SOAPを日本に持ち込んで広めたのも日野原先生なんですね(by ChatGPT)
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SOAP形式のカルテ記載は、1960年代後半の米国でLawrence L. Weedが提唱した Problem-Oriented Medical Record(POMR;問題志向型診療録)の一部として生まれたものです。現在の「とりあえずS/O/A/Pに分けて経過を書く」という使われ方だけを見ると単なる記載フォーマットに見えますが、元来はもっと大きな思想を持ったシステムでした。
1. SOAP以前:カルテはかなり「書き手依存」だった
20世紀前半までにも病歴、身体所見、検査結果、経過記録という概念自体は当然ありました。しかし、カルテ全体を患者が抱える「問題 problem」ごとに整理し、その問題についてデータ→解釈→行動を論理的に追跡するという統一的な方法はありませんでした。
Weedは1950年代、Yaleなどで教育に携わるなかで、研修医が患者情報を集めても、それを系統的に整理して推論することができていないことに強い問題意識を持つようになります。後年の医学教育史では、彼が当時の診療録をかなり「chaotic」と捉えていたことが紹介されています。
つまり、Weedにとって問題だったのは、
カルテが読みにくいことではなく、カルテの構造が医師の思考を規律していないこと
でした。
ここがSOAP誕生を理解するうえで重要です。
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2. 1960年代:Weedが「Problem-Oriented Medical Record」を考案
Weedは1960年代前半からこの考えを発表し始め、決定的だったのが1968年の New England Journal of Medicine の連続論文、
“Medical Records That Guide and Teach”
です。
タイトル自体が彼の思想をよく表しています。
診療録は単なる「起こったことの保管場所」ではなく、
医師の診療を guide し、医師を teach する道具であるべきだ
という発想です。
1969年にはこれを体系化したモノグラフ
Medical Records, Medical Education, and Patient Care: The Problem-Oriented Record as a Basic Tool
を刊行します。後世、この1968–69年がPOMRの成立期とされています。
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3. POMRは「SOAPだけ」ではない
WeedのPOMRは、大まかにすると次の構造を持っていました。
① Database
↓
② Problem list
↓
③ Initial plans
↓
④ Progress notes
患者について情報を網羅的に集め、そこから、
#1 Pneumonia
#2 Heart failure
#3 Diabetes
#4 Social problem
などとproblem listを作ります。
そして、経過記録は「今日の患者全体について漫然と書く」のではなく、
各problemについて進展を記録する
ことになります。
そこで用いられるのがSOAPでした。
S = Subjective
患者が述べた症状・経験
O = Objective
診察所見、検査値、画像など
A = Assessment
SとOを踏まえ、自分はこの問題をどう解釈するか
P = Plan
その評価を踏まえて何をするか
という構造です。
したがって本来は、
Problem #1 → SOAP
Problem #2 → SOAP
Problem #3 → SOAP
というのがWeedの思想に近い形式です。
現在よく見る、
S: 全部の症状
O: バイタル・検査全部
A/P: 疾患一覧
という形式は、POMRからSOAPだけが独立して普及した結果ともいえます。
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4. 面白いことに、最初から完全な「SOAP」だったわけではない
ここは歴史的に少し注意が必要です。
1968年のWeedの記載は、現在の完成された四文字のSOAPそのものというより、
Subjective → Objective → Rx → Interpretation → Plan
という5要素を含む形式でした。
これが整理されて、
Subjective
Objective
Assessment
Plan
という現在のSOAPになったとされています。
ですから、
「1968年にWeedが現在と全く同じSOAPという頭字語を突然発明した」
と理解するより、
1960年代にWeedがPOMRとproblem-oriented progress noteを作り、それが1960年代末〜1970年代初頭に現在のSOAPとして定着した
と考える方が歴史的には正確です。
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5. なぜ一気に標準化したのか?
ここが特に興味深いところです。
SOAPが普及した最大の理由の一つは、医学教育との相性が非常によかったことです。
それまで指導医が、
「ちゃんと考えてカルテを書け」
と言っても、「ちゃんと考える」とは何かが曖昧でした。
SOAPなら、
患者は何と言っている?
→ S
事実として何がある?
→ O
そこからあなたは何を考えた?
→ A
だから何をする?
→ P
と、臨床推論そのものを可視化できます。
つまりSOAPは単なる文章のテンプレートではなく、
Data → Interpretation → Action
という科学的推論を強制する一種のcognitive scaffold(思考の足場)だったわけです。現代の医学情報学でも、SOAPは「documentation format」であると同時に「cognitive framework for clinical reasoning」と評価されています。
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