそのまま月収の伸びになるわけではない。勤務時間、賞与、社会保険への加入、扶養内での就業調整まで含めて、手元に残るお金が決まる。 なお、毎月勤労統計の「一般労働者」は短時間労働者以外という区分であり、国税庁の「正社員」と一致しない。フルタイムの非正規雇用も含まれる。この違いを消して数字を並べると、雇用形態間の差を誤って説明してしまう。 毎月勤労統計2025年確報 https://t.co/2gmIOoTgbi 同・長期系列 https://t.co/ynPi5ROsuz 同・2026年7月確報 https://t.co/CUTFPgfTrR 3 男性の停滞と女性の改善が同時に起きた 年収を男女別に分けると、平均だけでは見えない差が出る。 1997年の平均給与は男性577.0万円、女性278.9万円。2025年は男性596.7万円、女性341.8万円だった。公表値の名目比較では男性約3.4%増、女性約22.6%増である。推計方法の違いを含む概算だが、女性の伸びの方が大きい。 それでも2025年の女性の平均年間給与は男性の約57%にとどまる。この比率は、同じ仕事を同じ時間した場合の賃金差ではない。正規・非正規の割合、労働時間、役職、勤続年数、産業、年齢などが混ざっている。 短時間労働者を除いてみても差は残る。賃金構造基本統計調査の2025年6月の所定内給与は、男性37万3,400円、女性28万5,900円。男性を100とした女性の水準は76.6である。公表系列の2001年は65.3だった。集計方法の変更には注意が必要だが、格差の縮小と、なお残る大きな差を両方読む必要がある。 この調査の給与は残業代や年間賞与を含む年収ではなく、6月の所定内給与だ。また、76.6という比率にも職種・役職・勤続年数などの違いがある。これだけから差の全額を性差別と断定することも、すべてが合理的な差だと片づけることもできない。 女性の給与が増えた背景には、就業継続や正規雇用の拡大、働く職種や年齢構成の変化もある。女性の就業増加が世帯収入を支える一方、家事・育児・介護の時間がどう分担されたかは、この給与統計では分からない。世帯の収入増加を、そのまま家族の余裕の増加とみなすには情報が足りない。 4 同じ年齢を比べると中年期の停滞が見える 「若いころより給料が上がった」と「前の世代の同じ年齢より豊かになった」は違う問いである。 国税庁の年齢階層別平均給与では、男性35~39歳は1997年589.1万円、2025年597.7万円。男性45~49歳は694.5万円から682.6万円、50~54歳は736.6万円から714.8万円だった。同じ年齢層の公表値を比較すると、中年期の男性は額面でも1990年代後半を大きく超えられていない。 1997年から2025年の総合物価上昇を考慮した参考計算では、男性35~39歳は約11%、45~49歳は約14%、50~54歳は約15%低い水準となる。長期の推計方法差に加え、雇用形態や職業構成の違いも含むため、同じ条件の仕事の値下がり率ではない。それでも、年齢構成の高齢化だけで平均給与の停滞を説明しきれないことは分かる。 女性は異なる。45~49歳の平均給与は同期間に275.3万円から377.0万円に増えた。総合物価で調整しても、公表値ベースでは約20%高い。もともとの給与水準の低さと、その後の雇用・就業構造の変化の両方が表れている。 若年層にも一括りにできない差がある。男性25~29歳は413.0万円から459.6万円、女性は311.1万円から382.7万円となった。最近の若手採用や初任給の引上げは改善材料だが、現在の20代が、そのまま1990年代と同じ昇給曲線をたどる保証はない。 これらは別の年に存在した同じ年齢層の比較である。1997年に25歳だった人を2025年まで追った結果ではない。就職氷河期に学校を出た人の生涯所得への影響を厳密に測るには、卒業年、学歴、最初の雇用形態、離職・転職を追う分析が必要になる。本稿の年齢別の表だけで、世代ごとの損失額を作ることはしない。 5 非正規雇用は増えたが近年は比率が下がっている 雇用形態も35年間で大きく変わった。厚生労働省が労働力調査の特別調査・詳細集計を整理した資料では、役員を除く雇用者に占める非正規雇用の割合は1994年20.3%、2004年31.4%、2019年38.3%、2025年36.5%だった。1994年は2月調査、2004年以降は年平均で、厳密な同月比較ではない。 労働力調査の詳細集計では、2025年の正規雇用者は3,700万人で、11年連続の増加となった。「非正規の割合が現在まで上がり続けている」という説明は、最近の動きと合わない。 一方、収入の差は大きい。国税庁の2025年平均給与は、正社員559.3万円、正社員以外209.5万円。正社員以外には短時間勤務を含むため、この2.7倍近い差を同一労働の賃金差とは呼べない。フルタイムに近い一般労働者で比べる賃金構造基本統計調査でも、所定内給与は正社員35万8,800円、正社員以外24万1,700円で、後者は前者の67.4%だった。 比較可能な国税庁の新系列で、2014年から2025年をみると、正社員の年収は489.1万円から559.3万円、正社員以外は170.0万円から209.5万円へ増えた。総合物価で調整すると正社員はほぼ横ばい、正社員以外は約7.3%増である。ただし、2021年からの物価高に限れば、両者とも総合物価に対して購買力を落としている。 最低賃金の底上げも見落とせない。地域別最低賃金の全国加重平均は、1990年度の時間額516円から2012年度749円、2025年度改定額1,121円へ上がった。全国一律の最低賃金ではなく、地域ごとの額を加重平均した数字である。改定は年度途中に発効するため、これを各年12か月に実際に支払われた平均時給と混同してはいけない。 非正規雇用には、希望する時間に働く人、定年後に働く人、正規の仕事を得られない人が含まれる。呼称だけで全員を「不本意」とはできない。しかし、低い年収や雇用の不安定さを抱える人ほど、食品価格の急上昇を吸収する余地が小さいという問題は残る。 2025年賃金構造・男女別 https://t.co/7jNPUNzejp 同・雇用形態別 https://t.co/ktoONVlPfn 雇用形態推移(46頁) https://t.co/qMMpPIUrVH 最低賃金推移 https://t.co/Xu3EV4XKnG 6 世帯収入を支えた配偶者の働き 個人の給与を足しても、世帯の生活がそのまま分かるわけではない。家族の人数、働く人の人数、年金や給付、直接税と社会保険料を合わせてみる必要がある。 家計調査の二人以上の勤労者世帯では、1990年の月平均実収入は52万1,757円、可処分所得は44万539円。1997年には実収入59万5,214円、可処分所得49万7,036円となった。その後、2012年の農林漁家を含む系列では、実収入51万8,506円、可処分所得42万5,005円まで下がっていた。 2025年は実収入65万3,901円、可処分所得53万2,408円である。ここでいう実収入は「物価調整済み収入」という意味ではなく、給与や年金、給付など家計に入る収入の分類名だ。可処分所得は、そこから直接税や社会保険料などを引いた、消費と貯蓄に回せるお金である。 この長期比較には、農林漁家を含む範囲への変更、2018年の家計簿変更による段差がある。数字をそのままつないで、同じ家族の手取りが何%変わったと断定してはいけない。1990年の平均世帯人員は3.70人、1997年3.53人、2025年3.20人と、生活を支える人数も減っている。 2000年以降の系列から、家計を支えた変化が見える。世帯主の勤務先収入は月46万289円から2025年47万986円へ、額面では小幅な増加にとどまった。その一方、配偶者の勤務先収入は5万4,723円から10万7,549円へほぼ倍増した。有業人員は1.67人から1.81人へ増えた。調査方法の段差を含むので増加分の厳密な寄与率は出せないが、世帯主だけの稼ぎと世帯全体の稼ぎが異なる動きをしたことは重要だ。 共働きの拡大には、働く機会や本人の収入を増やす面がある。同時に、一人の稼ぎでは足りず、家族の追加労働で家計を維持している場合もある。平均値だけでは、その二つを分けられない。 さらに、二人以上の勤労者世帯には単身者や多くの無職世帯が含まれない。その平均手取りを「日本人の普通の手取り」として示すと、対象外の人を見えなくしてしまう。 家計調査・旧系列 https://t.co/BuMA2Q9vDP 同・2000年以降 https://t.co/zTjFv9UJ86 同・2025年平均 https://t.co/Ptid8mqQKO 7 平均と中央値の間にある暮らし 国民生活基礎調査は、給与所得者以外も含む世帯の所得を調べている。2025年調査が扱う所得は2024年の1年間で、全世帯の平均は575.2万円、中央値は451万円だった。平均以下の世帯は61.5%を占める。高い所得の世帯が平均を押し上げるため、平均値は真ん中の世帯の所得よりかなり高い。 この所得は手取りではない。また、4人家族の451万円と1人暮らしの451万円を、同じ生活水準とは扱えない。人数の違いを調整するため、世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割った「等価可処分所得」が使われる。家族が増えても住居や家電の費用は人数に比例して増えない、という考え方を取り入れた指標だ。 2024年の等価可処分所得の中央値は277万円。中央値の半分を下回る人の割合である相対的貧困率は15.0%、子どもの貧困率は11.0%で、2021年より低下した。改善した数字を取り除いて「貧困が一貫して拡大した」と説明することはできない。 ただし、子どもがいる現役世帯のうち大人が一人の世帯では、相対的貧困率は44.7%だった。大人が二人以上の世帯の6.7%とは大きな隔たりがある。子どものいる世帯全体の平均所得857.3万円だけでは、この困難を読み取れない。 相対的貧困率は、その時代の真ん中に対してどれほど低い所得かを測る。全体の購買力が弱くなれば、貧困率が下がっても生活が楽になったとは限らない。長期系列には2018年の所得定義変更もあり、昔の率と現在の率の差をそのまま制度の成果や失敗に割り当てることはできない。 2025年国民生活基礎調査 https://t.co/VXS4zzdvho 8 税と保険料はどこで手取りを変えたか 額面の給与が同じでも、税や社会保険料が変われば手取りは変わる。ただし、35年間を通じて「すべての税率が上がり続けた」という説明は正確ではない。 消費税は1989年に3%で導入され、1997年に5%、2014年に8%、2019年に標準税率10%となった。2019年以降、対象となる飲食料品などには8%の軽減税率がある。一方、所得税には税率引下げや控除の変更、定額減税もあり、負担は所得や扶養家族によって違った。 社会保険では、2000年の介護保険開始、2003年の厚生年金・健康保険の総報酬制への移行、厚生年金保険料の段階的引上げが大きな変化である。総報酬制では賞与も月給と同じ料率の対象になった。月給を主な対象とした昔の料率と、賞与を含む現在の料率をそのまま比べると誤る。 厚生年金は2003年4月の総報酬ベース13.58%から、2017年9月に18.3%へ上がり、その後は固定されている。通常は労使折半なので、本人負担は6.79%から9.15%への変化である。 違いの大きさを、制度だけを切り出した例でみる。標準報酬月額30万円、標準賞与額70万円を年2回とし、年間の保険料計算の対象を500万円に固定する。2003年4月時点の料率を12か月適用した仮定では、本人の厚生年金保険料は年33万9,500円。18.3%の制度では45万7,500円で、年11万8,000円増える。これは実際の2003年暦年の手取り再現ではなく、二つの料率を同じ報酬に適用した比較だ。 この11万8,000円を、そのまま手取りの減少額とはしない。保険料が増えれば社会保険料控除を通じて所得税・住民税が軽くなる場合がある。また、健康保険や介護保険、雇用保険、扶養状況は別に計算する必要がある。会社側の負担増を、本人の天引き額にもう一度足してもいけない。 実際の家計調査でも、負担の変化は確認できる。二人以上の勤労者世帯では、2000年に実収入の8.5%だった社会保険料は2025年10.6%。直接税は7.1%から7.9%、非消費支出全体は15.7%から18.6%となった。これは各年の世帯の支払額を集計した比率で、同じ世帯に対する法定税率の変化ではない。働く人の人数、所得、年齢、加入制度の変化も反映されている。 2024年には定額減税があり、翌年との直接税の支払額を比べる際には、その反動と所得増加の両方を考慮する必要がある。所得税の基礎控除などは2025年に拡充され、2026年分にも改正がある。ただし2026年分の改正規定の施行は12月1日で、10月時点の月々の天引き額だけで年間の効果を判定できない。所得税の控除拡大と社会保険の加入基準も別の制度である。 2003年総報酬制 https://t.co/BFKrW65jz3 厚生年金保険料率 https://t.co/2brgSo0LGK 9 国民負担率を給料の天引き率にしない 財務省の国民負担率は、1990年度38.4%、2000年度35.4%、2012年度39.9%、2019年度44.1%、2024年度46.7%だった。2026年度は45.7%の見通しで、まだ実績ではない。 この数字は、国全体の租税と社会保障負担を国民所得で割ったものだ。法人税や事業主の社会保険料も入る。したがって「給与の45.7%が国に取られる」とは読めない。家計の手取りを計算する際に、平均年収にこの比率を掛けて引く方法も誤りである。 1990年度と2026年度見通しを内訳で比べると、租税負担は27.7%から28.0%、社会保障負担は10.6%から17.6%となっている。国全体では、長期の負担増に社会保障負担の拡大が大きく関わった。ただし国民所得という分母が変わることでも比率は動き、国民経済計算の基準変更もある。家計の誰がいくら余分に払ったかは、別の統計や制度計算が必要だ。 公的負担の増加を評価する際には、年金、医療、介護、子育て支援など受け取る側もみる必要がある。保険料の増加は現役の手取りを圧迫するが、医療費や介護費を共同で負担する機能もある。負担だけの表と給付だけの表では、制度の評価は決まらない。給付を含めてなお、どの年齢・所得層の生活を支えきれていないかを確かめることが重要になる。 2026年度国民負担率 https://t.co/yYV0Sqk58S 10 食品の値上がりは平均物価より大きかった 日常の負担を理解するには、総合物価の一本の線だけでは足りない。 全国の接続されたCPIで、1997年から2025年の変化をみると、総合は約14.5%上昇したのに対し、食パン約42.2%、鶏卵約70.9%、豆腐約22.2%、トイレットペーパー約33.9%となる。すべての商品がこの割合で値上がりしたという意味ではなく、調査対象を品質調整してつないだ、それぞれの品目の価格変化だ。 最近の上昇は特に大きい。2021年から2025年では、食パン約27.7%、牛乳約22.7%、鶏卵約36.4%、食用油約39.7%、チョコレート約75.4%、トイレットペーパー約26.1%上昇した。食用油は2023年の高値から2024年に下がっており、毎年一律に値上がりしたわけではない。卵も鳥インフルエンザなど供給要因に左右される。 総合物価の伸びが食品より小さいのは、家賃や通信など、値動きの異なる支出を一緒に平均しているからだ。よく買う食品の値上がりを強く感じる人が、総合指数より大きな負担増を経験することは十分にあり得る。 例えば、CPIが捉える食品価格は、2021年から2025年に約25.8%上昇した。国税庁の平均給与の増加と比較すると、その給与で買える食品の量は約13.2%少ない。これは給与をすべて食品に使うという生活像ではなく、食品に限った購買力を示す参考計算である。 家計は買う量を減らし、安い銘柄に替え、外食を控えることができる。その結果、実際の食費の増加が小さくても、同じ食生活が守られたとは限らない。価格、支出額、購入量は分けて読む必要がある。 CPI https://t.co/wwLjkCkPyl 11 卵一パックの昔と今には落とし穴がある 指数だけでなく、値札の金額でも確かめたい。東京都区部の小売物価統計では、普通品の食パン1キログラムは1990年386円、1997年419円、2010年438円、2025年535円だった。1,000円で買える量は、計算上、1990年約2.59キログラムから2025年約1.87キログラムへ減る。 これは全国平均でも、特定のスーパーの同じ商品を35年間追った結果でもない。東京の調査店舗で売られる普通品の平均である。全国の品質調整済み食パン指数と上昇率が違っていても、対象地域や店舗、商品の違いがあるので不思議ではない。 卵では、もっと基本的な注意が必要になる。総務省の長期価格表には1990年316円、2010年219円と並んでいる。しかし銘柄の変遷を確認すると、1990年は1キログラム当たり、2010年はLサイズ10個入り1パック当たりだ。2025年の東京都区部307円は、サイズ混合10個入り1パックである。316円と307円だけを比べて「卵は35年前と同じ値段」と結論づけることはできない。 米にも銘柄や単位の変更がある。古い価格表の見出しが現在の5キログラム表示でも、過去の年には10キログラム単位だった値が含まれる。ネット上の昔と今の価格表は、この注記を落とすだけで結論が逆転してしまう。 容量が減る値上げも、単なる気のせいではない。同じ価格の菓子が100グラムから90グラムになれば、同じ量を買う費用は約11.1%増える。CPIは、品質が変わらず容量・重量だけが変わる場合、その分を価格変動として反映する仕組みを持つ。「容量減は物価統計に一切入っていない」という説明も正しくない。 ただし、あらゆる店舗、特売、ポイント還元、個人の銘柄選択を完全に再現できるわけではない。長期比較には品質調整済み指数を使い、具体的な金額には地域、銘柄、容量を添える。この使い分けが必要である。 東京都区部小売価格 https://t.co/VlBmT2VF8v 2025年食パン価格 https://t.co/Ins9SlwsfJ 同・鶏卵/牛乳価格 https://t.co/ynKPUa1fqb 調査銘柄/単位の変遷 https://t.co/FbOwNQG1cJ 12 住宅と教育では平均価格が生活の差を隠す 全国CPIの民営家賃は、1997年を2025年基準で表すと105.6、2025年は100である。この数字を見て、いま住まいに困る人に「住宅は安くなった」と言うのは早計だ。 CPI家賃は既存契約を含む全国の家賃を測る。新たに部屋を借りる人の募集家賃、都心の新築物件、住宅を購入する費用とは別だ。土地や住宅の購入は資産取得の性格があり、購入価格全体がそのままCPIの住居費になるわけではない。住宅ローンの元本返済も、通常の消費支出とは区分が違う。 国土交通省が2026年3月31日に公表した2025年12月の不動産価格指数では、2010年平均を100とする全国の住宅総合は148.0、区分所有マンションは225.1だった。季節調整済み指数で、住宅地や戸建てとマンションの動きも大きく異なる。 ここには現在のデータの穴もある。国交省は2026年分の指数について、算出プログラムの不具合などを理由に公表を延期している。10月6日時点で未公表の期間を、2025年末の上昇ペースで延長することはできない。 住宅をすでに持つ人には資産価格上昇の恩恵があり得るが、初めて買う人には必要な頭金や借入額の増加になる。低金利だった時期に買った人と、これから借りる人でも負担は違う。全国平均の給与と全国平均の家賃だけでは、この分かれ方を捉えられない。 教育も同様だ。CPIの教育は、2019年111.7から2025年100へ下がっている。授業料支援や無償化などが家計の支払価格を下げる一方、家計全体に対する教育のウエイトには、教育費を払っていない世帯も含めた消費構成が反映される。「教育の指数が下がった」ことと「大学までの支出がどの家庭でも軽くなった」ことは一致しない。 国立大学授業料の標準額は1990年度33万9,600円から、2005年度以降53万5,800円になった。現在は大学ごとの設定や減免も確認する必要がある。私立大学の授業料平均は1990年度61万5,486円に対し、2025年度入学者では96万8,069円だった。入学料、施設設備費、自宅外生活費は別にかかる。 子どもの数や進学先で支出が集中する家計には、全国の教育指数より、該当する学校の実際の納付額と使える支援の方が重要になる。 13 年金生活では賃上げの恩恵が届く経路が違う 年金で生活する人の収入は、企業の賃上げにその月から連動するわけではない。物価や賃金の変化を用いた年次改定と、マクロ経済スライドなどの制度調整が入る。 2026年度の年金額は、基礎年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられた。改定に用いた前年の物価上昇率は3.2%で、それを下回る名目手取り賃金変動率とスライド調整が反映されている。名目の年金額が増えても、直前の物価上昇を完全には埋めない場合がある。 家計調査の2025年では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の可処分所得は月22万1,544円、消費支出は26万3,979円だった。65歳以上の単身無職世帯では可処分所得11万8,465円、消費支出14万8,445円である。 平均の不足額は夫婦約4.2万円、単身約3.0万円だが、これをすべての高齢者に必要な貯蓄額へ機械的に換算することはできない。持家の有無、貯蓄、年金額、医療・介護費、家族からの支援には大きな差がある。無職世帯の支出には、予定していた資産の取り崩しで賄う消費も含まれる。 一方、低い年金で賃貸住宅に住む人には、平均の住居費では足りない場合がある。夫婦高齢者無職世帯の食料と光熱・水道は、消費支出の計38.8%を占めた。生活必需品の値上がりを避けにくい家計では、総合物価だけを見た議論より厳しい負担が生じ得る。 2026年度年金額改定 https://t.co/YdTMwoUgUa 14 長い停滞を一つの原因で説明しない 以上の数字は、いくつかの異なる変化が重なった結果である。 1990年代後半から2000年代には、企業や金融機関の調整、雇用の弱さ、価格や賃金を上げにくい環境が続いた。日本銀行の過去25年間を振り返る研究では、企業が賃上げを価格転嫁しにくかったこと、成長期待の弱さや将来リスクへの警戒などが検討されている。低い物価上昇率は家計の支出を抑える一方、企業の売上や賃金が伸びにくい環境とも結び付いた。 2023年版の労働経済白書は、1人当たり実質賃金を、生産性、労働時間、労働分配、交易条件などに分けて分析している。生産性が改善しても、その利益が賃金へどれほど配分されるか、輸入品に対して国内で生み出す所得の購買力がどう変わるかによって、家計に届く額は違う。 2022年以降は、世界的な資源・食料価格、為替、輸送や生産の制約、国内の供給要因が生活費を押し上げた。人手不足による賃上げやサービス価格への転嫁も加わる。個別の政策は税率や給付、補助、雇用条件に影響するが、ある政権の発足後に起きた値上がりを、すべてその政権が生み出したと判断するには因果関係の検証が足りない。 企業の利益や株価が伸びても、それが全員の手取りに同じ割合で届くわけではない。反対に、平均給与が弱いからといって、技術の進歩やサービスの充実、女性の就業機会、余暇の価値がなかったことにもならない。 問うべきなのは、どの時期に、誰の収入が、どの負担と比べて足りなくなったかである。そこを分けると、低所得の単身者、ひとり親、低年金の借家世帯、昇給が鈍かった中年層では、必要な対策が同じではないことが分かる。 15 2026年の改善を認めたうえで回復の中身を問う 現在の動きも、過去の悪化から切り離して確認したい。10月6日時点で確認できる毎月勤労統計の最新確報は2026年7月分で、現金給与総額は前年同月比4.3%増、実質賃金は2.0%増だった。全国CPIの最新月である8月は、総合指数102.2、前年同月比1.9%上昇である。 2025年までの実質賃金低下を、2026年もそのまま続いていると書くことはできない。賃上げが価格上昇を上回る月が出てきたことは改善である。ただし、単月の前年比がプラスになっても、数年間に失った購買力が取り戻せたか、低所得層にも改善が及んだかは別に確認する必要がある。賞与の支給月や調査対象の入替えによる変動もある。 この35年間には、個人給与の長い停滞と配偶者収入の増加が並行して進み、近年は食品を中心とする値上がりが家計を圧迫した。ただし、女性の所得改善、最低賃金の引上げ、近年の正規雇用増加、貧困率の低下、足元の実質賃金回復も同じ歴史の一部である。 生活が回復したかを判断するには、額面の最高額だけでは足りない。同じ時間働いた収入が増えたか。税と保険料を引いた後、同じ生活必需品を買えるか。家族が働く時間を増やさなくても家計を維持できるか。若い人が住まいや教育を選べるか。これらを、単身、共働き、子育て、年金生活に分けて確かめたい。 資料について 本稿は2026年10月6日までに確認できた公的統計を使用した。全国の物価は2025年基準の接続指数を用い、異なる基準の指数同士を直接割っていない。独自の変化率は公表値から計算した概算。年収・所得・税負担の調査範囲、推計変更、計算式と追加の原資料は別添資料にまとめた。
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