ONE OK ROCKの新しいアルバム「DETOX」がすごくいい。20年間、本気で聞いてきたファンの人のようなことは言えないけれど、僕にとっても特別な作品なので、少し感想を書かせてください。
世界、今、大変じゃないですか。って他人事みたいに書いているけれど、その大変な世界にみんなが巻き込まれようとしている。少なくとも、そんな不安は多くの人が抱えている。じゃあ、この大変な世界にどう向き合えばいいのか。
真正面から全面対決するのか、傍観するのか、それとも逃げればいいのか。そんな時に、ワンオクの出してきたテーマというのが、「DETOX(デトックス)」。すごくTakaくんらしいなと思った。悪い状況の時に、わざわざ毒を入れる必要はない。どうやって身体から毒を出すかを考えた方がいい。
「DETOX」というのは、社会の膿を出していくことでもある。でもそれは平和で、清潔で、完璧な社会を目指すということではない。フィジカルのアルバムには「AI
GOD」の寓話が載っていたけれど、平和と安全のために自由を手放していいのか。「Puppets Can’t Control You」を筆頭に、問題提起に満ちたアルバムになっている。だけど、評論家と違って問題提起だけじゃないんだよね。
なんかさ、ワンオクって、みんな優しいんだよね。その優しさが、ロックであり、激しくもあり、厳しい言葉で現状を突きつける曲にも、きちんと染みこんでいる。
優しさというのは、責任と表裏一体なのだと思う。「DETOX」の曲は、どれも無責任ではない。無責任に誰かを慰めたり、鼓舞したりしない。だけど見捨てない。だから何度も問いかける。言うべきことは言う。無責任な評論家とは違う。音楽にできることをわかった上で、あきらめた上で、それでも歌い続ける。そんな責任と覚悟に裏打ちされた優しさが、どの曲からも感じられる。
実は機会があって、この「DETOX」の制作現場を二回ほど覗きに行ったことがある。一度目は2023年のフランス合宿の時。二度目は2024年のちょうど一年くらい前、ロサンゼルス。
そこでもTakaくんは優しくて、メンバーとはまるで家族みたいだった。Takaくんがお母さん、Toruくんがお父さん、RyotaくんとTomoyaくんが子ども、なんだっけ。「バンドじゃなかったら続いていなかった。ソロでやろうと思ったことはない」と聞いたことがある。
その節は、部外者なのに貴重な景色を見せてくれてありがとう。押しかけたみたいな感じなのに、Takaくんは料理を作ってくれたし、みんなでサン・セバスチャンに行ったりした。そうそう、僕のXのアイコンはその時にRyotaくんに撮ってもらった写真です。
「DETOX」は、最初からメンバー全員が集まって作ったアルバムだという。アートワークにはRyotaくんががっつり参加していたり、メンバーがお互いを信頼し合っているのがよくわかる。「This Can't Be Us」っていうバラードの名曲は、Tomoyaくんの哀愁あるドラムがすごくいい。「Party's Over」のToruくんの疾走感あるギターが格好いい。DAIDAIくんとの本気の共作も熱がすごい。ツアー、楽しみだね。
知ったかぶりをして色々と書いてしまったけれど、Takaくんと会うことって、確かにデトックスだなあと腑に落ちた。けしかけられるかと思いきやの、いつも会うたびに心配してくれるんだよね。「You matter to me(君が大事だよ)」って言ってくれる「+Matter」みたいに(すごくいい曲です)。「DETOX」を聞いてあらためて思ったけど、人柄だとか、本気であることって、やっぱり作品を通しても伝わる。
色々と大変な時代。このアルバムを何度も聴いて、身体の中の空気を変えてみようと思う。空気が変われば、景色も違って見える。それがきっと勇気になる。