【「楽器のthe」と覚えないように】
中学とかでは今でも
I play the piano.
と楽器にはtheを「つけなければならない」と教える人もいるそうなのですが、現代英語ではほとんどの場合、
I play piano.と無冠詞で言うのが普通になっています。
このtheのことを「楽器のthe」と呼ぶのは誤解を招く���で、いうなら「演奏のthe」がいいですね。
ある中学校の先生が、「私はギターを買いました」を生徒が英作文して「I bought <the> guitar.」と書いてきたので、「このtheは a がいい」というと「だって<楽器のthe>をつけるんでしょ?」と生徒が言ったそうです。このように「楽器にはtheつける」という短絡的な覚え方に誤導恐れもあるわけですね。
実は、演奏を意味する場合に、このtheがなぜつくのか、諸説あって、はっきりしたことはわかっていません。その中で有力なのが「古い英語の具格(道具を表す)の指標としての冠詞の名残」ではないかというものです。だから普通の定冠詞のtheの理解の延長で、これをとらえようとしても無理があります。
20世紀初頭のアメリカのジャズミュージシャンを発端として、演奏の道具として用いている楽器に冠詞をつけない傾向が始まり、それがあっという間に世界中に広がりました。私が中学の頃、確かにまだ「楽器のthe」という用語(?)が飛び交っていたのですが、ある曲の歌詞に「pick guitar」と無冠詞の guitar が出てきて不思議に感じました(このpickは「つまびく」で playと同等)。つまり、私が中学生だ��た、今から50年以上前の時点で「演奏の意味での楽器には冠詞をつけない傾向」がすでに広まっていたのです。
theをつけない人に「なぜつけないのか?」と尋ねると「つける理由が感じられないから」とのことでした。
これは go to school, go to church など school や churchが単なる建造物ではなく抽象的な「学ぶ場」、「祈りの場」を意味しており、「go to school=通学する、学生である」、「go to church=お祈りにいく、信者である」という意味を表しています。
同様に play guitar/pianoなどでは「演奏」という目的のための道具として冠詞をつける必要が感じられなくなったようです。
楽器そのものは普通名詞ですから、desk, chair と本質的に何ら変わりません。だから
I bought a guitar.
I made a lot of guitars.
He tunes pianos.(調律師をしている)
など演奏でない場合は、当然、それなりの冠詞がついたり、複数形になりますし、演奏だとしても
I played an old piano at the bar.
のように冠詞をつけることも決して間違っていません。
また、ある留学生がホームステイ先で
I play the piano.
と言ったら、そこの家族に
"Which piano?"と(分かっていて)からかわれたという経験を語った人もいます。
少なくとも学校の試験などで「<楽器を>演奏する」という英文で楽器名に定冠詞theをつけなかったことを理由韻それを×にしてはならない時代になっています。