川久保玲が手掛ける「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」の2027年春夏コレクションショーは、平穏な日常のモチーフと過剰な造形が衝突し、衣服の構造そのものが歪められていく連続であった。
今季掲げられた「When royal life and everyday life become one(王族の暮らしと日常がひとつになるとき)」というテーマの裏には、美の追求というよりむしろ、人間の剥き出しの生をえぐり出すような冷徹な眼差しが潜んでいる。この言葉を文字通りに受け取り、単なる「権威に対するカウンターの表明」と結論づけるのは早計だろう。川久保が試みたのは、王族という虚飾と、日常という凡庸な現実を衝突させ、その境界線を破綻させることで、衣服の奥底に潜む人間の生々しい本性を浮き彫りにすることだったのではないか。