1998年 グラミー賞に乱入したOl' Dirty Bastardの話
1998年第40回グラミー賞でのODBの乱入事件は、ヒップホップの歴史において伝説的な瞬間として語り継がれています。
その伝説ぶりは先ごろフィギュアメーカーのSUPER7が事件を元にしたODB人形(画像参照)を発売したほどですが、一体どんな事件だったのでしょうか。
この年、Wu-Tang Clanはその代表作であるアルバム『Wu-Tang Forever』で最優秀ラップ・アルバム賞にノミネートされていました。しかし、Wu-Tangは受賞を逃します。その賞を手にしたのは、P. Diddyのアルバム『No Way Out』でした。
この結果はアンダーグラウンドの底の底から這い上がり、商業的にも大成功したWu-Tangメンバーにとって、非常に悔しいものでした。
授賞式が進んでいく中、最優秀R&Bソング賞を発表するためにErykah BaduとWyclef Jeanがステージに登場しました。その瞬間、ODBは突如としてステージに乱入しました。彼はマイクを手に取り、こう叫びました。
「今日は高い服を買ったんだよ、だってWu-Tangが勝つと思ったからさ。でも、俺が言いたいのはWu-Tangは子どもたちのためにあるってことだ。俺たちは子どもたちに教えるんだ、分かるだろ?Puffyも良いけど、Wu-Tangは一番だ。俺はみんなに伝えたい、これがODBだ。愛してるよ、ピース!」
この突然のハプニングに出演者や観客は一瞬なにが起こったのか分からず戸惑いました。当然、授賞式の進行を止めたことに対する批判も巻き起こりましたが、この発言には、ODBのプライドや自信、そして音楽を通じて次世代に対して伝えたかったメッセージが込められていました。
RZAは後にこの出来事について語っています。
彼は授賞式の前にODBに向かってこう言ったそうです
RZA
「俺はODBに言ったんだ。『聞け、あいつら(グラミー)は俺たちに賞なんかくれないよ』って。若い頃、俺はすごく悲観的だったんだ。『俺たちは認められない』と思ってた。『俺たちを見ろよ。本物だろ?俺たちはここにいるんだ』って。でも、俺が奴に『俺たちを見ろ』って言ったとき、ODBはその言葉を誤解したんだ。」
RZAがODBに言いたかったのは、「我々は本物で、評価されなかったとしても関係ない。俺たちを見ろ(Look at us)」ということでした。
しかし、ODBはこの「俺たちをみろ(Look at us)」を「自分たちの服装がその場にふさわしくないと賞を逃す」と誤解してしまったのです。
ODBが会場で「今日は高い服を買ったんだよ」と訴えたのはそのためでした。
RZAは続けて言います。
「ODBは『自分たちが正しく服を着ていなきゃダメだ』と思ったんだ。だから、グラミーに出るために『よし、俺は準備する』って感じで、高い服を買ったりしたんだよ。でも実際は、グラミー賞の投票はもうすでにその夜の前に決まっていることを彼は知らなかったんだ。」
最後に、RZAはODBの言った「Wu-Tang is for the children(Wu-Tangは子どもたちのためにある)」という発言の意味をこう解説しています。
RZA
「ODBはもう自分の言葉で伝えることができないから、俺が彼の意味を解釈するよ。実際、俺はその解釈に完全に同意できるし、むしろその通りだと思う。彼が言いたかったのは、俺たちがどこから始まったか、何を世界に与えてきたか、何を注いできたかを基に、子どもや若者は、間違った道ではなく、俺たちの道を歩んだほうがいいということだ。分かるか?彼はそれが、苦闘、正義、兄弟愛の道だって分かっていたんだ。」
The Low End TheoryがSOURCE誌で5本マイクを獲得したときの記事
簡単に翻訳します
A Tribe Called Quest
The Low End Theory
Jive Records
Production: artist
Rating: 5
革新的でユニーク、そして最高のヒップホップアルバムを作り上げた後に、次は何をする? 皆が理解できないような未踏の音楽的領域へ進む代わりに、トライブは横道に外れ、ジャズに影響を受けたサンプルと力強いハードコアなビートを組み合わせて、進歩的なサウンドにストリート感を加えた。
このアルバムで一貫しているテーマは、音楽業界への幻滅だ。歌詞のテーマには、怪しいプロモーター、海賊版業者、そしてアーティストを搾取する貪欲で無神経なレコードレーベルが取り上げられている。その一方で、ティップとアリは彼らの秘密のライブラリーから、さらにファットなループを提供している。トラックはシンプルに保たれ、3ブロック先でも聞こえるような力強いビートが特徴だ。ただ単にビートをループに載せるのではなく、トライブは自分たちのビートを組み合わせて、サンプルを完全に独自の音に変えている。彼らは適切なタッチを加えている――それがQティップの「Verse From Abstract」での生ベースの歌声であろうと、ファイフの「Butter」でのジャジーなサックスのループであろうと。
Qティップはすでに自分の独特なスタイルを持った非常に優れたリリシストであることを証明しており、今回も「アブストラクト・ポエット(抽象的な詩人)」と自称しながら美しくフロウを刻んでいる。ファイフのマイクスキルを前作で疑問視していた人々は、その疑念を飲み込むだろう。彼はこのアルバムで事実上主役をさらっており、ティップの柔らかな雰囲気を補完する、より地に足のついたアプローチを提供している。
他の傑出した曲には、「Buggin Out」―キャッチーなベースラインを持ったアップテンポな曲、「Rap Promoter」―重厚なギターサンプルを特徴とする、「Show Biz」―Brand NubianのLord JamarとSadat X、さらに元Ultimate ForceメンバーのDiamond Dが参加している曲、そして「Scenario」―Leaders Of The New Schoolとの曲で、Busta Rhymesの驚くべきリリックが光る曲が含まれる。
ここには2作目にありがちな失敗はなく、純粋なヒップホップのみが存在する。
REEF