【「何かいつもと違う」から始まる対話】
「うまく説明できないけれど、今日はいつもと違う」
こどもと日々接していると、そんな小さな変化に気づくことがあります。
医療では、こうした感覚は単なる「勘」なのでしょうか。
成人の急性期病棟を対象としたシステマティックレビューでは、看護師が患者さんの状態悪化を心配するきっかけとして、呼吸や循環の変化だけでなく、行動の変化、予想と異なる経過、表情や視線などの微妙な変化が報告されています。[1]
また、「何かがおかしい」という看護師の懸念は、バイタルサインが変化する前にも認められていました。[1]
小児を対象としたスコーピングレビューでも、色調や痛みだけでなく、遊びや人との関わり方などの行動の変化、そして経験に基づく “gut feeling” が、状態悪化に気づく手がかりとして報告されています。[2]
一方で、何がgut feelingを生じさせるのかは、まだ十分に明らかになっていません。
最近の看護研究のレビューでは、clinical intuition(臨床的直観)は、経験やその場の状況を背景にした、速く、意識されにくく、言葉にしにくい認知過程として整理されています。[3]
だからこそ大切なのは、
「なんとなく」で判断を終えることでも、「根拠がない」と切り捨てることでもなく、対話すること。
「どんなところが違う?」
「いつから?」
「昨日まではどうだった?」
話していくうちに、
「今日は遊ばない」
「いつもより返事が少ない」
「食事はしているけれど様子が違う」
と、まだ言葉になっていなかった気づきが、少しずつ共有できる情報になることがあります。
児童精神科では、診察室だけでなく、生活の中で見えてくる姿も大切な臨床情報です。
「何かいつもと違う」という小さな気づきを持ち寄り、一緒に言葉にして考える。
多職種で働くうえで、そんな対話を大切にしたいと思います。
【参考文献】
1. Douw G, et al.
“Nurses’ worry or concern and early recognition of deteriorating patients on general wards in acute care hospitals: a systematic review.”
Critical Care. 2015;19:230.
PubMed: https://t.co/k07dKjN8gV
2. Jensen CS, et al.
“Signs and symptoms, apart from vital signs, that trigger nurses’ concerns about deteriorating conditions in hospitalized paediatric patients: A scoping review.”
Nursing Open. 2022;9:57–65.
PubMed: https://t.co/7dIwwPyxRv
3. Yang YC, et al.
“Clinical intuition and its measurement in nursing research: An integrative review.”
International Journal of Nursing Studies. 2026;179:105543.
PubMed: https://t.co/GdMv3nVNb9