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ミトミえもん
@mitomi_emon
ミトミえもん(グルメ活動家)/株式会社はらぺこ(飲食事業)/グルメサイト「食べある記」(人生の食事履歴全公開!!)→
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ミトミえもん
@mitomi_emon
over 1 year ago
【重大発表】 📕見冨右衛門、初の書籍が発売! ・Amazon https://t.co/MteLv1pnoo ・楽天ブックス https://t.co/FazsoTOYPT 📖 発売日:3月28日 📍 全国書店&オンラインストアにて販売
ミトミえもん
@mitomi_emon
about 1 hour ago
筑波山の麓に佇む、半世紀、鴨と向き合ってきた店『鴨亭』。創業は1975年。震災前までは店のすぐ近くで鴨を飼育していたが、現在は場所を移しながらも自家養殖を続けている。環境が変わっても、鴨を自分たちで育てる姿勢は変わらない。その積み重ねが、この店の輪郭を形づくっている。 名物は「鴨石焼き定食」。胸肉は焼く前にワインへさっと浸してから石板へ。焼き始めると脂がじわりと溶け出し、その脂で長葱、南瓜、椎茸、ピーマンを焼いていく。椎茸は日本酒に浸してから焼くというひと手間。視覚的には艶のある赤身、耳にはじゅうじゅうという音。口に含めばしっとりとした弾力、後から鴨脂の甘みが広がる。脂をまとった野菜の甘さが重なり、味はより丸くなる。 「鴨南蛮そば」は出汁まで鴨で引く一杯。鰹ではなく鴨を主軸に置く構成はなかなか珍しい。油膜の張ったつゆは厚みがあり、常陸秋そばの香りを包み込む。啜った瞬間に甘み、続いてコク、最後に葱の刺激。やや力強い印象もあるが、鴨を前面に出す意図は明確だ。 「鴨もも燻製」は一本丸ごと。桜の木で燻し、香味野菜とスパイスで漬け込む。外側に濃い燻香をまとい、肉質は締まりがあり噛み応え十分。噛むほどに野性味と旨味が押し寄せる、力強い仕上がりだ。 2012年には東銀座へ暖簾分けの形で展開。筑波で培った鴨料理の軸を、そのまま都心へと広げた。半世紀の積み重ねがあるからこその展開だろう。自家養殖の鴨を軸に据え続けてきた歴史には確かな重みがある。筑波山を眺めながら石板で鴨を焼く時間。その体験込みで味わう店だ。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
@mitomi_emon
about 1 hour ago
筑波山の麓に佇む、半世紀、鴨と向き合ってきた店『鴨亭』。創業は1975年。震災前までは店のすぐ近くで鴨を飼育していたが、現在は場所を移しながらも自家養殖を続けている。環境が変わっても、鴨を自分たちで育てる姿勢は変わらない。その積み重ねが、この店の輪郭を形づくっている。 名物は「鴨石焼き定食」。胸肉は焼く前にワインへさっと浸してから石板へ。焼き始めると脂がじわりと溶け出し、その脂で長葱、南瓜、椎茸、ピーマンを焼いていく。椎茸は日本酒に浸してから焼くというひと手間。視覚的には艶のある赤身、耳にはじゅうじゅうという音。口に含めばしっとりとした弾力、後から鴨脂の甘みが広がる。脂をまとった野菜の甘さが重なり、味はより丸くなる。 「鴨南蛮そば」は出汁まで鴨で引く一杯。鰹ではなく鴨を主軸に置く構成はなかなか珍しい。油膜の張ったつゆは厚みがあり、常陸秋そばの香りを包み込む。啜った瞬間に甘み、続いてコク、最後に葱の刺激。やや力強い印象もあるが、鴨を前面に出す意図は明確だ。 「鴨もも燻製」は一本丸ごと。桜の木で燻し、香味野菜とスパイスで漬け込む。外側に濃い燻香をまとい、肉質は締まりがあり噛み応え十分。噛むほどに野性味と旨味が押し寄せる、力強い仕上がりだ。 2012年には東銀座へ暖簾分けの形で展開。筑波で培った鴨料理の軸を、そのまま都心へと広げた。半世紀の積み重ねがあるからこその展開だろう。自家養殖の鴨を軸に据え続けてきた歴史には確かな重みがある。筑波山を眺めながら石板で鴨を焼く時間。その体験込みで味わう店だ。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
@mitomi_emon
1 day ago
日光駅前という旅の起点に店を構える『さかえや』。創業は昭和33年(1958年)、60年以上にわたり日光土産と向き合ってきた老舗だ。もともとは土産物屋として日光の名産と向き合ってきたが、2000年頃に誕生した「揚げゆばまんじゅう」によって、その存在は一気に“食べ歩きの主役”へと躍り出る。 そもそも日光と湯葉の関係は深い。山岳信仰の地として発展したこの地では精進料理の文化が根付き、動物性食材の代替として大豆加工品が重宝されてきた。その中で湯葉は栄養価と保存性を兼ね備えた重要な食材であり、土地の食文化を象徴する存在でもある。『さかえや』の「揚げゆばまんじゅう」も、この文脈の延長線上にある一品だ。 目の前で手渡されるそれは、ふっくらとした黄金色。湯葉を練り込んだ生地を揚げることで、外側はサクッと軽やかに仕上がり、かじればその食感が小気味よく響く。続いてもっちりとした生地、そして中の餡の甘みがじんわり広がる。餡はねっとりとコクのある甘さで、油の香ばしさと真正面からぶつかり合うが、不思議と重たさには転ばない。揚げたてゆえに餡までほんのり温かく、その一体感が心地いい。湯葉由来のやわらかな大豆の風味が後味を整え、さらに表面にほんのり効かせた塩気が全体を引き締める。この甘さ、油、塩、そして温度の設計が実に巧みだ。 長年の菓子作りの蓄積と、観光地という環境への適応。その両方を理解しているからこそ生まれた一品だろう。守るべきものと変えるべきもの、そのバランス感覚こそがこの店の強さだ。日光という土地の歴史を背負いながら、今の観光客の体験にもフィットさせる。その象徴が「揚げゆばまんじゅう」にある。ご馳走様でした。
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アリナミン【公式】
@alinamin_jp
疲れたあなたのカラダにアリナミン。 アリナミン公式アカウントです。当アカウントではリプライ・DM返信は行っておりません。 製品に関するお問い合せはお客様相談室まで→ https://t.co/skrkKzeyfW
坂口 高貴 | レストランマーケター
@maxkokikun
レストランの魅力を引き出すマーケター。 実際に体験&取材したからこそわかる、心からおすすめのお店を紹介します。たまにサケラボトーキョーとMOMO Stand Tokyoにいます。お仕事のご相談はDMまで。 アユニ・Dが好き
Sho
@sho_gm_official
競馬YouTuber/競馬血統ロマン追求家/ 競馬に仮説を立てて楽しんでいます。予想動画はYouTubeへ↓
ミトミえもん
@mitomi_emon
3 days ago
寺町御池の老舗和菓子店『亀屋良永』。天保3年(1832年)創業、「大文字屋」から始まり、のちに「亀屋」へと屋号を改めた一軒。戦時中の強制疎開を経て、戦後に現在地で再建された歴史を持つが、その歩みから感じるのは重厚さよりも、暮らしの中で受け継がれてきた温度感だ。一言で言えば、庶民の文化の中で続いてきた和菓子屋。 看板の「御池煎餅」。見た目は素朴な麩焼き煎餅だが、口に入れた瞬間のサクッとした歯触りから、すっと消えていく軽さが印象的。砂糖蜜の甘さはやわらかく広がり、そこにほんのりと醤油の焦げたような香ばしさが重なり、後味にさりげない奥行きをつくる。軽さと余韻、そのバランスが心地いい。 さらに、菓子そのものだけでなく、パッケージからも文化的な背景を感じさせる。この缶のデザインを手がけたのは版画家・棟方志功で、その存在も含めて記憶に残る仕掛けになっている。京都土産として名前が挙がるのも納得だ。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
@mitomi_emon
4 days ago
ラーメンという料理に、どれだけ真っ直ぐ向き合えるか。その覚悟をそのまま店名にしてしまった店がある。2025年2月に誕生した『創作麺 ひとすじ』。ラーメン一筋、その言葉通りの姿勢を掲げる一軒だ。店内はカウンター6席のみのコンパクトな空間。だがオープン直後から行列が生まれ、気づけば人気店の仲間入り。小さな店に集まる大きな期待。その理由は一杯の完成度にある。 「特上中華そば」 まず目に入るのは、その整ったシルエット。丼の表面に美しく並ぶチャーシューの淡いピンク、そして存在感のあるワンタン。中央にまとめられた青葱とメンマ。トッピングの配置が実に端正で、まるで一つの構図のように完成されている。ラーメンは豪快さが魅力になることも多いが、この一杯は、美しさが際立つ。 スープを一口。微乳化したスープは舌当たりがまろやか。動物系の旨味と脂が穏やかに溶け合い、醤油の輪郭を丸く包み込む。コクはしっかりとあるのに後味は軽い。レンゲを重ねるほどに旨味の層が見えてくる設計で、気がつけばもう一口、もう一口と手が伸びる。麺は細めのストレート。いわゆるパツン系の歯切れの良さ。噛んだ瞬間に小麦の香りが立ち、スープを軽やかに引き上げる。スープの丸みと麺のキレ。その対比が、この一杯のリズムを作っている。 そして印象に残るのは接客の良さ。行列店になればなるほど店の空気は慌ただしくなるものだが、この店にはそれがない。カウンター6席という距離感の中で、一杯一杯を丁寧に送り出している。『創作麺 ひとすじ』。ラーメン一筋という名前がよく似合う一軒だ。行列の理由は、この一杯にある。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
@mitomi_emon
5 days ago
三河・西尾の郊外に構える『讃州手打ちうどん 我龍』。前身「我流」から2019年に服部光人氏が権利を引き継ぎ、「我龍」として再始動。その後一度閉店を経て、2025年末のリニューアルで再び暖簾を掲げる。モダンな外観にロングカウンター、オープンキッチン越しに職人の所作がそのまま伝わる設計へと生まれ変わった。その所作を追っているだけで、ただの一杯では終わらないことがわかる。 注文は「我龍三天ぶっかけ(冷)」。まずは天ぷらの迫力に目を奪われるが、ひと口で主役が入れ替わる。うどんだ。ぐいっと伸びるしなやかさに、噛み返すと芯のあるコシ。硬さではなく伸びと弾力で魅せるタイプで、小麦の甘みがじわりと広がる。そこに重なる出汁は香り主体で柔らかく、輪郭をぼかさずに全体を包み込む設計。このバランスが実に見事。 丼を覆うように並ぶ「鶏天」と「牛蒡天」は、そのボリュームだけでも十分に圧巻。視覚的な満足感はかなりのものだが、それでも食べ進めるうちに意識は自然とうどんへと引き戻されていく。この状況でなお主役であり続けるうどん、その引力の強さが際立つ。 途中で味変に手を伸ばすと、優しい出汁の世界観が一気に塗り替わる。XO醤を思わせるような唐辛子系のオイル、「入れたら最後」と書かれたシールの通り、その一滴で一気にジャンキーな方向へ引き込まれる。わかっていても止められない、この中毒性も含めて一杯が成立しているのが面白い。 店主の独特なテンションと、その動きに宿るリズム。どこか掴みきれない距離感も含めて、カウンター越しに見ていて飽きない。そんな空気の中でも、うどんのクオリティは群を抜いている。食べ終えたあと、自然ともう一口を求めている自分に気づくはずだ。わざわざ足を運ぶ理由が、しっかりと丼の中に詰まっている。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
@mitomi_emon
6 days ago
名駅に構える『Bar Neat 名駅店』。栄にある本格派バー『Bar Neat』の姉妹店であり、その重厚な世界観を継承しながらも、より間口を広げる役割を担った一軒だ。本店がウイスキーと静かに向き合う“深度”の店だとすれば、こちらはその入口として機能する存在。本格性はそのままに、距離だけを縮める設計がなされている。 その本店のエッセンスを最も色濃く感じるのがウイスキーのラインナップ。この日は「バランタイン17年」のオールドボトル、いわゆる“特級表記”の一本。1980年代以前の流通品で、現行とは設計の異なる時代のブレンドだ。ウイスキーの年数表記は最も若い原酒の熟成年数を指すが、この一杯は17年という下限を感じさせない一体感がある。蜂蜜のような甘やかさ、オークの包容力、そして角の取れた余韻。“時間を飲む”という感覚が自然と浮かぶ。そこに合わせるのが「3種のジャーキー」。ビーフ、ポーク、チキンと並ぶが、スモークのニュアンスがそれぞれに異なり、特にビーフの凝縮した旨味がウイスキーとしっかり噛み合う。酒と食が同じ方向を向いたときの説得力を、シンプルに体現する組み合わせだ。 一方でカクテルの完成度も高い。「モスコミュール」はジンジャーエールを使わず、発酵させた生姜で構成。炭酸の爽快感に頼らず、生姜そのものの辛味と酸、そして奥行きを引き出す設計で、口当たりはシャープながら後半にかけて丸みが広がる。クラシックに対する明確な解釈が見える一杯だ。さらに「キウイフルーツのフローズンダイキリ」。果実一個分を使ったフレッシュな仕上がりで、青さと甘さのバランスが絶妙。こうしたフルーツカクテルまできっちり仕上げてくるあたりに、この店の守備範囲の広さが表れている。 締めに選んだのは「トマトベーコンスパゲッティ」。濃厚なトマトの旨味にベーコンの脂が重なり、しっかりとした食べ応え。ここに「ブラッディーメアリー」を合わせることで、トマトの酸と旨味が共鳴し、食事とカクテルの境界が曖昧になる感覚が面白い。 本店と対になる存在として、この店はよく出来ている。ウイスキーで深さを担保しつつ、カクテルとフードで間口を広げる。その設計があるからこそ、バーへの一歩目としても、しっかり飲みたい夜にも成立する。入口でありながら、ちゃんと奥行きもある。実に使い勝手のいい一軒だ。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
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7 days ago
伊東の空気の中で、ピンと張り詰めるように佇む『一鰻』。黒を基調とした外観に、削ぎ落とされた意匠。店内に入れば、そこは無音に近いカウンターのみの世界で、耳に届くのは調理の音だけだ。一言で言えば“集中”。店主は寡黙で、視線と所作で語るタイプ。写真撮影の配慮、時間厳守、現金のみといったルールも、この緊張感ある空間を守るために機能を果たす。食べ手にも姿勢を求める店である。 この店の核は、執念のような下処理にある。小骨を一本一本抜き続けることで、口の中に一切のノイズを残さない。その上で、焼きと蒸しを組み合わせた火入れを施し、脂の旨味を最大限に引き出す。山椒を置かず、本山葵で食べさせるのも、鰻そのものの輪郭を際立たせるための選択だ。 まず「塩焼」。皿に並んだその姿はシンプルだが、一口で空気が変わる。雑味という概念が消え、白身魚のような透明感と、じんわりと広がる脂の甘みが共存する。噛むほどに旨味が染み出すが、重さは無い。ここで、この店の方向性がはっきりと提示される。 続いて主役の「うな丼」。蓋を開けた瞬間の艶やかな照り、香ばしい香りが一気に立ち上がる。箸を入れると、外側はザクッと軽やかな歯触り、内側はふわりと崩れて脂がとろける。皮目のバリッとした食感が全体を引き締め、単調さを感じさせない。タレは前に出過ぎず、あくまで脂の甘みを支える役割。気づけば無心でかき込んでいる。 脇を固める「肝吸い」は、透き通る出汁で口内をリセットし、「香の物」や「煮こごり」は食感と温度でリズムを作る。特に煮こごりは、鰻の旨味を別角度から提示する存在として面白い。 この徹底した骨抜きと引き算の味付け、そして寡黙な姿勢からは、鰻という食材に対する深い探究心が滲む。説明ではなく、体験で納得させるタイプの職人だ。ここは鰻を“食べる”場所ではなく、鰻と“向き合う”場所。ルールや空気感も含めて完成された体験であり、その一尾のために時間を使う価値がある。わざわざ行く理由が、しっかり存在する一軒。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
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8 days ago
錦糸町の街に構える『すみだ珈琲』。古い木造建築をそのまま活かした店内は、使い込まれた家具や床の質感まで含めてリアルな時間の積み重ねが残る空間だ。このあたりの街並み自体、どこか町人文化の延長にあるような空気を帯びている。そうした背景の中で提供される器にも、自然と意味が宿る。 甘味の軸はあくまでコーヒーにある。「コーヒーソフトクリーム&ゼリー」は、その性格を分解して再構築した一品。6時間抽出のコールドブリューをさらに凝縮したゼリーは、しっかりとした苦味とコクを持ちながらも後味はクリア。その上に重なるモカソフトは、ミルクの甘さの中にコーヒーの香りをきちんと残し、単なるデザートに寄せていない。ロースト胡桃の香ばしさが入り、甘味・苦味・香ばしさの三点で構成されている。 そして「ハニージンジャーレモネード」。広島県産レモンを皮ごと使い、すりおろし生姜と蜂蜜を合わせた一杯。これがオリジナルの江戸切子で提供されることで、印象が一段変わる。光を受けて揺れる液体の表情がまず目に入り、そこから口に運ぶと、生姜の熱がしっかりと立ち上がる。レモンの酸味は輪郭がくっきりしていて、蜂蜜の甘さは後半に回る設計。 『すみだ珈琲』は、味そのものに加えて、どう見えてどう感じるかまで含めて設計された喫茶店。コーヒーや一杯のドリンクを通して、街と文化の輪郭まで浮かび上がってくる。ご馳走様でした。 •
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ミトミえもん
@mitomi_emon
9 days ago
新富町の地下に暖簾を掲げる『PRIMO PASSO』。イタリア語で“最初の一歩”を意味するこの名とは裏腹に、店はすでに確固たる人気を築いている。予約は常に先まで埋まり、ミシュランの星も獲得。地下へと続く階段を降りると、そこにはカウンター中心の凛とした空間が広がる。 料理全体の印象は、構成の大胆さにある。パスタが続くという単純な嬉しさがまずある一方で、炭水化物が重なる危うさも同時に孕む。だが冷製と温製、厚みや食感、ソースの濃度を巧みに変化させることで、重さではなく多様性が前に出る。いわばパスタの美味しい側面だけを連続させる設計だ。 個性は味付けの方向性にある。蛤や昆布の出汁で旨味を広げ、柑橘やビネガーで輪郭を引く。イタリアの骨格を保ちながら、着地点は日本人の味覚へ。立体的で奥行きのある味わいが、その挑戦的な構成をしっかり支えている。 「北寄貝 白アスパラガス 蕗の薹」 浅利出汁を効かせた茶碗蒸し仕立て。白アスパラガスのピュレを泡立てたエスプーマの下から、北寄貝の甘みが立ち上がる。スナップエンドウの青さにバジルの香りが重なり、そこへ蕗の薹のほろ苦い香りがふわりと抜ける。 「揚げピザ 生ハム 柿」 ドーナツのように丸く揚げた生地の中には、リコッタ、スカルモッツァ、パルミジャーノの三種のチーズ。外はさくり、中はもっちり。そこへフランス産の生ハムをふわりと重ね、柿のペーストで甘みを添える。塩気、乳のコク、果実の柔らかな甘み。ベルケルで削られる生ハムのライブ感も含めて、この店らしい高揚感を生む定番の一皿だ。 「カッペリーニ アオリイカ 菜の花」 パスタの一皿目を担う冷製。蛤と昆布の出汁で締めたカッペリーニに、ねっとりと甘いアオリイカ。菜の花のほろ苦さ、唐墨の塩気が重なり、仕上げに酢橘の皮と果汁がすっと抜ける。 「リングイネ トマト」 この店のスペシャリテ。使うのはトマト、バジル、オリーブオイルのみ。装飾は削ぎ落とされ、平打ちのリングイネに赤と黄色のトマトの旨味を凝縮したソースが絡む。ひと口目はあくまでシンプル。しかし咀嚼とともに甘味と酸味の均衡が立ち上がる。誤魔化しの効かない一皿。 「ニョッキ 紅はるか 黒トリュフ」 紅はるかの甘みを前面に出したニョッキを、バターでまとめる。ねっとりとした質感に半熟卵のコクが絡み、さらに豚肉の赤ワイン煮込みが加わることで一気に重心が下がる。仕上げはイタリア産の黒トリュフ。土の香りが全体を覆い、香りの密度を高める。 「カプチーノ」 コーヒータイムかと思いきや、正体はパスタ。カップを覆うきめ細かな泡の下に潜むのはタリオリーニとホタルイカ。泡をすくうと、ホタルイカの旨味をまとったタリオリーニが現れる。視覚はカフェ、味覚は完全にイタリアン。遊び心のある仕立てだが、味は真面目。 パスタを主役に据えるという発想自体が、やはり挑戦的だ。だがその挑戦は誇張ではなく、静かな覚悟に近い。和の感性を織り込みながら、あくまでイタリア料理として成立させる。そのバランスは決して易しくない。それでも一皿ごとに輪郭は明確で、全体は滑らかにつながる。攻めているのに、破綻しない。そこにこの店の強さがある。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
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10 days ago
東京・下丸子の住宅街に、ラーメン好きの巡礼地になりつつある一軒がある。間借り営業を経て、2024年に実店舗としてオープンした『奈つやの中華そば』。店名の「奈つや」は、奥様・奈津子さんの「奈つ」と、店主の修行先『びぎ屋』の「や」を組み合わせたもの。修行先への敬意と、家族の名前。その両方を大切にする姿勢が、この屋号に表れている。実際に店に立つ二人の接客もとても気持ちよく、人柄の良さがそのまま店の空気を作っているようだ。ちなみに、人気店ゆえ、現在は予約制を採用。朝7:28に予約サイトがオープンする仕組みだ。ちなみにこの時間は「なつや」に掛けたもの。そんな遊び心にも、この店の人柄が表れている。 いただいたのは「もちもち雲呑中華そば」。丼に顔を近づけると魚介の香りがふわりと立ち上がる。ファーストアタックで感じるのは煮干しの鮮烈な旨味。厳選された煮干しを贅沢に使いながら、エグみや苦味は見事に抑え込まれている。そこに鰹節や鯖節などの節系が重なり、香りに奥行きを生む構造だ。さらにその下から支えるのが鶏ガラと豚ガラの動物系出汁。魚介の輪郭を際立たせながら、味わいにはしっかりとしたコクが宿る。醤油ダレは芳醇でキレがありながら角が立たず、出汁の甘みをきれいに引き立てる。表面の香味油が熱を閉じ込め、最後まで煮干しの香りを鼻へと運んでくれる。 麺は菅野製麺所による全粒粉入りのストレート細麺。啜った瞬間に「パツン」と心地よく歯切れる食感で、スープの旨味をしっかりと持ち上げるど真ん中の設計。そしてこの店の代名詞ともいえるのが雲呑。岩手県産の希少なもち性小麦「もち姫」を100%使った皮は、一般的なつるりとした雲呑とは別物。まるで餅のような弾力を持つ“むっちり”とした食感が特徴だ。中には生姜の効いた肉餡。噛むたびに肉の旨味が広がり、生姜の清涼感がスープの旨味をきれいに引き締める。 気になった「茶碗カレー」も注文。ご実家の洋食店から受け継いだレシピで作る欧風カレーで、コクのある味わいが特徴。 鮮烈な魚介の香り、深いコク、そして餅のような雲呑。しっかりとしたインパクトがありながら、どこか優しさも感じさせる一杯だ。修行先で培った醤油ラーメンの技術を土台にしながら、「もち姫」の雲呑という個性を重ねた構成。その完成度は、わざわざ下丸子まで足を運ぶ理由として十分すぎる。少しハードルはあるが、それでも食べたいと思わせるラーメン。ご馳走様でした。 •
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ミトミえもん
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11 days ago
日光の住宅地に店を構える『とんかつ あづま』。1978年創業、約半世紀にわたって暖簾を掲げ続けてきた一軒だ。使用する豚は和豚もちぶたに統一されており、素材の段階で方向性は明確。卓上にはウスターソース、中濃ソース、醤油、オリジナルソース、塩が並び、味付けの選択肢を複数用意しているのも特徴だ。 ロースカツ(特上)」 断面にしっかりと脂の層を確認でき、特上らしく厚みはかなりしっかりめ。加熱によって透明感を帯びた脂が全体に回る。衣は細かく、揚げ色はやや濃いめ。噛んだ瞬間に衣の軽い破裂音、その直後に脂の甘みが広がる。厚みがある分、中心までの火入れも安定していて、噛み進めるごとに脂の存在感が増していく。ソースを使えばコクが乗り、塩なら脂の甘みがより前に出る。 「ヒレカツ」 中心はしっとりと火が入り、噛み切る際の抵抗は少ない。ロースの後に食べると軽く感じられて、自然と箸が進む。肉の密度をシンプルに味わえる仕上がりだ。 ロースは厚みのあるカットで脂の存在感が強く、食べ応えの軸になる。一方でヒレは軽く食べられて、自然と箸が進む仕上がり。それぞれの特徴ははっきりしていて、調味料によって味の印象も変えられる。食べ終わる頃にはしっかり満足感が残る、そんな安定感のある一軒だ。ご馳走様です。
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ミトミえもん
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12 days ago
日光の清涼な空気に溶け込む老舗氷菓店『松月氷室』。創業は明治二十七年、天然氷文化のど真ん中を歩んできた歴史を持つ一軒で、店名にある“氷室”とは氷を貯蔵する場所を意味し、その言葉通り氷そのものへの矜持が核にある。日光の冬に作られる天然氷をじっくりと寝かせ、長い時間をかけて磨き上げられた氷を、年間を通して最良の状態で提供するという時間軸の長い仕事。主役はあくまで氷。その純度が高いからこそ、ひと口で違いが伝わる。 削りは驚くほど繊細で、スプーンを入れた瞬間に空気を含んだように崩れる。舌に乗せれば抵抗なく溶け、冷たさの角が丸い。これは急速冷凍の氷では絶対に出ない質感で、天然氷ならではの結晶の美しさがそのまま食感に現れている。 「生いちごプレミアム」は、果肉感たっぷりの苺ソースが氷の隙間にじわりと染み込み、トップのミルクが全体をまろやかにまとめる。見た目の赤と白のコントラストから期待する通りの味わいだが、口溶けの良さがそれを一段上に引き上げる。「ブルーハワイ」は視覚的な清涼感が先行するが、実際に食べるとすっと引く甘さと氷の軽やかさで、後味のキレがいい。 天然氷という文化を体験する入口として、これ以上ないわかりやすさと完成度。観光地の一軒に留まらず、“氷とは何か”を体で理解させてくれる場所。この一杯のために足を運ぶ理由は十分にある。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
@mitomi_emon
13 days ago
鹿児島・川内の繁華街に店を構える『のざき』。夜はきっとスナックや飲み屋で賑わうのだろう。昼に歩くと、人通りはまばらで、どこか少し時間が止まったような空気が漂う。年季の入った建物が、その街の歴史をそのまま背負っているようだ。その一角で、牛と向き合う料理が続いている。父親の会社で牛を育てる家に生まれ、自らも牛と向き合ってきた店主。13年の研鑽を経て辿り着いたのは、生産から皿の上までを一本で繋ぐ肉料理の世界。 牛が主役であることは揺るがないが、その表現方法に奥行きがある。店主は寿司の世界での経験も持ち、その感覚が随所に息づいている。塩で水分を抜く、出汁で伸ばす、旨味を重ねる——肉を魚のように捉える思考だ。脂で押し切るのではなく、温度と水分で質感を整え、タレで輪郭を描く。その繊細な仕事が、赤身の純度を一段と引き上げる。 続いて「ヒレのトゥルネド」。ヒレ中央部を厚切りにした王道のカットだが、仕事は実に繊細だ。塩を振って水分を抜き、出汁醤油は甘みが立ちすぎないよう昆布出汁で伸ばす。魚を扱うような発想で赤身を整える。外周にだけ入れた焼き目、中心は均一なロゼ。噛んだ瞬間に繊維がすっとほどけ、旨味だけが澄んで残る。赤身の純度を提示する一皿だ。 次に現れるのが「しゃぶしゃぶ」。1ヶ月熟成させ出汁を含ませた海老芋とともに、牛をさっとくぐらせる構成だ。牛の旨味が出汁へ溶け、その出汁をまとった海老芋に再び旨味が重なる。ねっとりとした質感の中に牛のコクが入り込み、結果として海老芋も主役級の存在感を放つ。肉と野菜が対等にせめぎ合いながら、ひとつの味へと収束していく一皿だ。 次は「牛カツ」。使うのはサーロインのテート(ラン尻側)。赤身主体の部位を高温でさっと揚げ、断面は鮮やかなロゼ。サクッと軽い衣のあとに、赤身の旨味が広がる。合わせるのは有機バルサミコと鹿児島の醤油。鹿児島ではタレをべったりとつける文化があると説明を受け、その通りにたっぷりとまとわせる。このタレが抜群にうまい。酸味も甘みも前に出過ぎず、気づけば旨味だけが立ち上がる。 続いて「すき焼き」。新玉ねぎと合わせるのは、ビブロース寄りのサーロイン。サーロインの中でも脂のニュアンスが豊かなゾーンを選び、伸びやかで上品なコクを引き出す。割下が肉の輪郭をなぞり、新玉ねぎの水分と甘みが溶け込むことで全体がやわらかくまとまる。卵をまとわせればコクは深まるが、甘さが前に出過ぎることはない 続いて食事は「豆こぞうの土鍋ご飯」。指宿の豆こぞうを使い、豆の出汁で炊き上げた土鍋ご飯の中には、ヒレとサーロインの端肉で仕立てた肉味噌が忍ばせてある。蓋を開け、混ぜ込むことで牛の旨味が米全体へと行き渡る。豆のやわらかな甘みと肉味噌のコクが重なり、噛むほどに味がほどけていく。 そして肉の最後は王様「シャトーブリアン」のステーキ。淡雪塩のみで食べさせる潔さ。外側には香ばしい焼き目をまとわせ、中心は均一で艶やかなロゼ。ナイフを入れると、しっかりとした存在感が伝わる。噛めばきめ細かな繊維が力強くほどけ、赤身の甘みがじわりと広がる。コースの締めにふさわしい、火入れの精度と素材への信頼が凝縮された一皿だ。 そして締めは「ラーメン」。澄んだスープは牛の余韻を引き継ぎながらも、驚くほど軽やかだ。細めの麺がするりと喉を抜け、出汁の旨味だけを静かに残す。ここでも重さはない。コースの終盤でありながら、胃袋を圧迫することなく、むしろ整えてくれる一杯だ。牛を食べ続けた後に、この透明感。 そして最後はアイス。並ぶのはどこか見覚えのある市販のアイスたち。その中から選ぶスタイルだ。肩の力がふっと抜ける。緻密に組み立てられた肉のコースのあとに、この遊び心。甘さが口の中をリセットし、食後の時間を柔らかく締めくくる。 牛を育てる現場を知り、寿司で培った整える技術を武器にする料理人。その背景があるからこそ、『のざき』の肉料理は脂や派手さに頼らない。塩、水分、温度、出汁、タレ。その一つひとつを丁寧に積み重ね、牛という素材を立体的に描いていく。川内の街の空気の中で味わう牛の物語。ここには確かな個性と完成度がある。きっと、またこの牛を食べに来たくなるだろう。ご馳走様でした。 •
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@mitomi_emon
14 days ago
洗足の駅前にしっかりと根を張る実力派『ピッツェリア ダ グランツァ 洗足本店』。2012年創業、国内大会優勝を皮切りに一気に名を押し上げたピッツェリアであり、店名の「GRANZA」は“偉大さ”を想起させるニュアンスを持つ。ただし、その偉大さを誇示するのではなく、軽やかに仕立てる。このナポリの街角を思わせるような空気感に、この店の魅力が詰まっている 休日のランチ、選んだのは「PranzoB」。予約を押さえるにはこのコースが前提になることもあり、この店ではひとつの正解だろう。行列を横目にスムーズに席へ滑り込む安心感も含めて、その価値はしっかりある。コース仕立てで流れに身を委ねるのもまた、この店の実力を知る近道だ。 まずは前菜。ボリュームのあるサラダを軸に、「ゼッポリーニ」「生ハム」「フリッタータ」が一皿に盛り込まれた贅沢な構成。野菜のフレッシュさと軽やかな酸味が心地よい立ち上がりを作り、揚げ物がリズムを生み、生ハムの塩気と脂が全体を引き締める。卵料理のコクも加わり、一皿の中で役割がきちんと分かれた設計。コースの導入として満足度が高い。 ここから主役へ。「STG」は、いわば磨き抜かれたマルゲリータ。水牛モッツァレラの濃密なミルク感が舌に絡み、トマトの酸味が輪郭を整え、生地の香ばしさが全体を締める。全粒粉入りの熟成生地は外側がパリッと、中はもっちり、小麦の甘みがじわりと広がる設計。完成度の高さは疑いようがない。 続く「カンピオーネ」。本ズワイ蟹の旨味を主軸に、エビオイルで香りを重ね、仕上げに醤油というユニークな一手。チーズを使わないマリナーラベースながら、むしろダイレクトに素材の旨味が押し寄せる構成。ナポリの文脈に日本のエッセンスを掛け合わせた大胆さと、それを成立させる技術。ここにこの店の攻めがある。 そしてパスタは「ペスカトーレ」。ムール貝、浅利、海老、イカといった魚介の旨味をトマトソースにしっかり溶け込ませ、見た目の豪快さに対して味わいは実に整理されている。魚介の旨味が綺麗にまとまり、後味に心地よい余韻を残す仕上がり。トマトの美味しさにしっかりと軸足があり、さすがピッツェリアと思わせる完成度だ。 竿技はデザートで締めて、コースとしての流れも綺麗に完結。濃厚なカカオのコクと軽やかなクリームの対比が、食後の満足感をさらに引き上げる。 シェフのキャリアは数々の大会実績が物語るが、そのエッセンスを気負わず楽しめるのがこの店の良さだ。アワードレベルの一枚をこの距離感で味わえる価値は大きい。ローカル駅前にありながら、わざわざ足を運ぶ理由がある一軒。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
@mitomi_emon
16 days ago
北青山に暖簾を掲げる『鮨 将司』。2020年のオープンからわずか1年でミシュラン一つ星を獲得し、その後も星を守り続ける実力店だ。一言で表すなら、積み上げた技術で魅せる鮨。店主・山口将司氏は、リッツ・カールトン東京や「すきやばし次郎」の系譜を継ぐ「鮨 ます田」で研鑽を積んだ王道の職人で、そのキャリアがそのままカウンターに表れる。仕事の精度で納得させるスタイルに加え、大将の雰囲気や所作の美しさも含めて、完成度の高い一軒である。 内装のクオリティも高く、凛とした空気を保ちながらも居心地の良さを両立。器の選定にも抜かりがなく、一皿ごとに世界観を補強する。さらにソムリエがしっかりと介在し、日本酒やワインの提案で食体験を底上げ。鮨屋という枠を越えた「レストラン」として総合力を持つ。 導入は店のシグネチャーである「雲丹と鮪とろの手巻き」。濃厚な雲丹と鮪のすき身の脂に対して、中にしのばせた奈良漬の発酵由来の香りとコリっとした食感が差し込まれ、味わいに立体感を生む。単なる贅沢に終わらず、構成で食べさせる完成度の高い一品だ。 ここで印象を大きく引き上げたのが「鮪のすき焼き」。鮪のとろをすき焼き仕立てにするという発想もさることながら、火入れによって引き出された脂の甘みと、割り下のコクが見事に重なり合う。さらに奥久慈の卵を絡めることで、味わいは一気にまろやかさと奥行きを増す。単体ではやや濃厚に振れているが、最後にシャリを落とすことで一気にバランスが整い、余韻まで含めて完成する設計。 握りではシャリの硬さが心地よく、この粒立ちが全体の輪郭を引き締める。「烏賊」は包丁の仕事で甘みを最大化し、「春子鯛」は繊細な締めで旨味を引き出す。「牡丹海老」は煎り酒のニュアンスで甘味を引き立て、「鳥貝」は香りの高さが際立つ。「茶碗蒸し(白魚 筍)」で季節感を挟み、「赤身漬け」「中トロ」「大トロ」と王道を丁寧に積み上げ、「小肌」で仕事の精度を見せる。「車海老」は火入れの妙、「穴子」はふわりとほどけて余韻を残す。 全体を通して感じるのは、やはり基礎力の高さと安定感。その上で、構成の中にさりげなく個性を差し込むバランス感覚が光る。料理、空間、サービスが高い水準でまとまり、安心して身を委ねられるカウンターがここにある。北青山で、間違いのない鮨を食べたい時に思い出す一軒。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
@mitomi_emon
17 days ago
まだ新しいお店ながら、店外には長い列。錦糸町の住宅街にぽつりと現れる『中華料理 徳武』、その光景だけで只者じゃないことは伝わってくる。ルーツは、かつてこの街で名を馳せた「大三元」。27年ものあいだ厨房を支え続けた料理人が、自らの名を掲げて立ち上げた一軒だ。長年培ってきた味と技術を、そのまま地続きで感じさせる。その蓄積こそが、いま目の前の行列に直結している。 名物の「汁なしラージャン麺」は、その実力を最も端的に伝える一皿。細麺ながらしっかりとしたコシを持ち、濃厚なタレをまとって艶やかな褐色に染まる。肉味噌、ニラ、ネギ、そして山のように盛られたカイワレ。シンプルな構成ながら視覚的なインパクトも十分だ。一口啜れば、まず押し寄せるのは“麻”。辣よりも先に痺れが走り、舌をじわじわと支配する。そのあとに肉味噌の甘みとコクが重なり、味の輪郭が一気に立ち上がる。カイワレの青い辛味が全体を引き締め、最後まで飽きさせない構造。こういうのには抗えない。 「雲丹のせあんかけチャーハン」も印象に残る。餡をまとったチャーハンの上に雲丹が乗るビジュアルは目を引くが、実際に強く残るのは海苔のニュアンスだ。香ばしさと旨味が全体を支配し、その延長線上に雲丹のコクが重なっていく構造。米は餡としっかり一体化していて、口当たりはなめらかに流れていく。そこに海苔の風味が芯を作り、雲丹が厚みを補強する。 徳武シェフは「大三元」で料理長として長年味を担ってきた人物。その経験は、料理の随所に自然と滲み出ている。奇を衒うことなく、積み上げてきた技術でしっかりと成立させる、その安定感がそのまま店の信頼に繋がっている。新店でありながら、すでに街に根付き始めているのも納得だ。長く愛されてきた錦糸町の定番が、また始まっていた。ご馳走様です。
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ミトミえもん
@mitomi_emon
18 days ago
福島市・新町エリアに店を構える『自家製麺 うろた』。2015年創業、福島ラーメン界を語るうえで欠かせない名店「自家製麺えなみ」の系譜に連なる一軒で、同ブランドの3号店として誕生した店だ。もっとも、単なる支店というよりは、えなみの技術を土台にしながら少し自由な発想を重ねたような存在。店内はアメリカンヴィンテージ調で、木の温もりを感じる落ち着いた空間。従来のラーメン店のイメージとは少し違う雰囲気で、ラーメンを肩肘張らず楽しめる空気感がある。 看板メニューは「醤油の純鶏そば」。まず目を引くのは、透明感のある琥珀色のスープ。阿波尾鶏、川俣シャモ、会津地鶏という三種の地鶏を使い、水と鶏、そして生醤油で組み立てられる。構成はとてもシンプルだが、味わいにはしっかりと奥行きがある。レンゲを口に運べば、雑味のない鶏の旨味がすっと広がり、生醤油のコクとキレが味の輪郭を整える。鶏油がその間をなめらかに繋ぎ、後味には澄んだ余韻が残る。余計な要素を重ねず、鶏の旨味を真っ直ぐに届ける設計。まさに“純”という言葉がしっくりくるスープだ。 麺は自家製の細ストレート。箸で持ち上げれば、すっと揃う細い麺線が美しく、口に入れた瞬間に“パツン”と歯切れる軽快な食感。細麺ならではの軽やかな啜り心地で、鶏の旨味をまとったスープをするりと引き上げる。小麦の香りもほんのりと広がり、透明感のあるスープとよく呼応する仕上がりだ。具材には、チャーシューの香ばしさ、穂先メンマの柔らかな食感や海苔の香り、三つ葉の清涼感も加わり、食べ進めても単調さを感じさせない。 福島のラーメン文化を支える系譜らしく、麺、スープ、具材の設計がきれいに整った一杯。出汁、醤油、脂、麺、それぞれが過不足なく重なり、食べ進めるほどに全体のバランスが見えてくる。福島のラーメンシーンの層の厚さを感じさせながら、その中でもしっかりと存在感を示すラーメン。ご馳走様でした。 •
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ミトミえもん
@mitomi_emon
19 days ago
高円寺の町焼肉。その文脈の中で、頭ひとつ抜けた存在が『高円寺 焼肉ここち 本店』だ。2024年創業。だが勢いはすでに本格派。店主の木村舜徹氏は、国分寺の老舗焼肉店「焼肉 山水」で12年修行。祖母は市場でキムチ店、父は韓国料理店、兄は焼肉店と、三世代の韓国や焼肉のルーツを持つ。町焼肉の血筋と老舗仕込みの技術。その掛け算が、この店の現在地だ。あっという間に人気店へと駆け上がったのも納得である。 基本は「おまかせコース」 まずは「キムチ盛り合わせ」と「ナムル盛り合わせ」。祖母が市場で営んでいたキムチ店。その背景を思わせる発酵の深みがある。酸味は素直に立ち、胡麻の香りと青菜の食感が心地よい。焼きへ向かう準備としてちょうどいい。続く「ユッケ」。赤身の鮮度が伝わる。ねっとりとした舌触りに、甘さを抑えたタレ。卵黄を崩すとまろやかにまとまる。添えられた韓国海苔で巻けば、磯の香りが加わり、旨味が引き締まる。 「海老刺し」。焼肉屋で海鮮を出すのはやはり意外性がある。だが浮かない。韓国料理の文脈の延長にある一皿だからだ。甘みの強い海老で舌を整えつつ、殻と尻尾は焼いて食べる。炭火で香ばしさをまとわせることで、自然と“焼き”へ接続する。珍しさで終わらせず、きちんと焼肉に回収する構成がいい。 いよいよ焼きへ。 全体を通して、肉の輪郭がはっきりしている。炭火の香ばしさを軸に、脂、赤身、ホルモンと展開する構成。老舗で積んだ時間が、そのまま焼きの精度に出ている。肉質のブレも少ない。京成立石の名店「幸泉」とも親交を持つなど、実力店と繋がる仕入れの地力があるからこその完成度だろう。町焼肉の価格帯にいながら、確実に一段上の仕上がり。 「タン」軽い熟成のニュアンス。焼き目が入った瞬間に香りが立ち、噛むと旨味がじわりと広がる。 「カルビ」脂の甘さが主役。炭火で弾けた肉汁とタレが絡み、王道の力強さを見せる。 「ロース」赤身のじっくりとした旨味があり、レアめで仕上げることで肉の輪郭がくっきり立ち上がる。 「イチボ(千日和牛)」きめ細かなサシとしっとりとした火入れ。脂は軽やかで後味が澄む。この一皿に完成度が宿る。 「ハラミ(塩・黒毛和牛)」厚みがあり弾力が心地よい。塩で旨味を立たせる直球勝負。 「ギアラ」脂の甘さとコリコリ感が共存。噛むほどに旨味が滲む。 「上ミノ」シャクッとした歯切れの良さ。火を入れることで甘みが立ち、食感のコントラストを作る。 「ホルモン」大胆なカットで食感に厚みを持たせ、味噌ダレが脂の甘さを引き上げる。ぷるんと弾ける脂に炭火の香ばしさが重なる。 「レバー」角が立ち、火を入れても滑らか。下処理の丁寧さがそのまま味に出る。 「ツラミ」追加。、薄切りながら味は濃く、ネギをのせれば香りと辛味が立ち、噛むほどに滋味が深まる。 締めは「テグタンスープ」。牛骨の出汁に唐辛子の辛味、溶き卵のまろやかさが重なり、ここまでの脂をきれいに整える。辛さはあるが角は立たない。焼肉の余韻を受け止める一杯だ。そして最後はアイスでクールダウン。濃厚な肉の記憶をリセットする。 町焼肉の空気感をまといながら、その完成度は確実に一段上。三世代のルーツと老舗仕込みの技術が、いま高円寺で花開いている。派手な演出ではなく、肉の質と焼きの精度で評価を積み上げる一軒。だからこそ、あっという間に人気店へと駆け上がったのだろう。高円寺で焼肉を語るなら、いや、今後の東京の焼肉シーンで絶対外せない存在だ。ご馳走様でした。
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ミトミえもん
@mitomi_emon
20 days ago
舞台は池袋の喧騒から一歩外れた、要町の住宅街。夜になると赤い暖簾がぼんやりと浮かび上がる『龍栄』は、1982年創業、夫婦で鍋を振り続けてきた町中華。店内に入れば、鍋を振るうたびにガンガンと音が響き渡り、そのリズムがそのままこの店の日常を物語る。長年連れ添った二人の呼吸が厨房を支配し、中毒性のあるアレを作り続けている。 名物・ローヒーチャーハンって何だ!? その“アレ”の正体は、中華圏の言葉「肉燴(ロウフェイ)」にある。肉を細かく刻み、とろみのある餡に仕立てて料理にかける技法、いわば肉あんかけ。その概念を炒飯にぶつけたのが「ローヒーチャーハン」だ。しっとりと油を抱えた炒飯の上に、細かく刻んだ豚肉の餡をたっぷりとかけ、米と餡が境界を失うように一体化する。パラパラとは別軸の完成度、むしろこの密度こそがこの料理の本質だ。 味付けは濃いめでジャンク寄り。それでもレンゲを入れる手が止まらないのは、餡のコクと脂の甘みが一気に押し寄せ、後から醤油の余韻がじわりと追いかけてくるから。合間に挟む「スープ」がまたいい。シンプルな中華スープが口の中を一度フラットに戻し、もう一口を自然に呼び込む。 ローヒーチャーハンとは、肉燴の技法を炒飯に重ねた一皿。濃いめの味付けと一体感のある仕上がりで、気づけばレンゲが止まらなくなる。中毒性を持った、シンプルな料理だった。ご馳走様です。
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