極限下の都市が崩れなかったのはなぜか
1941年秋、レニングラードはドイツ軍に包囲された。872日間の封鎖で、最終的に80万人以上が命を落とす。最初の冬、パンの配給は労働者で1日250グラム、それ以外は125グラムまで減った。普通の都市なら、社会秩序は崩壊していただろう。
ところが、レニングラードは崩れなかった。確かに闇市は広がり、食料を盗む役人もいた。人肉食の報告さえあった。それでも、制度と秩序は最後まで持ちこたえたのである。なぜか。
ここには、私たちが「回復力」を考えるうえで見落としがちな構造が隠れている。ヒントは、国家による統制でも、愛国心でもない。もっと地味で、日常的なものだった。
ソ連の指令経済は硬直的で、戦争のような突発事態に弱い。レニングラードでは食料配給の現場で、配給券のごまかしや、秤を操作して余剰を抜き取る手口が横行した。盗まれたパンは闇市で高値で売られ、1942年1月には1キロ600ルーブルという法外な価格がついた。国家は飢えた市民を完全には養えず、依存を通じた統制力をじわじわ失っていた。
普通に考えれば、これは崩壊への道である。統制が効かず、資源が私物化され、信頼が失われる。1917年のペトログラードで起きたのは、まさにその連鎖だった。
だが、レニングラードは違った。鍵を握ったのは、社会の下層に根づいていた「単純なもの」だった。家族、隣人、職場の仲間。そして、そうした身近な他者との関係に自分の存在を結びつける感覚である。
顕著なのが女性たちの行動だ。封鎖下で、男性は女性より早く衰弱し、死んでいった。日記には、夫や息子がベッドから出られなくなる一方で、女性たちがパンを探して街を歩き回り、家族を養った記録が数多く残っている。男性の日記作家レフ・コーガンは、妻が毎日のように食料とタバコを求めて外に出ていたと記し、彼女の努力なしには生き延びられなかったと認めている。
女性たちはなぜ動けたのか。単なる利害計算ではない。配偶者や子どもという、自分のアイデンティティを支える存在を守るという感覚があった。この「価値のアンカー」が、絶望的な状況でも身体を動かし、規範を守らせる力になったのである。
もうひとつ、秩序を支えた奇妙なものがある。人肉食という限界への反発である。レニングラードの日記作家たちは、接着剤で作ったゼリーや煮た皮ベルトについては淡々と書いた。犬や猫を食べる話は、ためらいを伴うが、それでも飢えの前では許容された。
しかし人肉食は違った。死体から肉が切り取られているのを目撃した人々は、これを「文明の死」として語った。重要なのは、人肉食を非難することそのものが、社会の境界線を再確認する行為になった点である。
人肉食は、レニングラード人にとって「ここを越えたら終わりだ」という象徴だった。それを語り、怒り、恐怖することで、彼らは自分たちが守るべき規範を逆説的に強固にしていった。つまり、最も暗いタブーが、社会を分解から遠ざけたのだ。
ここまで見えてくると、回復力の描き方が変わる。ショックと無秩序の増大に応じて崩壊が直線的に進むわけではない。むしろ、逆U字の曲線を描く可能性がある。ある程度の危機では日和見主義やルール違反が広がる。だが、危機が極限に達すると、人々は「このままでは誰も生き残れない」と気づき、基本的な規範へすがりつく。たとえ、その規範が不完全でも。
レニングラードの回復力は、強固な制度や英雄的指導者のおかげではなかった。むしろ、制度の欠陥を寄生者たちが利用しながら、同時にその制度を必要とするという矛盾。身近な他者への共感。そして、越えてはならない一線をめぐる社会の総意。そうした地味で単純なものが、巨大都市を崩壊の縁に踏みとどまらせたのである。
この分析が正しいなら、私たちの「回復力」への見方は修正を迫られる。重要なのは、完璧な制度を設計することではなく、制度が多少壊れても、その下で人々が互いを支える関係や、守るべき線の感覚を維持できるかどうかかもしれない。
パンデミックや災害のたびに問われるのは、まさにこの点ではないか。強力な対策と柔軟な現場対応のバランスも重要だが、本当に社会を持ちこたえさせるのは、もっと目立たないところにある。隣人と食料を分け合う感覚。医療従事者を守ろうとする意志。「ここまではしない」という暗黙の合意。
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書籍『How Worlds Collapse: What History, Systems, and Complexity Can Teach Us About Our Modern World and Fragile Future』 2023
(世界はいかに崩壊するか:歴史・システム・複雑性が現代と脆弱な未来について教えてくれること)
第12章『The Resilience of Simple Things: Lessons from the Leningrad Blockade』(単純なものの回復力——レニングラード封鎖の教訓) Jeffrey K. Hass(社会学者)
ローマと漢、内部エリートが共通の敵だった
紀元2世紀、ローマ帝国と漢帝国は、地球上の人類のうち最大の割合を同時に支配していた。両者は合わせて少なくとも800万平方キロメートル、約1億3000万人を統治下に置き、歴史上まれに見る政治的集中を実現していた。しかし、この二つの超大国は、 ほぼ同じ時期に、外敵の征服ではなく内部の亀裂から崩れ去った。
私はこの事実に、ある種の逆説を見てきた。これほどまでに巨大で、長期間にわたり安定を保ってきた政体が、なぜ突然、手のつけられない速度で解体したのか。西ローマ帝国も後漢晋帝国も、単なる蛮族の侵入によって滅んだわけではない。むしろ、エリート同士の争いが国家の資源を食い潰し、外部からの圧力に耐える力を失わせたのだ。
ローマ帝国は、約2,000の都市共同体の地方エリートに日常的な統治を委ね、約40万人の常備軍を辺境に配置していた。漢帝国は、約13万人から15万人の給与官吏を中央から派遣し、地方の名士を通じて民を支配した。統治の仕組みは異なっていたが、どちらも最終的には同じ病に冒された。すなわち、エリートの過剰生産と、それに伴うレントシーキングである。
レントシーキングとは、生産を増やさずに既存の富を奪い合う行為だ。ローマでは、3世紀の危機以降、給与所得者である国家公務員が約3万人にまで膨れ上がり、行政の階層も倍増した。漢では、大地主が農民を庇護下に置き、国家の課税や徴兵から逃れさせた。どちらの場合も、中央に流れるべき余剰がエリート層に吸い上げられ、国家の財政基盤が静かに侵食されていった。
ローマ帝国の西半分は、5世紀初頭に急激に弱体化した。395年にはまだ一人の皇帝のもとで統一されていたが、その15年後には、ヴァンダル族とその同盟勢力がガリアとイベリア半島に侵入し、ローマ市は略奪を受けた。この崩壊の速度は、同時代の人々の予測をはるかに超えていた。
漢の場合、184年の黄巾の乱から189年の事実上の滅亡まで、わずか5年しかかからなかった。この短い期間に、軍閥の一人が帝都洛陽を掌握し、王朝は形骸化した。晋も同様だ。301年に始まった八王子の戦いは、307年までに帝国を内戦状態に陥れ、308年から316年にかけて匈奴の侵入を招き、両都が破壊された。
ここで私が強調したいのは、これらの崩壊が外敵の力によるものではなかったという点だ。匈奴やゲルマン民族の侵入は、むしろ内部の混乱が招いた結果に近い。漢は、草原の民を自国の領土内に定住させ、軍事力として利用してきた。その同じ集団が、王朝の内紛に乗じて反乱を起こしたのである。ローマでも、ゲルマン民族の一部は同盟者として領内に住み、ローマ軍に兵を提供していた。彼らが自立したのは、帝国が彼らに支払う資源を失ってからだ。
つまり、因果関係は一般に考えられているのとは逆なのだ。外部の圧力が国家を弱めたのではなく、国家の内部崩壊が外部の介入を可能にし、加速させた。
現代社会は、古代ローマや漢よりもはるかに複雑で、相互依存の度合いも高い。しかし、エリート層が政策決定を支配し、資源を独占する構造は、今も変わらず存在する。
米国では、富裕層の政治的影響力が拡大し、大所得者への課税が抑制されてきた。中国では、監視技術が民衆蜂起の再発を抑止している。それでもなお、国家の崩壊は予告なしに訪れる。あの巨大な帝国たちがそうであったように。
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書籍『How Worlds Collapse: What History, Systems, and Complexity Can Teach Us About Our Modern World and Fragile Future』 2023 『世界はいかに崩壊するか:歴史・システム・複雑性が現代と脆弱な未来について教えてくれること』2023
第6章『The End of the "Peak Empire": The Collapse of the Roman, Han, and Jin Empires』(「ピーク・エンパイア」の終焉:ローマ帝国、漢帝国、晋帝国の崩壊) Walter Scheidel(歴史学者)
🚨📢 A huge new paper was just released on the IgG4 class-switch that follows repeated mRNA COVID boosters.
As many of you know, we’ve known for a long time that one of the issues created by routine mRNA boosters is the “class switch” to the creation of IgG4 antibodies, instead of the more beneficial IgG1 and IgG3.
Since at least early 2024, we’ve known that both production of IgG4 was an issue with repeated doses of mRNA, and that it was not a concern seen with repeated doses of Novavax/Nuvaxovid: https://t.co/Giohxoytj8
Essentially, IgG1 is what you want the most of, it neutralizes viruses and is good at recruiting immune cells. IgG4 is what you don’t want, and it’s fairly harmful, because it still recognizes the virus and binds to it, but it doesn’t neutralize effectively and it recruits fewer immune cells to help. In short, this is what we call “immune tolerance”. Think of the way that allergy shots work, where repeated doses are given to create a level of immune tolerance so that your body stops reacting to the allergen. That’s obviously extremely bad for a virus, because it means your immune system stops responding and isn’t able to properly clear the infection - something that is an even bigger deal for a virus like SARS-CoV-2 that causes persistence-based Long COVID.
However, that early research was only done with a few doses of mRNA. A couple weeks ago, we got recent research showing that this issue just keeps getting worse as folks get more mRNA boosters over time. This isn’t really surprising…but it’s important to have the confirmation. The study follows a cohort that received 6 mRNA boosters, and the proportion of IgG4 rises all the way to 26.6% (!) of total antibodies after the 6th dose. For context: in general, IgG4 typically sits around 4%, and anything above 10% is considered a high proportion.
Not only is this switch harmful because it creates the aforementioned immune tolerance, but it’s also why you can’t trust studies that do head-to-head comparisons of total antibody levels created by mRNA vs Novavax/Nuvaxovid if they don’t disclose the antibody subtypes. It’s true that mRNA often produces a higher level of antibodies overall, and within the brief window immediately following vaccination, but that’s completely irrelevant if a large portion of them are just IgG4.
Importantly, for the first time, these authors were even able to tie the IgG4 switch to a tangible increase in breakthrough infections - a 1 standard deviation increase in IgG4 proportions raised infection risk by a statistically significant 83%. HR = 1.83 [95% CI= 1.07-3.17], p = 0.028.
Study link: https://t.co/HTIBpxRnDN
They will never release this because our papers spell out exactly how they missed it and it will become immediately evident from the primer sequences alone.
They did spill the beans on the Spike assay in the EMA leak so claiming the primer sequences are proprietary when some exist publicly is a legal quagmire for them.
Of course, they will never report the CT scores from the spike assay while they refuse to disclose the plasmid/KAN assay that gives them the number they want.
@Mirosla92437416@MeasslainteIRL@JesslovesMJK@CharlesRixey@KUPERWASSERLAB@weldeiry
🚨 Poul Thorsen, a researcher whose work was used to reassure millions of parents that vaccines do not cause autism, is expected to plead guilty to fraud on Sept. 1.
Thorsen worked on major studies examining vaccines and autism that were cited by the CDC and became part of the scientific foundation used to dismiss concerns about a possible connection.
He was later accused by federal prosecutors of stealing more than $1 million in CDC grant money intended for research, using fabricated documents and fraudulent invoices to divert the funds for his own use.
For years, we’ve been told not to question the science on vaccines and autism. We were told the evidence was overwhelming and the people conducting the research could be trusted.
When the integrity of the people producing that science comes into question, so should our willingness to accept their conclusions without scrutiny.