【ネクタイ掴みは、紳士の最大の侮辱】
について、詳細を補足しておきますね。
この話は18世紀末〜19世紀前半(特に1800年代初頭〜1830年代頃)の
紳士の心意気を表していると考えてください。
言葉自体は
1828年の『The Art of Tying the Cravat(クラバットを結ぶ技術)』という書籍内に登場します。
“The greatest insult that can be offered to a man, comme il faut, is to seize him by the Cravat ; in this case blood only can wash out the
stain upon the honour of either party.“
当時のネクタイ(クラバットと呼びました)の基本的なものから複雑なものまで30種以上の結び方が図解付きで解説されており、
当時のヨーロッパ中のダンディ(伊達男��たちの間で爆発的なヒットとなったそうです。
全文がアーカイブで読めます。
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クラバットは、現代のネクタイのような細長い帯状ではなく、幅が数十cm〜1m程��の大きな正方形や長方形の布で、
それを細く折りたたんで首にぐるぐる巻きつけて、複雑な結び方で留める
という手法で身につけました。
結ぶのを大変にした要因として
クラバットを硬くノリ付けしていたことがあります。
そのままでは柔らかい布なので、でんぷんノリでかためることで結び目や形状をしっかりキープ。美しくビシッと整えたクラバットは紳士の清潔感や美意識の高さをアピールできることもあり、ノリを使うのは必須だったようですが
それ故に、結ぶのに失敗するとやり直しができず、新たなクラバットを使い直す必要があったらしく…。
一度でも結び目を失敗してシワがつくと、布に不細工な折れ目が残り、ノリの効果も落ちるため、結び直すという選択肢が存在しなかったらしいです。
クラバット結びの大変さを表す逸���として、カリスマ英国紳士であり伊達男の代名詞、ボー・ブランメルが身支度をする時には、彼の部屋の床には失敗した白い布の山で埋め尽くされていたというものもあるくらいだったとか…。
そんなわけで、
紳士が、血のにじむような努力で作り上げた美意識の表れであり尊厳の象徴を
一瞬で破壊するようなネクタイ鷲掴み行為は
血で対価を払う必要があるほどの侮辱だったのよ、
という感じですかね。