「3年後にAGIが誕生すると分かっていながら,博士号を取り,ポスドクになり,大学教授になる計画を立てているんですか?」
Anthropicの研究者が,博士課程の学生たちに「あなたたちのキャリアプランはもう存在しない」と告げた講演が話題です。
拡散モデルの発明者でもあるJascha Sohl-Dickstein氏(Anthropic)の講演『Advice for a young investigator in the first and last days of the Anthropocene(人新世の最初と最後の日々における若手研究者へのアドバイス)』を紹介します。
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人類が主役だった地質年代(人新世)が,AIの台頭によって極めて短い期間で幕を閉じるかもしれない ——そんな前提のもと,提示されたデータは強烈です。
■ 突きつけられた冷徹なファクト
モデル訓練の計算量は過去10年で約1000万倍に増加し,人間の脳が生涯で行う総計算量に迫っている。AIが単独で完遂できるタスクの時間スケールは,数ヶ月ごとに倍増している。ここ7ヶ月ほど,モデルは数学者が長年解けなかった未解決の「Erdős(エルデシュ)問題」を解き始めている。サンフランシスコでは「長いタイムライン(懐疑派)」とは「AGIは10年以内に来る」を意味している。2030年の計算量は2025年の約1万倍に達する見込み。
線形グラフで見れば,現在の劇的な進歩すら「まだゼロと区別がつかない平坦な初期段階にいる」というのが彼の主張です。
■ 学生たちへのシンプルで容赦ないアドバイス
毎日AIを使え。指数関数の上にいれば,遅れを取ることはない。彼自身はClaudeを「実行力は天才だが、研究のセンスはかなり悪い大学院生」のように毎日使い,自分ではもうコードを一切書いていない。
計算量がスケールするほど良くなるプロジェクトを選べ。それ以外は,完成する前に解かれてしまう サットンの『苦い教訓』の通り,スケールに味方されるテーマを選ばなければ,2年かけた研究も完成する頃には次世代モデルのプロンプト一発で追い抜かれる。
キャリアを「安定したもの」として計画するのをやめろ。安全な選択肢は,もはや安全を買ってくれない 社会全体で大規模な破壊が起きるなら,ベースラインのリスク自体が高い。従来の「手堅い選択肢」は,もはや安全を担保してくれず,ただ潜在的なリターンを犠牲にするだけになる。
そして,最も印象的な一言がこれ。
「書くことは考えることだ(Writing is thinking)。書くことを外注すれば,考えることも外注することになる。」
コーディングや実行は徹底的にAIへ委譲しつつ,問題設定(センス)と思考の核(書くこと)だけは決して手放すな。 AGIのタイムラインを本気で信じているなら,キャリアの計画も本気でそれに合わせろという,極めてストレートなメッセージの講演を紹介しました。