自閉症の子をもつ親の87%が、出産直後からある毒素にさらされていた——この数字が示すのは、ワクチンでも遺伝子でもない「第三の因子」の存在だ。
2022年、CDCは子どもの自閉症有病率が36人に1人に達したと発表した。その原因をめぐっては、ワクチンや遺伝的要因に議論が集中してきた。しかし今、 まったく別の角度からこの問題に光を当てる研究群が静かに蓄積されている。鍵を握るのは「カビ」だ。
生物学者のクリスティーナ・パークス博士は、カビとそれが産生するマイコトキシン(カビ毒)について「免疫系、腸内細菌叢、ビタミンDの利用能力といった、身体の基幹システムに深刻な混乱を引き起こす」と指摘する。CHDの主席科学責任者ブライアン・フッカー博士は、カビへの曝露が「毒物学的臨界点」を超える引き金になりうるという「総負荷理論」を提唱する。複数の環境要因が積み重なり、神経炎症と神経変性を経て自閉症の発症に至るという考え方だ。
この仮説を裏付けるデータも出始めている。2017年にイタリアで行われた研究では、自閉症児172人と非自閉症児61人の尿中マイコトキシン濃度を比較し、自閉症児群で有意に高い数値を検出した。同時に、炎症を制御するサイトカインや小麦・グルテンへの抗体値も上昇していた。2021年に発表された11研究の系統的レビューでも、大半の研究がマイコトキシンと自閉症の「可能性のある関連」を報告している。
医師のクリスチャン・ボグナー博士は、自閉症児の最大90%が消化器症状を抱える事実に着目する。彼の臨床経験では、腸内で異常増殖した病原菌が毒素を産生し、腸管の透過性を亢進させる。本来なら排泄されるはずのカビ毒が、腸壁をすり抜けて血流に漏れ出す——これが「腸から脳へ」の経路だ。
ナチュロパシー医のリンジー・ウェルズはさらに踏み込み、カビが「免疫の慢性的活性化→神経炎症」「免疫機能の低下→感染症への感受性増大」「ミトコンドリア機能障害」といった複数の連鎖を同時に駆動する可能性を指摘する。ひとつの曝露が、まるでスイッチのように複数の病理経路を一斉にオンにする。
しかしここで視点を変える必要がある。同じ家に住み、同じ空気を吸っていても、全員が発症するわけではない。
「遺伝的プロファイルと感受性因子は人それぞれだ」とパークス博士は言う。同じカビ曝露が、ある子には自閉症スペクトラム症状を、別の子には自己免疫症状や食物過敏症を引き起こす。ボグナー博士は「遺伝的に毒素の解毒能力が低い子」が最も深刻な影響を受けると説明する。
つまりカビは「単独犯」ではない。遺伝的脆弱性という下地の上で、決定的な一押しをする「最後の一撃」に近い。
2024年の研究では、新生児の実に87%から少なくとも1種類のマイコトキシンが検出されており、曝露は胎児期から始まっていることが明らかになった。ウェルズは「赤ちゃんはすでに環境毒性の負荷を背負って生まれてくる」と警鐘を鳴らす。流産、死産、早産、低出生体重との関連も報告されている。
曝露源は水害を受けた住宅の壁だけではない。ボグナー博士は食品経由の曝露にも言及する。米国、インド、中国の穀物——小麦、トウモロコシ、大豆、アルファルファ——からは、ほぼ常にカビ毒が検出されるという。さらにグリホサート系除草剤が腸内細菌を破壊し、カビへの感受性を高める複合効果も指摘されている。
フッカー博士は、自宅のカビ汚染が原因で未接種の子どもが自閉症を発症し、建物所有者との法的和解に至った2例を自ら知っていると証言する。2023年には、隠れアスペルギルス汚染によって未接種のわが子が重度の自閉症様症状を示した母親の事例も報じられた。転居と徹底した環境管理によって症状は大幅に改善したという。
カビは「見えない犯人」として、免疫、腸、脳をつなぐ回路のあちこちに潜んでいる。その存在を疑わなければ、原因不明のまま「不運な遺伝」と片づけられる。部屋の隅に浮いた黒い染みが、子どもの発達の分岐点だったとしたら——これはまだ仮説だが、調べずに否定できる段階はとうに過ぎている。
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Michael Nevradakis, Ph.D.(ジャーナリスト)
『The Defender』 “Could Exposure to Mold Play a Role in Autism? More Research Needed, Experts Say”(カビへの曝露は自閉症に関与するか? 更なる研究が必要と専門家は言う)
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