2026年7月9日(木)開催 第75回平田の薬剤師塾ご案内
抗菌薬適正使用の理論と実践 序論
座長:吉田依里先生(北海道医療センター薬剤部)講師:平田純生(合同会社 平田の薬剤師塾 塾長)
大学で学んだ薬物治療学ではわかりにくかった感染症の基礎と抗菌薬について解説します。殺菌性抗菌薬はほぼ腎排泄であり、グラム陽性桿菌、陰性球菌は覚えなくていいなど(臨床的にはあまり重要ではないから)、我流ではありますがで、きるだけ分かりやすく解説したいと思っています。内容は以下の通り、基本的なことです。
l グラム染色って知ってる?
l グラム陽性菌と陰性菌はどう違う?
l 主にどんな細菌が感染症に関わっている?
l グラム陽性菌で重要な菌は球菌?桿菌?
l グラム陰性菌で重要な菌は球菌?桿菌?
l どんな抗菌薬がある?
l 殺菌性抗菌薬と静菌性抗菌薬か分かる?
l 細胞内寄生菌ってどんな菌?
l 細胞内寄生菌に効く抗菌薬の特徴は?
l 抗菌スペクトルは広い方がいい?狭い方がいい?
l 致命的な重症肺炎または敗血症患者が入院してきた。まず何をする?
l 耐性菌を防ぐには?
l De-escalationでエスカレーションについて
l 抗菌薬のPK/PDと投与方法:序論
ERA2026のフィネレノンの報告の詳細~4大誌に同時掲載された論文の内訳~
昨日、フィネレノンに関する異なる4つの論文がNew England Journal of Medicine (NEJM) , the Lancet, JAMA, Nephrology, Dialysis and Transplantationの国際的なトップジャーナル4誌に同時掲載され、まさに腎臓内科学の歴史に刻まれる1日となり、グラスゴーの欧州腎臓学会ERA 2026会場が湧いた内容の詳細についてまとめてみよう。
結論から言うと、これらは「4つの別々の独立した新規大規模RCT」ではない。今回大きな話題となったのは、フィネレノンの適応を「非DMのCKD」へと一気に広げる金字塔となったHeerspink先生が筆頭著者の第3相試験「FIND-CKD試験(NEJMのPMID: 42246672)」と、そこから派生した重要な解析・データの一挙同時公表なのだ。その構成は以下のようになっている。
NEJM(FIND-CKD 試験の全体結果):非DMのCKD患者1,584人を対象とした大規模RCTで、主要評価項目を達成。 標準治療にフィネレノンを上乗せすることで、eGFRの低下速度を年0.7 mL/min/1.73m² 有意に抑制。さらに心血管・腎複合リスクを23%減少させ、非DMの患者への有効性を完璧に証明した。
JAMA(FIND-CKDの糸球体腎炎サブグループ解析):非DMのCKDの中でも、特に臨床医が気にする慢性糸球体腎炎などの患者層を抽出した解析。腎機能低下を抑制し、12ヶ月時点のアルブミン尿を42%減少させるなど、疾患特異的な強い恩恵を示した。
Lancet(INFINITY 登録解析:個別患者データメタ解析):新たな別試験ではなく、今回の FIND-CKD に、これまでのDKDを対象とした2大試験(FIDELIO-DKD と FIGARO-DKD)を合算した、計14,574人におよぶ壮大な統合データ解析。これにより、「DMの有無や背景疾患に関わらず、フィネレノンは一貫して腎保護・心保護・生命予後改善(全死亡12%減少)に寄与する」という包括的な結論が導き出された。
もう1つNephrology, Dialysis and Transplantation誌にはFIND-CKD試験の「試験デザインおよびベースライン特性(臨床試験の設計図と患者背景)」の詳細な情報が掲載されている。
腎臓専門家にとってのフィネレノンの本当の価値
これまでは「2型DMを合併したCKD」にしか使えなかったフィネレノンが、このFIND-CKDの発表によって、非DMのCKD患者(世界で約5億人とも言われる市場)に対してもSGLT2阻害薬に次ぐ有効な「CKD治療の確固たる基礎治療薬」として使用可能になることになるであろう。
引用文献
Heerspink HJL, Neuen BL, Agarwal R, et al: Finerenone in Persons with Chronic Kidney Disease without Diabetes. N Engl J Med. 2026 Jun 4. doi: 10.1056/NEJMoa2604625. Online ahead of print. PMID: 42246672
ERAではスライドや演者などの撮影は禁じられていない。