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夜明け前
@yoakemae_log
金融資産9桁/不動産収入月7桁/起業3社/売却6社の現役経営者が書くログ。月3万NISA×30年=約3,650万円、米国30年国債10万円=年5,120円。資産を増やすために知るべき数字とシナリオが全て手に入るのはこの投資アカウントで十分。資産を増やす数字はここにしかない。
ここでしか手に入らない情報はSubstackで。無料です。
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夜明け前
@yoakemae_log
about 1 month ago
今アップデート中です‼️ さらに有益な発信できるようにしていきますので、今しばらくお待ちください🙇
夜明け前
@yoakemae_log
about 1 month ago
海の向こうで花火、東京は様子見。ヒントは「37」という数字にある。 このポスト読めば、世界の株が大きく上がった翌日に東京だけが下がる「ねじれ」の正体が腹落ちし、明日この温度差がどちらへ動くかを、たった1つの数字で自分の目で見分けられるようになる。 半導体株が、一晩で5.8%。なのに翌朝の東京は、その熱に乗らなかった。 ニューヨークで跳ねたのは、半導体株をまとめた指数、いわゆるSOXだ。普段なら数週間かけて動く値幅を、一夜で駆け上がった。値がさのハイテク株を集めたナスダック100が2.5%、出遅れていた小型株指数ラッセル2000まで2.0%。明日はもっと良くなる、と信じる者だけが見せる足どりで、ニューヨークの夜は満ちていた。だがその熱は、翌朝の東京で止まった。 今日、東京で値を上げた株は、全体のわずか37%だった。上がった1558に対し、下がったのは2354。3つに1つしか上げられなかった。値動きのちょうど真ん中、つまり中央値はマイナス0.26%で、平均的な一銘柄は静かに沈んでいる。世界が歓声を上げた翌朝、東京はそっと様子をうかがっていた。 なぜか。東京の朝には、海の向こうの潮を押し返す風が吹いていた。 1つは、円安だ。今日のドル円は161円台。円が安いと、外国のお金から見れば日本株は割安に映る。だが同時に、輸入する原材料の値段が膨らみ、暮らしの物価を押し上げる重さにもなる。輸出企業には追い風でも、市場全体の気分には重しになる。 もう1つは、油の値段だ。原油の代表的な指標であるWTIは、この20営業日でマイナス20.8%と大きく滑り落ちている。油が安くなるのは、ガソリンや電気代が下がるという意味で本来は歓迎されるはずだ。だが下げ方が急すぎると、市場は別の心配を始める。世界の景気そのものが弱って、油を使う量が減っているのではないか、という不安だ。アメリカの半導体が歓声を上げる一方で、油はまったく逆の話をしている。 円安が気分を重くし、原油が景気の不安を囁く。だから東京は、海の祭りをまず一歩引いて確かめた。上がった銘柄37%という数字は、その「確かめてから動く」体温そのものだった。 ただし、潮がまったく届いていないわけではない。届く先が、選ばれている。 世界の半導体への巨額投資は、まず日本の「裏方」の数字に滲み出す。今日の東京では、3社が業績見通しを上方修正した。会社が「思っていたより儲かりそうだ」と数字を上向きに直すことだ。なかでも一社、世界の半導体投資と一本の線でつながった名が混じっていた。5803フジクラである。 フジクラは、送電線と光ファイバー、そしてデータセンターをつなぐ製品をつくる。世界が半導体に金を注ぐほど、その箱と箱を結ぶ「線」が要る。フジクラの上方修正は、その需要が日本の裏方の数字に届いた最初の一滴だ。歓声が市場全体に広がる前に、まず一点から潮が滲み出している。 同じ日に、性格の違う動きもあった。建設コンサルタントの7369メイホーホールディングスは、減損、つまり持っている資産の目減りぶんを損として一度に計上する処理を出した。前を向く5803フジクラと、足元を畳む7369。同じ東京の今日に、2つの数字が同居していた。一方向に染まりきれなかった、ねじれの縮図である。 では、この温度差は明日以降どちらへ動くのか。 道は2つしかない。海の祭りが本物なら東京は時間差で追いつき、原油が告げる景気不安が本物なら、歓声のほうが先走りだったことになる。どちらが正しいかは、明日の朝いちばんに、たった1つの数字が教えてくれる。 明日からの見方はこれだけでいい。今日は37%だった。この割合が30%台に張り付くなら、東京はまだ世界を疑い、様子見を続けている。40%を超えて増えていくなら、東京がようやく世界に追いつき始めた合図だ。歓声の大きさではなく、足元で何社が買われたか。この地味な数字こそ、相場の本心がいちばん正直に出る場所になる。 今日の東京は、祭りを断ったのではない。火が本物かどうかを、足の裏で地熱を確かめていた。明日、何社が顔を上げるか。地熱は、歓声より嘘をつかない。あなたが朝いちばんに見るのは、30%台のままか、それとも40%超えか。
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夜明け前
@yoakemae_log
about 1 month ago
半導体だけが招かれた宴 ゆうべ、半導体だけが5.8パーセント駆け上がった。ところが同じ夜、ビットコインは4.4パーセント、イーサは4.9パーセント、安全資産のはずの金まで3.2パーセント、そろって静かに席を立っている。全部が買われた夜ではない。お祭りに見えた相場の招待状には、たった1つの名前しか書かれていなかった。 数字をもう少しだけ並べる。米国の半導体株をまとめたSOXという指数は、1日で5.8パーセント、5日で8.3パーセント、1カ月で16.9パーセント上がった。ハイテク中心のナスダック100も2.5パーセント高い。半導体の宴だけが、煌々と明かりをつけている。 なのに暗号資産と金は逆を向いた。招待客が片方しか来ていない。両肺ではなく、片方の肺だけがふくらんだ上げ相場だ。これを片肺のリスクオンと呼んでおきたい。 なぜこんなねじれが起きたのか。鍵は金利だ。米国の10年もの国債の金利は4.45パーセントへ下がった。お金を借りる値段が下がると、もうけが遠い未来にある成長株ほど値打ちが見直される。その筆頭が半導体だ。一方で、利息を生まない金は分が悪くなる。お金は物語のある場所へ寄り、ただ値上がりを待つだけの資産から静かに引いた。市場は気まぐれに見えて、案外まじめに損得を数えている。 ではこれが今日の東京にどう効くか。読みどころは3つ。 半導体への追い風。本場のSOXがこれだけ走った翌朝は、東京の半導体やメモリ、製造装置にも資金が回りやすい。本場で灯った明かりは、海を越えて東京の同じ顔ぶれにまず移る。最初に席につくのはここだ。 円安の援軍。ドル円は161円台へさらに円安へ振れた。海外で稼ぐ輸出企業、訪日のお客でうるおう会社に、追い風が1枚増えた。 原油安のごほうび。原油は1日で1.7パーセント、5日では14パーセントも下がった。燃料と材料が軽くなれば、電力や運輸、素材といった、コストで苦しみがちな会社の息がしやすくなる。 ここで、ずっと使える物差しをひとつ置いておく。保存版、上げ相場の本物度チェックだ。 全部がそろって上がった日は、熱しやすく冷めやすい。みんなで踊る宴ほど、終わるのは早い。 一部だけが選ばれて上がった日は、お金がちゃんと理由を選んでいる証だ。ただし招待客が少ないほど、はしごを外された時の落ち方も速い。 答え合わせは翌日にできる。招待客が増えていれば本物、半導体の一本足のままなら、宴は短い。 だから今日の東京で見るべきは、値段が何パーセント上がったかではない。明日、招待客の顔ぶれが増えるかどうかだ。 この片肺の宴は、招待客が1組増えるのを見届けてから信じたい。1日出遅れても、はしごを外される夜を1回減らせるなら安いものだ。あなたは、増えるのを待つ派だろうか。それとも、遅れたら終わりと飛び乗る派だろうか。 相場が何パーセント上げたかは、明日には忘れていい。覚えておくのは、その夜にどれだけの顔ぶれが招かれていたか。広い宴は静かに続き、狭い宴は派手に終わる。 この文章は投資の勧誘ではなく、相場を読む練習のための情報整理です。数値は夜間時点のもので、最終的な投資判断はご自身でお願いします。
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夜明け前
@yoakemae_log
about 1 month ago
新高値の夜に起きていた「えこひいき」の正体 「上がっているのに、難しくなっている」 日経平均は71,053円49銭。史上最高値だ。 なのに今日、上がった株は全体の52パーセントしかなかった。残りの半分は、最高値をつけた当日に、むしろ下がっている。これは「お祭り」ではない。市場が静かに始めた、ふるい分けの号砲である。 きょうの夕刊は、特定の株を当てる話ではない。最高値という一枚の絵の下で、市場がどんなルールに切り替わったのか――その地殻変動そのものを、やさしく解剖する。これを聞き分ける物差しは、最後に3行で渡す。まずは、なぜ最高値の日に半分が沈んだのか、その理由をほどいていこう。 数字をもう少し並べておく。前日比は1,151円24銭高の1.65パーセント高、ザラ場では71,398円58銭まで駆け上がった。TOPIXも4,068.18、1.37パーセント高。看板の数字だけ見れば、文句なしのお祭りだ。ところが値上がりした銘柄は2,183、値下がりは1,700、変わらずが306。指数が1.65パーセントも跳ねた日に、約半数の株はむしろ売られていた。 ここに、きょういちばん大事な発見がある。指数とは、たとえるなら大勢で担ぐ「神輿(みこし)」だ。神輿が高く上がったとき、ふつうは大勢の肩がそろって持ち上げている。ところがきょうは、神輿は最高値という高さまで上がったのに、実際に肩を入れていた人はごく一部だった。残りの半分は、担ぐどころか神輿から手を離していた。この「実際に指数を担いでいる銘柄の数」を、きょうは肩数(かたかず)と呼ぶことにする。肩数が多い最高値は、みんなで持ち上げた本物のお祭り。肩数が少ない最高値は、数人の力自慢が支える、高いけれど揺れやすい神輿だ。きょうは、はっきり後者だった。 では、その少数の力自慢は誰だったのか。半導体、電子部品、そして半導体をつくる装置である。お金はこの一角にだけ吸い寄せられ、ブイ・テクノロジー、マルマエ、タツモ、村田製作所といった名前が買われた。逆に、最近まで勢いだけで急騰していた株や、暗号資産にひもづいた値動きの荒い株は、利益確定の波に飲まれて売られている。きのうまで主役だったはずの新興株の一角が、きょうは観客席へ押し戻された。 ここで、ふつうの夕刊なら「だから半導体を買え」で終わる。だが、それは入口を出口と取り違えている。本当に価値があるのは、なぜ市場がきょう、肩数を絞ってまで半導体だけを担ぎ、それ以外を突き放したのか——その理由を理解することだ。理由が分かれば、あすも来週も、同じ目で相場を読める。理由は、海の向こうにある。 きっかけは、前の晩のアメリカだ。金融政策を決める会合FOMCが、政策金利を3.50から3.75パーセントへ据え置いた。声明には「物価は2パーセントの目標に対してなお高い」という、ひんやりした一文が残った。金利というのは、世界じゅうのお金にかかる「重力」のようなものだ。金利が高いままだと、重力が強い。なぜそれで遠い夢の株がしぼむのか。理由はこうだ。金利が高い世界では、お金をただ置いておくだけでも利息が稼げる。だから投資家は、「いまは赤字だけど、10年後に大きく化けます」という遠い約束を、待っている間に得られたはずの利息のぶんだけ値引きして見る。遠ければ遠い夢ほど、値引き幅は大きくなる。こうして、夢だけを売る株は地面へ引き戻され、いま現に稼いでいる株だけが、その重力に耐えて浮かんでいられる。 逆に、いま現に利益を出し、現金を生んでいる会社は、その重力に耐えられる。だからきょうの東京市場は、無意識のうちに、こうふるい分けた。重力に耐える「地力(じぢから)のある株」は担ぐ。重力に負ける「夢だけの株」は手放す。半導体への一点集中も、新興株の売りも、別々の出来事ではない。「金利が高い世界では、地力のある者だけが生き残る」という、たった一つのルールの裏表だったのだ。金利という重力が、地力のない夢を引きずり下ろす――この一連の働きを、きょうは地力の重力と呼ぶことにする。肩数を絞った正体は、この地力の重力である。 この市場のふるい分けは、ふだん私たちが見ない場所にも、くっきり影を落としている。ヤフーファイナンスの掲示板、投稿数のランキングだ。書き込みが多い銘柄ほど、それだけ多くの人が見ているということ。いわば、市場のSNSの「トレンド欄」である。きょうの上位は、キオクシアやJX金属のような本物の半導体銘柄と、株価50円前後で値動きの荒い思惑株が、仲よく混在していた。群衆の視線は、地力のある株にも、夢だけの株にも、同じように注がれている。 ところが、きょうの相場がやったのは、その群衆の視線を無視して、地力のあるほうだけを買い、夢だけのほうを売る、という選別だった。たとえば、掲示板で根強い人気を集めるジャパンディスプレイ(6740)は、本業がなお赤字で、会社の元手である自己資本がマイナスに沈み、決算書には「このまま事業を続けられるかどうか黄信号」という注記まで添えられている。株価は50円前後と安く、値幅が大きいから、短期で勝負したい人が群がる。人気は本物だ。けれど、その人気を相場はきょう、担いではくれなかった。一方で、同じく掲示板の上位に並ぶJX金属(5016)は、本業の営業利益を前の年より55パーセントもふくらませ、入ってくる現金もたっぷりある。こちらには、しっかり資金が向かった。掲示板の「話題の量」と、相場が報いる「地力の量」は、まるで別物だった——きょうの市場は、それを実演してみせたのだ。 ここから、長く相場を見てきた人なら誰もが知る、地味だが効く真実を一つ。安いには安いだけの、人気には人気だけの理由がある。そして、黒字と赤字が入れ替わる一瞬の夢に飛びつくより、黒字を「続けられる」会社を握っているほうが、最後に手元へ残るお金は大きい。逆に、赤字が何年も続く会社は、安さや人気がどれだけ目を引いても、平均すれば握った人を裏切ってきた。きょうの相場のふるい分けは、この古い真実を、最高値という派手な舞台の上で、もう一度なぞっただけなのである。 投資をはじめたばかりの人へ、きょうの市場から持ち帰ってほしい物差しを3つだけ残す。むずかしい売買の指示ではない。相場の「読み方」だ。 ひとつ、肩数を数える。「最高値」と聞いたら、上がった株が市場のどれくらいを占めるかを見る。半分そこそこなら、高くても揺れやすい神輿だ。 ふたつ、地力を確かめる。気になった株は、いま黒字か、自己資本はプラスか。その2つだけでいい。 みっつ、話題と地力を分ける。掲示板の順位は話題の量であって、地力の量ではない。話題に乗るなら、賭けと知って小さく。 そして、ここからが夕刊の本領――今夜、これからの米国市場で何を見るべきか。きょうの東京を動かした重力の源は、アメリカの金利だった。だから今夜も、見るべきは金利をめぐる空気である。 まず、昨晩のFOMCの余韻が、市場のどちらへ転がるか。金利が高いまま据え置かれた以上、重力は強いままだ。今夜のアメリカで、もし金利がさらに上を試すような動きが出れば、その重力はあすの東京にも伝わり、きょう買われた半導体やハイテクにも、いったん逆風として吹き返しやすい。逆に金利が落ち着けば、東京の地力選別は穏やかな追い風の中で続く。 数字の予定も一つ。日本時間の今夜、アメリカではフィラデルフィア連銀が製造業の景況感調査を発表する。これは、アメリカの工場まわりの体温計のような指標だ。ここが市場の想定より強ければ景気の底堅さとして好感され、弱ければ「金利を下げる理由」として読まれ、重力がゆるむ。地力選別の風向きが変わる最初のサインは、案外こうした地味な数字に出る。 最後に、もう一つ。あす6月19日、金曜のアメリカ市場は、ジューンティーンスという祝日で休場になる。連休の前は、持ち株をいったん軽くしておこうという調整の売りが出やすい。今夜の値動きがいつもより振れても、それが祝日前の整理なのか、本当の地合いの変化なのかは、分けて見ておきたい。 きょうの合言葉は、こうだ。最高値は、お祭りの合図ではなく、選別の号砲だった。金利という重力が強い夜、相場は夢より地力を選ぶ。だから、指数の高さに浮かれる前に、神輿を担ぐ肩の数を数える。その癖さえ身につけば、ニュースが最高値と叫ぶ日も、あなたは足元を見失わずに歩いていける。 最後に、一つだけ問いを置いておく。あなたがいま気にかけている株は、地力で担がれているだろうか。それとも、話題で担がれているだろうか。答えは胸の中だけでいい。「地力か、話題か」――その一言に迷わず答えられるようになったとき、相場はもう、最高値の派手な看板であなたを惑わせられなくなっている。
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夜明け前
@yoakemae_log
about 1 month ago
同じ日に、キオクシアは+1.35%、パワーエックスはストップ安。明暗を分けた一本の線。 掲示板でいちばん盛り上がっている株が、いちばん強い株とは限らない。きょうの東京市場は、その残酷な事実を、同じ人気ランキングに並んだ2つの会社で見せつけた。かたや、本業の利益をほぼ倍にして買われたメモリの雄。かたや、値下がりの限界まで売られた電池の新星。両者を分けたのは、勢いでも人気でもない。熱の下に「本業で稼ぐ力」が埋まっているか、そのたった一本の線だった。順を追って、その線を描いていく。 日経平均は70,000円に指が触れた。終値は69,902円25銭、前日比497円75銭高の0.72%高で、ザラ場では70,125円75銭まで顔を出している。TOPIXも4,013.23、0.55%高。数字の並びだけ見れば、シャンパンの栓を抜いていい一日だ。ところが、会場は妙に静かだった。栓を抜く手が止まっている。理由はシンプルで、上がったのが「指数」であって「みんな」ではなかったからだ。 まず、いちばん大事な言葉をほどいておく。日経平均とは、選ばれた225社の株価を束ねた「クラスの平均点」のようなものだ。数人の天才が100点を取れば、ほかが赤点でも平均は上がる。きょうの東京市場がまさにそれで、満点を取った天才科目はAIと半導体メモリ、そして半導体をつくる装置だった。お金はこの一角にだけ吸い寄せられた。専門家が選別物色と呼ぶ、強い銘柄だけがさらに強くなる相場である。全員で手をつないで上がる「全面高」とは、似て非なるものだ。 その証拠は、こちらが普段あまり光を当てない場所に、くっきり残っている。Yahoo!ファイナンスの掲示板投稿数ランキングだ。これは、いま投資家の視線がどこへ向いているかを映す、生のメーターである。書き込みが多い銘柄ほど、人々が固唾をのんで見ているということ。言うなれば、相場の体温計ならぬ「熱狂計」だ。 きょうの熱狂計の上位は、285Aキオクシアホールディングスを筆頭に、5016JX金属、6976太陽誘電、5803フジクラ、6981村田製作所、6613QDレーザ。見事なまでに半導体とAIの一色だった。つまり、群衆の視線そのものが、相場の一点集中をそっくりなぞっていた。 ここに最初の発見がある。関心が一方向にそろうとき、その熱には必ず「乗り遅れたくない」という焦りが混じる。番付が半導体で埋まる日は、地合いが強い日であると同時に、市場全体が同じ方向へ体重をかけている日でもある。重心が片側に寄った相場は、進みは速いが、揺り戻しにも弱い。 では、なぜそうなったのか。鍵は前の晩のアメリカにある。半導体株の世界共通の体温計である米SOX指数は、6月15日に過去最高値をつけたあと、翌16日には数%下げて反落した。本場のチップ株は、いったん休憩に入ったのだ。 にもかかわらず、東京のメモリは買われた。なぜか。露光装置の世界的な雄であるオランダのASMLについて、「メモリ向けの先端装置の需要が増える」という観測が報じられ、それが「AIの記憶を担う日本の会社にも、もう一段の追い風」という連想に化けたからだ。本場が一息ついた裏で、日本だけが物語の続きを買った。会場の本家が席を立ちかけたのに、東京はまだ拍手を続けている。ここが、きょうの相場のいちばん面白いねじれだ。 このねじれを腹の底まで味わうために、熱狂計の中身を2社、解剖したい。同じ「掲示板で盛り上がった株」でありながら、きょう正反対の結末をたどった2社だ。これを並べると、株式投資でいちばん大事な一本の線が、はっきり見えてくる。 ひとつめは、番付の主役、285Aキオクシアホールディングス。終値96,000円、1,280円高の1.35%高。派手な急騰ではないが、注目度では今夜の主役だ。この会社の正体は、スマホやデータセンターにデータをしまうNAND型フラッシュメモリの、世界的な作り手である。NANDとは、写真や動画、そしてAIの学習データをためておく記憶装置のこと。AIが賢くなるほど、その置き場所は途方もなく要る。置き場所が足りなければ、それを供給できる者が強い。会社自身、足元の追い風として「AI用途のサーバー需要」「データセンター向けの需要」「平均販売単価の大幅な上昇」を、はっきり挙げている。 そして数字が、雰囲気だけの人気ではないことを裏づける。2026年3月期は、売上収益2兆3,376億円で前の年より37.0%増、本業の儲けを示す営業利益は8,704億円で92.7%増、最終的に手元へ残る純利益は5,545億円で103.6%増。利益がほぼ倍になった。会社の体力を示す自己資本比率も37.9%、手元の現金は4,707億円。かつての「借金で重そうな会社」という面影は薄れている。ここまでは、文句のつけようがない優等生だ。 ただ、プロはここでにっこりしながら一歩引く。倍増した利益の主役は「平均販売単価の上昇」、つまりメモリの値段が上がったこと、その一点だ。メモリの値段は、たとえるなら真夏のかき氷である。暑くて品薄のうちは飛ぶように売れて値が張るが、涼しくなって在庫が余れば、途端に見向きもされなくなる。値上がりが利益を膨らませたぶん、需給が緩んだり、AI投資が一服したりすれば、同じ勢いで利益はしぼむ。会社が決算の書類のなかでわざわざ「半導体メモリ業界は短期間で大きく変化する」と書き添えているのは、優等生本人がいちばん、この夏と冬の落差を知っているからだ。だから次に見るべきは株価の勢いではなく、かき氷の気温、つまり販売単価とAI設備投資が続くかどうか。キオクシアは、強い。けれど強さの源が「気温」である以上、空模様から目を離してはいけない。 ふたつめが、対照実験のように効いてくる。同じ熱狂計の上位に食い込みながら、きょうストップ安まで売られた485Aパワーエックスだ。終値2,291円、500円安の17.91%安。1日の値下がりの限界いっぱいまで叩かれた。手がける事業そのものは、いまの時代のど真ん中にある。大型の蓄電池システム、EV向けの急速充電、電力の販売と運用。脱炭素とデータセンターの電力需要を一身に受ける、絵に描いたような成長テーマだ。 それでも株価は転げ落ちた。きっかけは新しい悪材料ではなく、需給だった。犯人は「ロックアップ解除」という、初心者がつまずきやすい言葉である。これは、上場のときに大株主が結んだ「しばらく売りません」という約束のこと。その縛りが、ちょうど切れた。前日まで急騰していた銘柄で、縛りを解かれた大量の株が一斉に出口へ向かえば、価格は支えを失う。新しい悪材料は一つもない。ただ、売れる人が増えただけで、17.91%が消えた。 体力の現実もある。直近の四半期は、売上19億45百万円に対して、本業は6億97百万円の赤字、最終損益は10億07百万円の赤字。手元の現金は74億54百万円から56億29百万円へと細った。倒産の懸念を示す「継続企業の前提」という注記はなく、80億円の借入枠も手つかずで残っているので、あすにもお金が尽きるという話では断じてない。だが、稼ぐより先にお金を集めて大きくしている途中であることは、数字が正直に物語っている。 ここに、今夜の核心が立ち上がる。掲示板の熱と、その会社の地力は、まったくの別物だということだ。キオクシアは、熱の下に「倍増した本業の利益」という地力が埋まっていた。パワーエックスは、同じ熱を浴びながら、地力がまだ育つ途中だったから、需給というそよ風ひとつで足元をすくわれた。熱狂計は「いま何が話題か」は完璧に映す。けれど「その話題に体力が伴っているか」までは、決して映さない。番付は入口であって、答えではないのだ。 そして、ここからが夕刊の本領――今夜、これからの米国市場で何を見るべきか。 今夜は、世界じゅうの投資家が同じ時間に同じ画面を見つめる、特別な夜だ。アメリカの金融政策を決める会合FOMCの結果発表が、日本時間であすの午前3時ごろにある。ここで決まる政策金利は、世界経済の温度を左右するダイヤルのようなもの。上げれば景気は冷え、下げれば暖まる。発表の30分後には、FRB議長ケビン・ウォーシュ氏の記者会見も控えている。 注目点は、金利の数字そのものではない。今回、金利(誘導目標は3.50〜3.75%)は据え置きが大方の予想で、ダイヤルは動かない公算が大きい。本当に大事なのは、会議が示す「これからの予想図」のほうだ。6月の会合は、参加者一人ひとりが将来の金利見通しを点で示す「ドットチャート」という地図が公表される回にあたる。ここ最近、市場の空気は「年内に利下げ」という期待が後退し、むしろ「利上げもありうる」という、ひんやりした方向へ傾いてきた。もしこの地図やウォーシュ議長の言葉が、想定よりタカ派(金利を高めに保ちたい姿勢)に振れれば、金利の上昇を通じて、きょう東京で買われたばかりのハイテク・半導体には逆風が吹きやすい。逆に、思ったより穏やかなら、東京のメモリ祭りはあすも続く燃料を得る。 つまり今夜の合言葉はこうだ。金利そのものは動かない。でも、議長が語る「これから」の見立てが、あすの東京の半導体の風向きを決める。 もうひとつ、来週に向けた本丸も置いておく。メモリ相場の本家本元、アメリカのマイクロン・テクノロジーの決算が6月24日に控えている。会社は次の四半期の売上を335億ドル前後と、記録的な水準で見込んでいる。マイクロンが記録的な需要をその数字で裏づければ、それはキオクシアにとっても追い風の答え合わせになる。今夜のFOMCと来週のマイクロン――この2つが、東京の半導体の体温を当面決める二大イベントだ。 最後に、投資をはじめたばかりの人が、今夜とあす迷わないための物差しを置いておく。むずかしい売買の指示ではない。見方の話だ。迷ったら、この3行に戻ってきてほしい。 ひとつ、黒字か、それだけ先に確かめる。番付が一色に染まる日ほど、つられて飛びつかない。気になる銘柄を見つけたら、株価のチャートより先に「本業で黒字を出しているか」をひとつだけ見る。きょうの2社で言えば、利益が倍のキオクシアは黒字、急騰していたパワーエックスは赤字。もちろん、赤字でも未来をつくる成長企業はある。ただ、はじめのうちは黒字という土台のある会社から見ていくほうが、熱だけの株に火傷しにくい。その一行が、熱狂計には決して映らない答えだ。 ふたつ、FOMCは見物席から眺める。今夜は寝ずに値動きを追わなくていい。発表直後の数分の乱高下は、初心者がいちばん火傷しやすい時間帯だ。あすの朝、ニュースの見出しが「タカ派(金利高め)」なら半導体は重く、「ハト派(金利低め)」なら軽い――その風向きだけ確かめて、あわてず一日を始めれば十分だ。 みっつ、最初に動く顔ぶれを見ておく。あすFOMCの風を最初に受けるのは、きょうの番付が教えてくれている。AIの記憶を担うメモリのキオクシア、AIの配線を担う光関連のフジクラ、電子部品の太陽誘電と村田製作所。買う買わないはひとまず脇に置き、この顔ぶれがFOMCのあとどう動くかを眺めるだけで、相場と金利のつながりが体に入ってくる。 そして、ひとつだけ問いかけたい。いま持っている株は、熱の下に地力のある「キオクシア型」か、それとも熱だけが先行した「パワーエックス型」か。本業が黒字かどうか、ひとつだけ確かめてみる。その一行の答え合わせが、にぎやかな相場であなたを守る最初の一歩になる。 きょうの東京市場は、70,000円の大台を前にして、全員で乾杯したわけではなかった。買われた株と捨てられた株を分けたのは、勢いでも人気でもなく、熱の下に地力が埋まっているか、その一本の線だった。そして今夜、その線の上を、FOMCという新しい風が吹き抜ける。あすの番付を眺めるときは、書き込みの多さではなく、その熱の下に何が埋まっているかを見てほしい。見分けられる人だけが、にぎやかな相場で、静かに、長く勝ち残る。 (本稿は情報提供であり、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。投資は最終的にご自身の判断で。記載の数値・日程は公式値・適時開示・決算短信・信頼できる報道で一次確認しています。)
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夜明け前
@yoakemae_log
about 2 months ago
https://t.co/7KPBBDzChe
夜明け前
@yoakemae_log
about 2 months ago
@WatanabeAy59419
勢い凄すぎて止まる時が怖い😂✨
夜明け前
@yoakemae_log
about 2 months ago
利上げなのに株が上がった朝 教科書を信じた人だけが、昨日の上げを取り逃した。日銀が金利を1%に上げれば、株は下がる。そう習ったはずだ。なのに日経平均は4日続けて上がり、終値はたった87円高の69,404円50銭、一時は7万円台に手が届いた。この物足りなさこそ、昨日いちばん重要なニュースだった。その意味がわかると、慌てて売る朝が一年ぶん減る。 なぜ利上げで株が下がらなかったのか。答えはひとつ。みんな前から知っていたからだ。日銀は何週間も前から、そろそろ上げると予告し続けていた。予告された雷では、もう誰も飛び上がらない。相場は未来を先に食べてしまう。決まった瞬間には、もう値段の中に答えが入っている。だから驚くのは、決まったことではなく、思っていたのと違ったときだけだ。今回の利上げは、ほぼ予想どおり。いちばん雄弁だったのは株価の上げ幅ではなく、相場が見せた落ち着きそのものだった。 むしろ支えになった一行が、決定文の隅にあった。日銀はこれまで国債を買う量を少しずつ減らしてきたが、その作業を2027年4月以降はいったん止め、月に2兆円ほどで横ばいに保つと決めた。中身は単純だ。むずかしく聞こえるが、市場からお金を吸い上げる蛇口の締め方を、一段ゆるめますという宣言である。金利は上げる、でもブレーキは強く踏まない。この慎重さが、利上げの冷たさを和らげた。 金利が1%に戻ったということは、長く眠っていた金利のある世界が、いよいよ目を覚ましたということでもある。預金にわずかでも利息が付き、住宅ローンの返済はじわりと重くなる。お金を貸す側が得をして、借りる側は気を引き締める。家計にとっては、ただのニュースではなく、毎月の数字が少しずつ変わる現実の話だ。10年前なら、銀行に100万円を預けても、付く利息はコーヒー一杯ぶんもなかった。その一杯が、これから少しずつ増えていく。お金にようやく値札が戻るのだ。預金も、ローンも、株の選び方も、この一点を軸に少しずつ作り直す時期に来ている。 さて、太平洋の向こうは少し景色が違った。昨夜のアメリカは、ダウだけが笑った夜だった。ダウ工業株30種は0.6%上がり、終値は51,999、あとわずかで5万2000ドルという大台に手が届くところまで来た。ところがハイテク株の集まるナスダックは1.2%下げ、26,376まで沈んだ。S&P500も0.6%安い。背の高いハイテクが転んで、地味で大きな会社が踏ん張る。明暗がくっきり分かれた一夜だった。 なぜハイテクだけ売られたのか。事情はふたつある。ひとつは、アメリカの中央銀行で議長が交代し、新議長ウォーシュ氏にとって初めての会合、FOMCの結果が、日本時間のあす早朝に控えていること。船長が代わる前は、誰でも一歩引いて海を見る。もうひとつは、人工知能にかかるお金の話だ。半導体の王者が、250億ドルもの社債を出して資金を集めるという。現金をうなるほど抱えた会社が、それでも借りにいく。投資の規模が、会社の財布をもう超えている。夢の請求書は、夢より遅れて届く。投資家はその時差を、ふと思い出したのだろう。 ここで一度、世界の地図を引いて眺めてみる。いま日本は金利を上げ、アメリカはこの先むしろ下げる側へ動こうとしている。ふだんは同じ向きに進むふたつの大きな船が、めずらしく逆を向いた。この向きの違いこそ、しばらくの相場を貫く太い軸になる。日本では金利で稼ぐ会社に光が差し、アメリカでは金利が下がる前提で買われてきたハイテクが、いったん息を整える。同じ世界の中で、得をする顔ぶれが静かに入れ替わっていく。だからこそ、日本株とアメリカ株をひとくくりに上がる下がると見るのは、もう古い。どちらの船に乗っているかで、今日の追い風はまるで違う。 では、今日の東京で何を見るか。物差しはみっつでいい。 ひとつ、半導体株。昨夜アメリカのハイテクが安かったぶん、今朝の東京の半導体関連も寄りは重くなりやすい。それでも社債まで出して投資を続ける姿が示すとおり、奥で動く設備投資そのものは加速している。人工知能を動かす巨大な計算機は、桁違いの電気を食べ、桁違いの熱を吐く。だから今日見たいのは、半導体本体よりも、電力設備や半導体製造装置といった、その足元を支える裏方の値動きだ。派手な見出しがどこを照らすかではなく、お金が静かにどこへ向かうか。そちらを観測点に置く。 ふたつ、金利で稼ぐ会社。金利が1%まで戻れば、お金を貸して利息を取る商売に光が当たる。銀行や保険、損害保険だ。逆に、まだ稼ぎの薄い成長株は分が悪い。将来の利益を今の値段に直すとき、金利という割引が重くのしかかるからだ。金利のある世界では、遠い未来の夢より、いま手元で利息を生む堅さが見直される。もっとも、銀行や保険の上げはもう一年も前から織り込み済みで、いまさら遅いという見方も根強い。今日の物色が、堅い金利株に向かうのか、それとも出遅れた別の顔ぶれに移るのか。そこを風向きの最初の旗印として見る。 みっつ、ドル円。日本は利上げ、アメリカはこの先の利下げ観測。金利の差が縮めば、理屈のうえでは円が買われやすい。だから今日は、円高に振れた瞬間に輸出企業の重さを疑う。円が高くなれば、海外で稼いだお金が円に直したとき目減りするからだ。ドル円の向きが、輸出株を見るときのいちばん早い物差しになる。 最後に、5年たっても色あせない話をひとつ。相場でいちばん怖いのは、知らない出来事ではない。みんなが知っているのに、自分だけ意味を取り違えている出来事だ。昨日の利上げは、誰もが知っていた。それでも利上げイコール株安と暗記した人は、上がっていく相場をただ眺めるしかなかった。知っていることと、わかっていることは、まるで違う。利上げの朝に株が上がったあの違和感が、来年の自分を守る一行になる。 教科書なら、金利が上がる日の主役は銀行や保険だ。でも、止まらない人工知能への投資を思えば、売られた半導体の押し目こそ本命だという声もある。今日のあなたの一票は、どちらの船か。理由を一行で言えるなら、もう取り逃さない。
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夜明け前
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about 2 months ago
やはり握力こそが個人投資家の最大の武器なのか…
くま🧸|1億貯めても働く商社マン
@kuma_asset100m
about 2 months ago
【驚愕】スペースXの上場に1000万投資する個人投資家のガチホ力が異次元すぎる…! 投資歴15年のベテランで、JX金属やキオクシアも初値からずっとホールド。「これも初値から持ち続けたい」って、株クラの初値ミクは言うことが違う。
kuma_asset100m's tweet video.
夜明け前
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about 2 months ago
@WatanabeAy59419
半導体の真ん中はとんでもなく伸びてますね😊✨個人的には次のを先回りしようと色々仕込んでますが、今は完全に半導体相場なので乗れてない人は焦る感じですね💦
夜明け前
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about 2 months ago
3,000億円ぶんの「持ち合い株」を解消せよ。そんな株主提案を突きつけられた会社が、それを、はねつけなかった。 迫ったのは、物言う株主。迫られたのは、フジ・メディア・ホールディングス。2025年の春、取締役を12人も立てて出された宿題に、フジは「2027年度までに1,000億円超を売る」と応じた。では、いざ手放される株を、いちばん自然に、いちばん安く受け取れる立場にいるのは、誰か。 ドミノは、押される前から、倒れる向きが決まっていることがある。あなたなら、どんな会社を受け皿に思い浮かべますか。
夜明け前
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about 2 months ago
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about 2 months ago
3つの風がぶつかる朝 昨夜、世界の投資家がそろって同じ方向へ走り出した。きっかけは米国とイランの停戦合意だ。戦争が止まると決まった瞬間、たまっていた不安が抜け、株が一気に買われた。ナスダックは前日比プラス3.07%で26,684、3月末以来いちばん強い1日になった。ダウは史上最高値を更新し、半導体をまとめた指数SOXは1日でプラス4.4%、この1カ月ではプラス16%も駆け上がった。投資家の不安をはかる恐怖指数VIXは16台まで沈み、金曜に上場したばかりの宇宙開発のスペースエックスは昨夜もプラス20%近く跳ねた(出典はCNBC、TheStreet)。 ここまでなら、ただの世界的な祝杯だ。だが今日の東京は、そう単純ではない。なぜなら、ひとつの停戦から生まれた風が、3つの方向に分かれて同時に吹くからだ。この3つの風を読み分けることが、今日いちばんの勝負どころになる。 1つめの風は、米国からの追い風だ。 世界の買いの熱は、そのまま東京に届きやすい。ドル円は160円台の円安で、海外で稼ぐ輸出企業には強い追い風になる。米国の長い金利が4.47%まで下がったことも、利益がずっと先にある成長企業には味方だ。金利が下がると、遠い将来の利益を今の価値に置きかえやすくなるからだ。そして何より、半導体が世界の主役に戻った。海外では半導体製造装置のラムリサーチやアプライドが20日でプラス35%前後、記憶用半導体のマイクロンが同じくプラス48%と先頭を走る。世界の先頭が走れば、日本の半導体の装置や検査、ウエハーの切断研磨を手がける会社へ、時間差で波がくることが多い。実際、年明け以降の東京でも、この切断研磨や検査の会社が物色の中心になってきた(出典は株探、第一生命経済研究所)。 2つめの風は、足元から吹く逆風だ。 その追い風の足元から、逆向きの風が吹こうとしている。今日の午前11時から午後1時のあいだ、日銀が金融政策の結果を出す。市場が最大の焦点として見ているのは、政策金利を今の0.75%から1%へ引き上げるかどうかだ。1%は、実に31年ぶりの高さになる。 ここがややこしい。金利を上げると、日本と米国の金利の差が縮まり、理屈のうえでは行きすぎた円安が戻る、つまり円高に振れやすい。円高は、さっき追い風だと言った輸出企業や半導体株には、こんどは逆風になる。さらに過去の利上げ局面をならべると、銀行や保険のように金利上昇で稼ぎが増える会社や、もともと割安な株が強く、逆に成長株は分が悪い、という傾向がはっきり出ている。つまり今日の午前は、米国がくれた追い風と、日銀がもたらす逆風が、同じ半導体や成長株の上でぶつかる時間帯になる。 ただし、ひとつ皮肉な前例がある。昨年12月に日銀が0.75%へ上げたときも、本来なら円高になるはずが、総裁が次の利上げ時期をはっきり示さなかったため、発表後に円はむしろ安くなった。今日も、上げるか否かと同じくらい、上げたあとに次をどう匂わせるかで、円の向きが決まる。スイッチが入るのは、今日の昼前だ。 3つめの風は、横から吹く恵みの風だ。 停戦は、もうひとつ大きな置き土産を残した。原油の急落である。原油の国際価格WTIは1バレル81ドル台まで下がり、この1カ月でマイナス22.7%も崩れた。戦争で供給が止まるかもしれないという不安が、停戦で一気に消えたからだ。 日本はエネルギーのほとんどを輸入に頼っている。だから原油安は、国全体にとっては横から吹く恵みの風になる。燃料費が重くのしかかる空運、電気やガス、トラックや船で運ぶ物流、石油を原料にする化学。こうした業種は、コストが軽くなるぶん利益が出やすくなる。逆に、原油を掘って売る側や、資源で稼ぐ商社のエネルギー部門には向かい風だ。この3つめの風だけは、日銀がどちらに動こうと、ほとんど関係なく吹き続ける。 ここまでを1枚の地図に重ねると、今日の東京が見えてくる。米国の追い風は半導体と成長株を押し上げ、日銀の逆風は同じ半導体と成長株を冷やしにかかり、原油安の恵みは輸入に頼る内需へ流れる。同じ相場のうえで、3つの矢印がてんでばらばらの方向を指している。これが、世界が記録的高値で沸いているのに、東京だけ風向きが読みにくい理由だ。 では、どう構えるか。各論の売買は書かないが、考え方の骨だけ置いておく。こういう日に効くのは、どの風が勝っても倒れにくい立ち位置を選ぶことだ。たとえば銀行は、日銀が利上げに動けば追い風そのものを受け、しかも半導体とは値動きの連動が薄い。原油安の恵みを受ける内需は、日銀がどちらに転んでも崩れにくい。一方で半導体や輸出株は、米国の追い風と日銀の逆風を同時に浴びる、今日いちばん振れの大きい場所になる。攻めるなら振れの大きい場所、守るなら風向きに左右されにくい場所。今日はその区別が、いつも以上にくっきりしている。 最後に1つだけ。相場でいちばんおいしい場面は、嵐がやむと決まった瞬間に来ることが多い。けれど走り出すのは、世界中がほぼ同時だ。今日の上げに乗れたかどうかより、3つの風のどれが本物の追い風として続くのかを見極め、次の朝のために席を取っておくこと。そこにこそ、差が出る。昼前の日銀の発表が、その答え合わせの最初の1枚をめくる。
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夜明け前
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about 2 months ago
日経が1日で5%上がった。なのに、あなたの株はなぜ動かない 日経平均が今日、1日で5%上がった。3,297円高の69,317円。1年分の値上がりが、たった1日で起きたような数字だ。 なのに、あなたの持ち株は、それほど上がっていないかもしれない。なぜか。 答えは、上げの「中身」にある。今日、値上がりした会社は2,735、値下がりは1,223。数の上では圧勝だ。ところが、ふつうの1社がどれだけ上がったかを真ん中で見ると、たった0.70%しか上がっていない。指数を5%も押し上げたのは、半導体のような一部の大型株だった。クラス全員が少しずつ手を挙げ、満点組の数人が平均点を跳ね上げた。これを「声がでかい平均点」と呼びたい。指数の大きな数字は、その満点組の声の大きさで、できている。 そもそも、なぜ今日、上がったのか。景気が良くなったからではない。中東の対立が、収まりそうだからだ。世界の石油のおよそ5分の1が通る「ホルムズ海峡」という海の通り道がある。ここが、米国とイランの和平合意で再び開くと伝わった。すると週明けの取引で、原油の値段が一気に下がった。石油のほぼ全量を輸入に頼る日本では、原油安は電気代も輸送費も原材料費も一斉に軽くする。家計でいう固定費が、いきなり下がるようなものだ。だから原油安は、日本株にとって最も素直な追い風になる。 ここで、耳の痛いことを正直に書く。この和平は、まだ署名されていない。期待で買われた、いわば借り物の上げだ。ニュースが一行ぐらつけば、逆回転しうる。今日の大相場の足元は、見た目ほど頑丈ではない。白とも黒とも言えない、灰色のままだ。 その借り物の上げの下で、ひとつだけ、借り物でない力が動いている。銅と半導体が、同時に強い。半導体がAIの頭脳なら、銅は電気を運ぶ血管だ。頭脳だけ買われるうちは、まだ期待の段階。だが血管である銅まで一緒に強くなったら、それは実際にデータセンターを建て始めた合図になる。AIへの投資が「半導体を買う」段階から「現場で電気を通す建設」の段階に入った。銅の値段が、それを静かに教えている。 今日、持ち帰ってほしい物差しは、1つでいい。上げが本物かを見分けたいなら、指数の数字ではなく「真ん中の株がいくら上がったか」を見る。声がでかい平均点に、だまされない。これだけで、明日の自分の判断が、ひとつ確かになる。 では、その物差しを持った一流は、こういう日に実際どこを見るのか。 彼らは、今日、派手に跳ねた主役を追わない。祭りが通り過ぎた、でも本当は大事な「裏方」を見る。今日は3社。どれも「いま買い」ではない。「なぜ一流の目に留まるのか」を読み解くための3社だ。 1社目、石井表記。半導体の「後工程」の装置を作る会社だ。半導体が料理の主役の肉なら、この会社は、その肉を切る包丁を研ぐ裏方にあたる。直近の四半期で、本業の利益が前年同期のおよそ倍、プラス98.8%に伸びた。ただし、会社は通期の見通しを引き上げていない。通期はプラス1.3%の据え置きで、下期は落ち着くと、自分で言っているのだ。しかも株価は数日で急騰してしまった。「誰も気づかぬ静かな割安」という妙味は、もう値段に入ってしまった後だった。 2社目、戸上電機製作所。AIが大量に食う電気を、街や工場へ安全に配る「配電盤」の老舗だ。電気を水道にたとえるなら、ダムから蛇口までの途中にある分岐栓や調整バルブを作る。地味だが、利益率を5年で倍にした筋のいい会社。けれど——その会社自身が、来期は本業の利益が12%減り、1株あたりの配当も140円から130円へ減らすと予想している。今期の利益率は12.2%まで上げたのに、だ。決算は会社の体温、株価は観客の体温。体温が下がる予想を出した会社に、観客はなかなか熱狂しない。 3社目、ユー・エス・エス。中古車のオークションを開く胴元だ。車が高く売れても安く売れても、競りが1回成立すれば手数料が落ちる。相場の祭りとは無縁に、手数料が積み上がる「守り」の質を持つ。利益率は50%を超え、自己資本でどれだけ稼ぐかを示すROEも20%と一級品だ。ただし来期の利益はほぼ横ばい、プラス1.9%の予想で、株価は1年ぶんの利益の約21倍、つまりPERという物差しで見て決して安くない。良い会社であることと、安く買えることは、別の話だ。 3社が高い理由は、三者三様だ。石井表記は株価が先回りし、戸上電機は会社自身が来期の減益で冷や水を浴びせ、ユー・エス・エスは優等生すぎて誰も安いと言えない。だが結論は、同じ方向を指す。派手な本命は、もう値段に入っている。本当の取り場は、二次三次の裏方と、祭りに取り残された質のほうに、押し目となって訪れる。今日は、飛び乗る日ではない。狙いを定めて、待つ日だ。 今夜の1mm。自分の持ち株が、今日なぜ動いたのか、あるいはなぜ動かなかったのかを、指数ではなく真ん中の数字で確かめてみる。たった一手間で、相場の見え方が変わる。 指数は5%上がった。こちらの財布は、まだその知らせを受け取っていないらしい。もっとも、それは——慌てて高値に飛び乗った人の損が、こちらに回ってこなかった、という知らせでもある。受け取るなら、そういう便りのほうがいい。
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about 2 months ago
テレビのリモコンに名前が載っているあの会社、儲けの8割は、もう宇宙から出ている。 スカパーJSAT。2025年3月期、売上は放送と宇宙でほぼ半々。ところが本業のもうけは、放送62.7億円に対し、宇宙220億円。リモコンという名札をぶら下げたまま、中身はとっくに宇宙服に着替えていた。 そして2026年2月、その宇宙が防衛省と2,831億円で握手した。商社がこの株を静かに集めていたのは、テレビ局がほしかったからではない。その頭上にあるものが、目当てだった。あなたが「この会社、もう昔の顔じゃない」と気づいた1社は、何でしたか。
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about 2 months ago
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about 2 months ago
2,527億円の赤字。 そこから2年で、株は約56倍になった。 全員が「もう終わった」と笑っていた、あのキオクシアだ。 いま、話題の人気株に群がっている熱狂。 それは、2年前にこの赤字会社を全員で笑って見捨てた、あの熱狂と同じ顔をしている。 今度こそ違う、と言い切れる人だけが、その熱狂の中にいていい。 全員が「安全だ」と思う場所には、もう何も残っていない。 歪みは、いつも全員の死角に落ちている。 だから私は、株価を見ない。 誰が「もう終わった」と笑っているかを、見る。 ハズレを、安く、何枚も握る。 9枚が紙くずになっても、1枚が56倍になれば、卓ごと取り返せる。
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about 2 months ago
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about 2 months ago
,802円の祭りの夜に、1,427社が置いていかれた。 日経平均は終値66,020円、+1,802円。タイムラインは沸いている。その夜に、いつもの作業をした。東証全体4,175銘柄の引け値を、上から下まで撫でて数える。上がったのは2,451社。下がったのは1,427社。 きのう、+38円しか動かなかった日には、2,589社が沈んでいた。きょう、+1,802円の日には、1,427社が置いていかれた。指数は市場の平均気温であって、あなたの口座の体温ではない。 なぜそうなるのか。日経平均は「声がでかい平均点」だからだ。225銘柄の平均点なのに、株価という値段の高い銘柄ほど、平均を動かす力が大きい。 きょういちばん声がでかかったのは、半導体の2人。アドバンテスト+8.54%の27,325円、東京エレクトロン+7.26%の68,000円。225人の合唱で、ソロ2人が音量を決めた日だった。市場全体を均したTOPIXは+1.35%。日経+2.81%との差は、ソロ2人が作った。 正体が分かれば、問いはひとつ。その騒ぎで、実際に何が起きたか。沸いた日の主役は3種類——熱で跳ねた者、中身で登壇した者、王座に座った者。 熱で跳ねた者。マルマエ(6264)、ストップ高の2,315円、+20.9%でプライムの値上がり率1位。ストップ高とは、一日に動ける値段の上限まで買われて、それ以上は買えなくなった状態のことだ。半導体装置の中で使われる真空部品を削り出す、鹿児島の会社である。 Xでは「好決算でストップ高」と流れた。ところが原本を確かめると、次の決算発表は7月3日。きょう出た新しい短信は、存在しない。看板が煙を上げている時こそ、中身の確認票を開いた。中身そのものは本物だ(中間決算で本業の利益15.7億円)。ただし純利益の約10億円は補助金という一回きりの風で、来期、この風は止まる。 沸いた日の3秒チェック、今夜も置いておく。保存用に。 ①きょう上がった持ち株は、その会社から新しい発表が出たか。出ていなければ、上げの正体は熱だ。 ②熱で上がった株は、熱で下がる。降りる線を決めてあるか。 ③中身で上がった株だけが、あしたも同じ顔で持てる。これが、熱と中身の分かれ目だ。 熱は、銘柄を選ばない。 中身で登壇した者。上方修正とは、会社が自ら「思ったより稼げる」と予想を直すことだ。サムコ(6387)がきょう、それをやった。 配当。1株あたりもらえる現金も60円から75円へ増やした。開示の原本と突き合わせて、数字はそのとおりだった。今期ここまでの9ヶ月の本業の利益は、前年比+33.7%。京都の装置会社が、沸いた日に中身の数字で登壇した。 王座に座った者。キオクシア(285A)には「時価総額がトヨタを抜いて国内首位」という話題が流れた。確かめた。本当だ。時価総額(株価×株数で測る会社の値段)は44兆円。トヨタを、紙一枚の差で上回った。半導体メモリの会社が、自動車の王様を上回った夜だ。直近の本決算は営業利益8,703億円。売上の37%が利益として残る、本物の稼ぎ方である。 ただし、王座には家賃がある。44兆円の期待という家賃を払えない夜は、高い椅子ほど大きく揺れる。 そして、半導体だけを束にした口座は、ヒューズを1本で繋いだ配電盤だ。一ヶ所が飛んだ夜、家じゅうの灯りがいっしょに消える。 恐怖指数VIXは前夜18.9。30を超えると嵐、いまの18.9は嵐までだいぶ遠い快晴だ。避難訓練は、空が青い日にしかできない。だから今夜、持ち株ごとに「ここまで下げたら降りる」の線を一行メモしておく。「2割下げたら降りる」のように、数字をひとつ書くだけでいい。 東証で売買が厚い1,488社を赤・黄・青に塗り分けている独自の信号機集計は、きょうの+1,802円で色が大きく塗り替わった。この欄で追いかけてきた水道管の栗本と発電機のデンヨーが何色になったかは、次の日刊で書く。 で、あなたの口座はきょう、何色だった。
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夜明け前
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about 2 months ago
+38円の凪の下で、2,589社が沈んだ 日経は凪。なのに、全銘柄の6割が下げた。 東証全体4,171銘柄のうち、上がったのは1,267社。日経平均は64,217円、前日比+38円——缶コーヒー1本分の平和である。その水面の下で、2,589社が沈んでいた。 昨日の朝、逆のことを数えた。指数が3.83%崩れた日に、半分の会社は1%も下げていなかった。今日はその裏返しだ。指数が静かな日に、6割が下げる。夕方、引け値の一覧を上から下まで撫でて数え終えて、昨日の仮説は確信に変わった。指数はあなたの持ち株を映さない。 だから今夜の30秒はこれだ。あなたの持ち株は今日、上がった1,267社の側か、沈んだ2,589社の側か。沈んだ側だったなら、下げた理由を一行で言えるか。言えない下げが、いちばん危ない下げだ。 保有銘柄を売る理由になる開示は、きょうも0件だった。恐怖指数VIXは19.9。平時は15前後、暴落の日は30を超える。だから19.9は、傘を買う数字ではなく、玄関の傘の場所を確認しておく数字だ。 ここからは、今日のXの祭り会場を5銘柄、数字を持って歩く。 タイミー(215A)、決算。 売上210億円、営業利益38億円。100円売ったら18円残る、本物の儲かり方だ。数字は決算短信の原本で確認した。 なのに株価は1,093円、0.73%の下げ。 理由は2つ。 ひとつ。今回の「通期」は決算期変更で6ヶ月分。普通の1年と並べると伸び率を読み違える。 ふたつ。良い数字は、先に値段へ入っていた。 決算は会社の体温、株価は観客の体温。今日は観客のほうが先に熱を出していた。 ついでに、決算で騙されない3秒チェックを置いておく。保存用に。 ①この「通期」は何ヶ月分か。 ②比べている前年は同じ長さか。 ③良い数字で下げたら、期待は先に値段に入っていた。 キオクシア(285A)、終値75,440円、+7.0%。「買った」という宣言ポストが祭りの火種になった。会社は半導体メモリの本物の勝ち組だが、注意はひとつ。誰かが買ったことは、あなたが買う理由にならない。その人は明日、黙って売れる。 アドバンテスト(6857)、終値25,175円、ほぼ横ばい。ここへ「私の情報を追った人だけが儲かった」という成績自慢が流れてきた。後出しの成績表は、外れた推奨を載せない。物差しではなく広告である。 GFA(8783)は終値97円。ジャパンディスプレイ(6740)は終値54円——缶コーヒーより安い。この値段の株に「1000株5万円が将来300万円」という売り文句が付いた。計算してみよう。5万円が300万円は60倍だ。株が60倍になるなら、会社の値段も60倍になる。その算術が書かれた決算資料は、この世のどこにもない。97円や54円に付いているのは、値段ではなく祈りである。 で、あなたの持ち株は今日、どっち側だった。
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夜明け前
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about 2 months ago
夜明け前の銘柄ノート、6月11日。 昨夜のおさらいは3行で済む。 米CPIは総合4.2%。ただし値上げの主犯は原油(中東の緊張で一時93ドル)。 それを除いたコアは2.9%とまだ静かで、債券は動じず、株だけが下げた。 3日下げて、金利という主犯は動かなかった。それだけで「もう買っていいのでは」と思い始めるのが人間で、私も例外ではない。そこで気分ではなく、数を数えた。 物差しはひとつ。「今日の安値が、直近20日の最安値をまだ削っているか」。売買代金1億円以上の東証1,488社すべてに当てた。 まだ削っている会社……267社。 削るのをやめた会社……1,221社。 退屈な数え物だが、退屈は嘘をつかない。 ただし、全体が治っても、自分の銘柄が治ったことにはならない。栗本鐵工所もデンヨーも、まだ267社の赤の側にいる。だから全体を見て安心して買うのではなく、その銘柄の止血を確認してから買う。 信号機で言えばこうなる。 赤=今日の安値が、直近20日の安値をまだ削っている。 黄=削らなくなったが、始値より高く引けた日がまだない。 青=安値を守り、始値より高く引け、売られすぎの体温計RSIが30を上抜ける。 青になる前に渡れば轢かれる。横断歩道も相場も同じである。 読みながら、自分の保有がどの色か浮かんだはずだ。その一文字は、最後に聞く。 「買わないと言いながら、注文は出してるじゃないか」 そのとおり。網だけは張ってある。下がるほど安く拾えるように、指値の注文を3段に分けて沈めてある網だ。 ただし、財布が違う。 青信号を待つのは勝負のお金。網にかけたのは、3日前の冷静な頭が「ここまで下がったら欲しい」と決めた値段に置いた、小さな打診だ。 値段は事前に、気分は事後に。網を張る理由はこの一行で全部だ。 その網に、昨夜から魚が触れ始めている。 栗本……1段目1,397円を割り込んだ。 デンヨー……1段目3,500円にぴたりと触れた。 TIS(保守料が毎年積み上がる業務ソフト)……2段目3,249円まで沈んできた。 だから今朝いちばんに開くのは、株価アプリではなく受信箱でいい。 恋文は来ない。来るなら約定通知だ。 届いていたら、高ぶる前の自分が決めた値段で、もう買えている。今朝の気分は一円も関与していない。 気分に任せると、人は高値で張り切り、安値で寝込む。 今夜の宿題はひとつ、30秒で終わる。 保有銘柄のチャートを開き、今日の安値と直近20日の最安値を見比べる。削っていれば赤、止まっていれば黄。止まった上で始値より高く引けた日があるなら、青の入り口だ。 比べる相手はこの数字——市場全体の赤は18%。あなたの銘柄がまだ赤なら、犯人は市場ではない。その銘柄だ。 下げ3日目の朝に効くのは、勇気ではなく段取りである。見出しに驚いた人から売り、金利を見た人から落ち着き、数を数えた人から構えが決まる。今夜も黄色のまま、渡らずに立っている。
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夜明け前
@yoakemae_log
about 2 months ago
米国の5月の消費者物価が出た。 前年比4.2%、コア(食品とエネルギーを除く)は2.9%。市場の予想(4.2%・コア2.8〜2.9%)とほぼ同じ。数字としては答えの持ち越しだが、中身には色がある。前月の3.8%から4.2%への加速はエネルギーが主導で、エネルギーは1年で23.5%上がった。月の上昇分の6割超がエネルギーだとBLSの原本に書いてある。 発表直後、米国の10年もの金利は4.53%前後で行き来し、急騰はしていない。一方で株の先物は売りが先行した。数字が予想通りでも「物価がまだ熱いことが確認された夜」として、市場は受け取った形だ。 明日の構えは変えない。買い始める条件は物価ではなく「戻りの合図」のほうだ。今日の安値が直近の安値を割らない。その日が始値より高く終わる。売られすぎの体温計が底から上を向く。この3つがそろった銘柄から、小さく。そろうまでは現金を持って待つ。待つのも建玉のうち、という相場の古い言葉がある。 数字の出どころは米労働統計局の原本。見出しの数字ほど、原本で確かめる。今夜もその一手間だけで、慌てる理由がないことが分かる。
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