一体何が起こっているんだろう。タイムズ・オブ・イスラエルが「世界はハマスに最新のガザ提案受け入れを求めるが、ハマスはおそらく拒否か」という記事で、ハマスの指導者たちは「いかなる停戦も戦争の終結を保証しなければならないとこだわり続けている」として、「戦争の終結」がハマスの身勝手な要求であるかのように書いている。しかし、「戦争の終結」というのは1週間前にバイデン大統領が「イスラエルの提案」を発表した演説で語った言葉である。日本外務省も大統領演説を受けて「イスラエルが包括的な提案を提示した」と声明を出した。
G7首脳はバイデン米大統領が示したパレスチナ自治区ガザでの3段階の停戦案について、全面的に支持すると声明で発表し、提案は「ガザ地区での即時停戦、人質全員の解放、ガザ全域への人道支援の大幅かつ継続的な増加、危機の永続的な終結につながる」とし、「イスラエルの安全保障上の利益とガザの民間人の安全が保証される」とした。(ロイター)
ハマスだけではなく、米国も日本もG7首脳も、「戦争の終結」「包括提案」「危機の永続的な終結」と考えて「イスラエル提案」に支持を表明したはずだが、提案国であるはずのネタニヤフ首相が「イスラエルの条件とバイデン大統領の演説には溝がある」と言い、「ハマスを打倒するまで戦争は終わらない」と主張した。
ハマスがパレスチナ政治組織に停戦案を拒否する旨のメモを送ったとアラブメディア「シャルク」が報じ、メモの内容を紹介しているとタイムズ・オブ・イスラエルに出ている。私も「シャルク」のアラビア語の記事を確認した。ハマスのメモには、「イスラエルの提案はバイデン大統領演説とは根本的に異なる」と書いているという。カイロで開かれている停戦交渉で、イスラエルが提出した提案は「停戦は一時的で、イスラエル軍はガザに留まり、人質解放が終れば、また戦争を始める」という内容という。
そのメモの中でハマスは「バイデン大統領が演説した時、我々は彼がイスラエルの提案として語ったことを歓迎する声明を出した。なぜなら、恒久的な停戦やイスラエル軍のガザからの撤退、支援物資のガザへの搬入、避難民の帰還、再建、人質と政治犯の交換などを実現する合意に達成できる必要な要件が入っていたからである。しかし、イスラエルの提案が示された時、バイデン大統領の演説とは異なる明らかになった。それが混乱と議論を生んでいる。バイデン氏はイスラエル提案について個人的な解釈をしたということだろうか。またはイスラエルと口頭での合意があったということだろうか。または何か他の理由だろうか」と記しているという。ハマスにも何が起こったか分からないのだ。
そして、いま、内容が変わったことは触れずに、米国も、日本も、G7も、イスラエル案の受け入れをハマスに求めている、という構図になっている。
内容が変われば、ハマスは拒否するだろうが、イスラエルはハマスが停戦を拒否したとして、ラファやガザ全体への攻撃を激化する口実にするだろう。
この経緯を見て、この前の交渉で、エジプトがイスラエルと協議して停戦案を作った時のことを思い出す。その時は、エジプトがハマスに伝えた停戦案に、ハマスは「恒久的停戦」が含まれているいるとして受け入れを表明した。ところがイスラエルは自分たちが求めた停戦案とは異なると言って、エジプトが勝手に改ざんしたと非難した。
どうも、今回の話と似ているところがある。前回はエジプトはイスラエルからイスラエルが求める停戦案を知らされてハマスに「恒久的停戦」を伝えた。今回はバイデン大統領はイスラエルから停戦案について知らされ、「恒久的停戦」を世界に向けて演説した。仲介者のエジプトや米国が、イスラエルの意図を捻じ曲げて「恒久的停戦」をハマスに伝えたり、世界に向けて演説したりすることは考えにくい。
そこから推測できるのは、イスラエルはエジプトや米国という仲介者に故意に「恒久的停戦」をにおわすような話をして、停戦案に期待を持たせてハマスに受け入れさせ、実際の交渉で停戦案を示す時には、「恒久的停戦」は排除しているという可能性である。
結果的に、世界は、「イスラエル案」として恒久的停戦という空手形をつかまされ、「戦争終結」に期待を高めると、イスラエルは「自分たちの意図ではない」と逆切れして、ガザ攻撃を激化させるという構図である。どうも、それがイスラエルが描いているシナリオのように思える。
Times of Israel: As world urges Hamas to accept latest Gaza proposal, group signals likely rejection
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