【がん検診で死亡率はここまで下がる】
便潜血→大腸がん死亡 3割減
ピロリ除菌→胃がん 36%減・死亡 22%減
HPV検査→子宮頸がん死亡が1回で半減
マンモグラフィ→乳がん死亡 20%減
ピロリの除菌は、一生に一度のみ
人間ドックのメニューは山ほどありますが、その中でも安くて、手間が少なくて、病気で亡くなるのが減る検査だけを選びました。サクッと読み終わる文章なのでぜひお読みください
1. 便潜血検査 ―― ワンコインで、大腸がんの死亡が3割減る
便を2日ぶん採って出すだけです。自治体の検診なら無料から500円ほど。アメリカで4万人以上を30年追った試験では、毎年この検査を受けた人は大腸がんで亡くなる人が32%少なくなっていました(シャウカット2013)。もし陽性なら大腸カメラを受け、ポリープがあれば取ります。ここまでがセットです。便潜血だけ受けて、陽性なのにカメラに行かない人がいちばん損をします。
2. ピロリ菌の検査と除菌 ―― 1週間の薬で、一生ものの胃がん予防
胃がんの多くはピロリ菌が原因です。検査で陽性なら、薬を1週間飲んで除菌します。日本では胃カメラで胃炎を確認すれば保険がきき、3割負担で5千〜6千円ほどです。
約15万人をまとめた解析ではピロリを除菌した人は胃がんになる人が36%減少、胃がんで亡くなる人が22%減少しました(フォード2025)。除菌は一生で一回で済みます。
3. 子宮頸がん検診 ―― 1回のHPV検査で、死亡が半分近くに
女性向けです。自治体なら1,500円ほどで、無料クーポンが配られる年齢もあります。20歳からの細胞診に加えて、2024年からは30〜60歳にHPV検査を5年に1回受ける方式が導入され始めました。
インドの女性13万人のランダム化試験では、HPV検査をたった1回受けただけで、子宮頸がんで亡くなる人が半分近くに減っていました(サンカラナラヤナン2009)。同じ1回でも、従来の細胞診では死亡は有意に減りませんでした。検査の種類で、ここまで差が出ます。
もう一つ、検診より手前の話をひとつだけ。HPVワクチンです。スウェーデンで10〜30歳の女性167万人を国の登録データで追った研究では、17歳になる前に接種した人は浸潤子宮頸がんが約9割少なく、17〜30歳で接種した人でも約半分でした(レイ2020)。日本では小学6年から高校1年の女子は無料で受けられます。検診は「見つける」手段、ワクチンは「起きなくする」手段。両方そろって、この項目のコスパは最大になります。
4. マンモグラフィ ―― 乳がんの死亡が2割減る
こちらも女性向け。自治体では40歳以上が2年に1回、0〜2千円ほどです。11の比較試験を英国の独立委員会が集計した結果、検診に呼ばれた女性は乳がんで亡くなる人が20%少なくなっていました(マーモット2012)。
まとめ
便潜血(無料〜500円ほど):大腸がん死亡が3割減。陽性なら必ずカメラへ。
ピロリ検査→除菌(5〜6千円ほど):胃がん36%減、死亡22%減。一生で一回。
子宮頸がん検診(1,500円ほど):HPV検査1回で死亡が半分近くに。若いうちのワクチンとセットで。
マンモグラフィ(0〜2千円ほど):乳がん死亡20%減。
高い検査より、安くて証拠のある検査を、決まった間隔で。それがいちばんコスパのいい健診です。
参考にした論文
Shaukat A, et al. Long-term mortality after screening for colorectal cancer. N Engl J Med. 2013;369(12):1106-1114.
Ford AC, et al. Eradication Therapy to Prevent Gastric Cancer in Helicobacter pylori-Positive Individuals: Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials and Observational Studies. Gastroenterology. 2025;169(2):261-276.
Sankaranarayanan R, et al. HPV screening for cervical cancer in rural India. N Engl J Med. 2009;360(14):1385-1394.
Lei J, et al. HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical Cancer. N Engl J Med. 2020;383(14):1340-1348.
Independent UK Panel on Breast Cancer Screening. The benefits and harms of breast cancer screening: an independent review. Lancet. 2012;380(9855):1778-1786.
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