���#CancerScience 10/2026 ハイライト��文紹介✨
Selective Depletion of Tumor-Infiltrating CD4+CCR8+ Tregs by AZ084, a Novel CCR8 Antagonist
Yepeng Mao, Ziqi Tao, Shuna Liu, Zhijie Liu, Fang Wang et al.
1: Department of Laboratory Medicine, The First Affiliated Hospital with Nanjing Medical University, Nanjing, China
2: Branch of National Clinical Research Center for Laboratory Medicine, Nanjing, China
卵巣がんは、特に進行期に診断された場合、治療が難しいがんです。その一因として、腫瘍が免疫反応を抑制する仕組みを持つことが挙げられます。本来は過剰な免疫反応を抑える制御性T細胞(Treg)が腫瘍内に集積すると、がん細胞を攻撃する免疫細胞の働きを抑えてしまいます。そのため、全身の免疫機能を損なうことなく腫瘍内のTregを標的とする方法が求められています。
本研究では、腫瘍内のTregで高発現するCCR8に注目しました。卵巣がんやメラノーマのマウスモデルにおいて、CCR8陽性Tregは他のTregより強い免疫抑制作用を示しました。そこで、CCR8を阻害する新規薬剤「AZ084」を用いたところ、Tregへの分化や免疫抑制能、腫瘍由来のシグナルに対する移動が抑制されました。
さらに、腫瘍を持つマウスにAZ084を投与すると、腫瘍の増殖と腫瘍内のCCR8陽性Tregが減少しました。一方で、CD8陽性T細胞の腫瘍への浸潤が増加し、抗腫瘍免疫に関与するインターフェロンγの産生も高まりました。また、脾臓の主要な免疫細胞への影響や臓器障害はほとんど認められませんでした。
これらの知見は、CCR8阻害が腫瘍内の免疫抑制を解除し、抗腫瘍免疫を高める新たな治療法となる可能性を示しています。ただし��ヒトでの有効性と安全性については、さらなる検討が必要です。
論文
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FDX1 Depletion Activates CD8+ T Cell Antitumor Immunity by Promoting DMBT1 Secretion in Cuproptosis of Colorectal Cancer
Jieqiong Wu, Zaixi Lian, Mingzhou Li, Li Liang, Honli Jiao, Shuyang et al.
1: Department of Pathology, Nanfang Hospital, Southern Medical University, Guangzhou, Guangdong, China
2: Department of Pathology, School of Basic Medical Sciences, Southern Medical University, Guangzhou, Guangdong, China
3: Guangdong Province Key Laboratory of Molecular Tumor Pathology, Guangzhou, Guangdong, China
大腸がん(CRC)は世界で最も多いがんの一つであり、がんによる死亡にも大きく関与しています。免疫系はがん細胞を認識して攻撃しますが、腫瘍内では免疫反応が抑制されることがあります。特に、がん細胞を直接攻撃できるCD8陽性T細胞は、腫瘍微小環境の中で機能が低下し、「疲弊」状態になることがあります。
本研究では、銅依存性の制御された細胞死である「キュプロトーシス」に注目し、その重要な因子であるFDX1の機能を解析しました。その結果、CRC細胞でFDX1を抑制すると、がん細胞の増殖が抑えられるだけでなく、CD8陽性T細胞の抗腫瘍活性も高まることが明らかになりました。FDX1の抑制によりがん細胞からのDMBT1の産生・分泌が増加し、CD8陽性T細胞ではグランザイムBやパーフォリンなどの細胞傷害分��の産生が増加するとともに、T細胞疲弊の指標が低下しました。
さらに、遺伝子発現を調節するDICER1がFDX1によるDMBT1制御に関与することも示され、FDX1-DICER1-DMBT1経路が明らかになりました。細胞、マウスモデル、ヒトCRC検体の解析でもこれらの結果が確認され、FDX1の高発現は予後不良やCD8陽性T細胞活性の低下と、DMBT1の増加はより強い抗腫瘍免疫と関連していました。
これらの知見は、この経路を標的とすることで、CD8陽性T細胞を介した抗腫瘍免疫を高められる可能性を示しています。
論文
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Genetic Evolution in BRCA1-Associated Breast Cancer Reveals Early Driver Mutations Shaping Tumor Features and Prognosis
Li Hu1, Zhongwu Li, Qiting Wan, Xingyu Liao, Yuntao Xie1 et al.
1: Familial & Hereditary Cancer Center, Key Laboratory of Carcinogenesis and Translational Research, Ministry of Education, Peking University Cancer Hospital & Institute, Beijing, P. R. China
乳がんは、細胞が異常な増殖や生存を可能にする遺伝子変化を獲得することで発症します。特に、BRCA1遺伝子に有害な生殖細胞系列変異を持つ人は若年で乳がんを発症するリスクが高く、その腫瘍は治療標的となる3つのマーカーを欠くトリプルネガティブ乳がん(TNBC)であることが多いとされています。しかし、BRCA1関連乳がんの発生初期にどのような遺伝子変化が生じ、それが腫瘍の性質にどのような影響を与えるのかは明らかになっていませんでした。
本研究では、生殖細胞系列のBRCA1病的変異を持つ57人の原発性乳がんを解析し、非浸潤がんから浸潤がんまでのさまざまな段階で遺伝子変化を調べました。その結果、正常細胞���異常増殖を抑えるTP53が最も早期に生じるドライバー遺伝子変化であり、約58%の腫瘍で発がんの開始に関与していることが判明しました。
TP53変異は全体の約70%��認められました。TP53が最初の主要な変化となった腫瘍では約88%がTNBCであり、正常なBRCA1アレルの喪失やゲノム不安定性も高頻度にみられました。さらに、BRCA1関連腫瘍ではTP53の短縮型変異が多く、HRDスコアの低下、EMT経路の活性化、予後不良傾向と関連していました。
これらの知見は、腫瘍発生初期の遺伝子変化がBRCA1関連乳がんの性質や進展を決定する重要な要因であることを示しています。
論文
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Targeting Cell Cycle Vulnerabilities in Cancers: Emerging Strategies for Therapeutic Development
Nana Kamakura1, Toru Hirota1
1: Division of Experimental Pathology, Cancer Institute, Japanese Foundation for Cancer Research, Tokyo, Japan
本総説は、細胞周期制御とDNA損傷応答におけるがん特異的な脆弱性を利用する新たな治療戦略をまとめたものです。がん細胞は増殖・分裂シグナルの恒常的活性化やチェックポイント制御の喪失により急速に増殖しますが、このことが特定の経路への依存性を高め、特有の脆弱性(弱点)を生み出す結果となっています。
著者らは、がん細胞が細胞分裂、DNA修復、細胞周期を担う特定のタンパク質に依存している点に注目しています。既存薬の一部はすでにこれらのタンパク質や経路を標的としており、さらに遺伝子編集技術で腫瘍特異的な脆弱性を特定する研究も進んでいます。
がんの旺盛な増殖そのものが弱点を生むことを示しており、すべての分裂細胞を攻撃するのではなく、がん細胞が依存する生存戦略を標的とすることで、より精密で副作用の少ない治療が可能になると考えられます。
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Oncogenic BRAF and KRAS Promote Global DNA Hypomethylation Through a Directed Pathway That Upregulates TET3
Ichiro Onoyama1,2
1: Department of Molecular, Cell and Cancer Biology, University of Massachusetts Chan Medical School, Worcester, Massachusetts, USA.
2: Department of Gynecology and Obstetrics, Kyushu University Hospital, Fukuoka, Japan.
がんはDNA配列の変化だけでなく、遺伝子の化学修飾によっても発展します。その1つであるDNAメチル化では、過剰なメチル化ががん抑制遺伝子を抑制する仕組みはよく知られていますが、ゲノムの広い領域でメチル化が低下する分子機構についてはほとんど明らかになっていません。
本研究では、がんドライバー遺伝子BRAFおよびKRASが広範なDNA低メチル化にどのように関わるかを、遺伝子改変マウスおよび肺がんモデルマウスを用いて調べました。その結果、BRAFおよびKRASの活性化はGSK3β活性を抑制し、DNA脱メチル化関連タンパク質TET3の分解を抑えることで��DNA脱メチル化を促進することがわかりました。つまり、ゲノム広域でのDNA低メチル化は、BRAF・KRAS・TET3による協調的なプロセスであることが明らかになりました。TET3の増加や関連するDNA変化は、がん発生初期の指標や予防戦略の有望な標的となり得ると考えられます。
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#BRAF #KRAS #DNA_demethylation #epigenetics #DNA_hypomethylation #TET3
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Organ-Specific Cancer-Associated Fibroblast Subtypes Across the Digestive System Linked to Cancer Hallmarks
Huaitao Wang1,2,3, Takatsugu Ishimoto1,4
1: Division of Carcinogenesis, The Cancer Institute, Japanese Foundation for Cancer Research, Tokyo, Japan
2: Department of Gastroenterological Surgery, Graduate School of Medical Sciences, Kumamoto University, Kumamoto, Japan
3: Department of General Surgery, Shengjing Hospital of China Medical University, Shenyang, China
4: International Research Center of Medical Sciences, Kumamoto University, Kumamoto, Japan
がんの進行はがん細胞だけでなく、周囲の腫瘍微小環境にも大きく影響を受けます。その中でもがん関連線維芽細胞(CAF)は、がんの進展、免疫応答、治療抵抗性において多様な役割を果たしていますが、消化器がん全体におけるCAFの不均一性、組織特異性および臨床的意義については、いまだ十分に明らかにされていません。
そこで本研究では、胃・大腸・膵��・胆道がんを含む消化器がん239例を、単一細胞解析、機械学習、空間マッピング技術を用いて詳細に解析しました。その結果、8つのCAFサブタイプが同定されました。このうち筋線維芽細胞性CAFの2つのサブタイプmyCAF1とmyCAF2は予後不良と強く関連し、組織リモデリングや低酸素適応、免疫抑制性マクロファージとの相互作用を特徴としていました。一方、炎症性CAFであるiCAF1は予後良好と関連し、抗腫瘍性免疫細胞が多く存在することが明らかとなりました。
消化器がんでは臓器ごとにCAFの構成が大きく異なり、CAFの多様性と局在が病態に深く関与することが示されました。今後は有害なサブタイプを選択的に標的とし、有益なものを温存または促進する精密な治療戦略が重要になると考えられます。
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